レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年05月28日
- 登録日時
- 2019/07/18 19:45
- 更新日時
- 2019/08/29 12:03
- 管理番号
- 神戸図-1484
- 質問
-
未解決
オーストラリアの略語が「豪州」なのはなぜか。豪「国」、ではなく豪「州」なのは、イギリスの植民地だったからか。
- 回答
-
国ではなく州を使う理由に言及した資料は見つからなかった。
オーストラリアが「豪(州)」と表記されるのは、「濠(常用漢字では「豪」)太剌利」という宛字表現からきている。
- 回答プロセス
-
『宛字外来語辞典』
当て字は「濠太剌利(亜)」
後日調査にて
『当て字・当て読み漢字表現辞典』p117
オーストラリアの当て字は「濠太剌利」。濠には「ほり」の意味がある。
『宛字書きかた辞典』凡例 p11
洲:国家と同等もしくはそれ以上の地域区分
州:国家よりも下位の地域区分
現在の豪州という表記は、「濠洲」をそれぞれ常用漢字「豪」「州」で表したものである、という内容の記載あり。
オーストラリアの宛字には上記2つを含め、多数の表記形が掲載されていた。
『広辞苑』にて「州」をひく。
「②くに。⑥(state)アメリカ、オーストラリアなどの自治権を持つ行政区画。⑦地球上の大陸を分けた称。州。」
納得のいく意味はなかった。
ネットでは、当て字で各国を表現するようになった明治頃、オーストラリアはヨーロッパの植民地であったため、オセアニア地域一帯を豪州と呼んだ、との説明が見られた。現在も連邦制国家のため、その名残で州が使用されている、とも。
※その後下記の情報提供をいただきました(2019年8月29日)
オーストラリアが五大州に数えられるようになったことについては
『同志社女子大學學術研究年報 60巻 (2009)』
「五大州 : 鎖国時代の世界地理認識(吉野 政治)」
p.111(28)の「3 「五大州」その後」に詳しい。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
-
-
『宛字外来語辞典 新装版』宛字外来語辞典編集委員会編 宛字外来語辞典編集委員会 柏書房, 1991-02.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000065528-00 , ISBN 4760106146 (当館ID PV:0005119022 請求記号 813=M1=) -
『当て字・当て読み漢字表現辞典』笹原宏之 編 , 笹原, 宏之, 1965 三省堂, 2010.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011013526-00 , ISBN 9784385137209 (当館ID PV:7200160518 請求記号 811=P0=) -
『宛字外来語辞典』宛字外来語辞典編集委員会 編 柏書房 1979.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001457510-00 (当館ID PV:0000343174 請求記号 812=K9=) -
同志社女子大學學術研究年報 60巻 (2009)
「五大州 : 鎖国時代の世界地理認識(吉野 政治)」
http://doi.org/10.15020/00000365
-
『宛字外来語辞典 新装版』宛字外来語辞典編集委員会編 宛字外来語辞典編集委員会 柏書房, 1991-02.
- キーワード
-
- オーストラリア
- 宛字・当て字・宛て字
- 略語
- 地名
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000099841
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000234101
- 調査種別
- 事実調査 書誌的事項調査
- 内容種別
- 言葉 地名
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000258835