レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2008/06/03
- 登録日時
- 2008/12/11 02:12
- 更新日時
- 2009/01/06 14:36
- 管理番号
- 埼熊-2008-043
- 質問
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解決
岩波文庫に収められているトオマス・マン著「トニオ・クレエゲル」の著作権は、消失しているか。
- 回答
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ドイツの著作権法では、原則として、著作者の死後70年で著作権は消滅する。しかし、日本で発行された著作物の場合、ベルヌ条約により、日本の著作権法と同等の保護期間が適用され、著作権の保護期間は50年となる。また、翻訳物は、二次的著作物として扱われるため、翻訳者の実吉捷郎氏に著作権が発生する。
現時点では、実吉捷郎氏の死後から50年経過していないため、「岩波文庫に収められているトオマス・マン著『トニオ・クレエゲル』」に関しては現在も著作権は消失していない。
- 回答プロセス
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『講談社日本人名大辞典』『現代人名情報事典』より、実吉捷郎(サネヨシハヤオ)氏は1962年没。
《NDL-OPAC》より、「個人著者標目:実吉,捷郎(1895-1962)∥サネヨシ,ハヤオ は日野,捷郎 (1895-1962)∥ヒノ,ハヤオ」。
『外国著作権法概説 英・米・独・仏・伊』の「保護期間」に、「(1)原則 著作権は、原則として、著作者の死後70年をもって消滅する」とある。
『著作権法の基礎 現代産業選書』の「(b)内国民待遇の原則」に、「内国民待遇の原則とは、ベルヌ条約の同盟国が外国人の著作物を保護する場合に、自国の国民に与えている保護と同等かそれ以上の保護を与えなければならない…」とある。また、「(1)二次的著作物」に、「外国語小説を日本語に翻訳したり、…既存の著作物(原著作物)をベースに新たな創作性を加えて創作したものは、原著作物とは別個に二次著作物として保護される。」とある。
下記資料にも、「ベルヌ条約」「二次的著作物」に関して同様の記述あり。
『実務者のための著作権ハンドブック』『入門著作権の教室』『著作権法概説』
- 事前調査事項
- NDC
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- 著作.編集 (021 9版)
- 参考資料
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- 『講談社日本人名大辞典』(講談社 2001)
- 『現代人名情報事典』(平凡社 1987)
- 『外国著作権法概説 英・米・独・仏・伊』(著作権情報センター 2003)
- 『著作権法の基礎 現代産業選書』(菊池武 経済産業調査会 2005)
- 『実務者のための著作権ハンドブック』(著作権情報センター 2005)
- 『入門著作権の教室』(尾崎哲夫 平凡社 2004)
- 『著作権法概説』(半田正夫 法学書院 2007)
- キーワード
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- 著作権-日本
- 実吉 捷郎(サネヨシ ハヤオ)
- 翻訳
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000049656