レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/01/14
- 登録日時
- 2016/12/29 00:30
- 更新日時
- 2017/01/06 15:04
- 管理番号
- 所沢新所-2016-009
- 質問
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解決
ミヒャエル・エンデ著の『はてしない物語』の作中に出てくる本と同じ装幀の本を探している。
- 回答
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『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』池内紀/ほか著 小林エリカ/ほか著 子安美知子/ほか著 新潮社 2013年 p61 『はてしない物語』に関する記述より
「本書の日本語版の函入りハードカバー本は、物語の中でバスチアンが手にする『はてしない物語』とまったく同じ、あかがね色のクロス張りで、蛇がお互いの尻尾をくわえた「アウリン」の紋章をあしらった装幀が施されており、文字部分も現実世界の部分はあかがね色、ファンタージエンの部分は緑色で刷られている。」とあり、この本と思われます。
以下の資料が、該当します。
〇『はてしない物語』 ミヒャエル・エンデ/作 岩波書店 1982年
- 回答プロセス
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1.『はてしない物語』本文に書かれている表現を確認。
『はてしない物語』 ミヒャエル・エンデ/作 上田真而子(まにこ)/訳 佐藤真理子/訳 岩波書店 1982年 p.16-17
『はてしない物語 上』 ミヒャエル・エンデ/作 上田真而子(まにこ)/訳 佐藤真理子/訳 岩波書店 2006年 p.18-19
「表紙はあかがね色の絹で、動かすとほのかに光った。パラパラとページをくってみると、なかは二色刷りになっていた。さし絵はないようだが、各章の始めにきれいな大きい飾り文字があった。表紙をもう一度よく眺めてみると、二匹の蛇が描かれているのに気がついた。一匹は明るく、一匹は暗く描かれ、それぞれ相手の尾を咬んで、楕円につながっていた。そしてその円の中に、一風変わった飾り文字で題名が記されていた。はてしない物語と。」という記述あり。
2.所蔵調査
○『はてしない物語』 ミヒャエル・エンデ/作 上田真而子(まにこ)/訳 佐藤真理子/訳 岩波書店 1982
p.16-17 函が取り外されているために函の装幀は確認できないが、表紙のあかがね色(銅色)と蛇の図柄(彩色なしの刻印のみ)、楕円の中の日本語訳題字“はてしない物語”、本文の二色刷り、飾り文字は確認できた。
○『はてしない物語』上 ミヒャエル・エンデ/作 上田真而子(まにこ)/訳 佐藤真理子/訳 岩波書店 2006年
p.18-19 ソフトカバー版。表紙はあかがね色ではないが、蛇の図柄、飾り文字によるドイツ語の原書題字“Die unendliche Geschichte”(ただし、楕円の中に書かれていない)、飾り文字は確認できた。 本文は黒一色刷りである。
○『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』 池内紀/ほか著 小林エリカ/ほか著 子安美知子/ほか著 新潮社 2013年
p.61『はてしない物語」項目があり、「本書の日本語版の函入りハードカバー本は、物語の中でバスチアンが手にする『はてしない物語』とまったく同じ、あかがね色のクロス張りで、蛇がお互いの尻尾をくわえた「アウリン」の紋章をあしらった装幀が施されており、文字部分も現実世界の部分はあかがね色、ファンタージエンの部分は緑色で刷られている。」と記述がある
実際の函入り装幀の写真もあわせて掲載されている。
○『「はてしない物語」事典』 ローマン・ホッケ/編著 パトリック・ホッケ/編著 丘沢静也/訳 荻原耕平/訳 岩波書店 2012年
p.50~51「鏡の中の鏡」の項目に、「バスチアンが手にしている本が描写されるとき、読者はびっくりする。その本は「あかがね色の」表紙だという。文字は2色刷り。とてもきれいな大きい頭文字がある。表紙には明るいヘビと暗いヘビが描かれていて、それぞれ相手の尾を咬んで、楕円につながっている。そして楕円のなかにタイトルがある。おそくともここで読者は、自分がバスチアンとまったく同じ本を手にしていることに気づく。」と記載あり
3.インターネット調査
〇朝日新聞オンライン記事データベース「聞蔵Ⅱビジュアル」
2015年6月1日 朝刊31面 見出しタイトル『(今こそミヒャエル・エンデ)あかがね色の本、物語にも登場』
「翻訳した上田真而子さんは、世界各地の翻訳者を集めた会議で、エンデが装丁を原著通りにするよう強く求めていたのを覚えているという。表紙は布張りで、色はあかがね色に。文字は2色のインクを使い、現実の世界とファンタジーの世界とを色分けするように。「本=物語。物語=本。書かれていることを頭で理解するのではなく、体で体験してほしいと願っていた」と上田さんは言う。(中略)表紙に2匹の蛇が描かれた布張りの本。読者もまた、自分が手にした本が、同じだと気がつき、主人公と一体化していく。本は、物語に入り込む入り口としての装置だった。装丁家の大久保明子さんは、「重みのある本だからこそ、『物語』が入っていると実感できる。主人公と同じ布張りの表紙の本の感触を手にし、一枚一枚手でめくるから自然に本に入って行くことができる」とみる。原書通りの「あかがね色」の表紙を実現したハードカバー版では、版元の岩波書店は布を特注、価格は税込みで3千円を超える。」
4.本館参考室による追加情報
○『朝日新聞縮刷版 2015年6月』 朝日新聞社 2015年
p31「今こそミヒャエル・エンデ」の項あり
5.調査したが、記載のない資料
×『エンデのメモ箱』 ミヒャエル・エンデ/[著] 岩波書店 2013年
×『三つの鏡』 ミヒャエル・エンデ/[ほか]著 朝日新聞社 1989年
×『ミヒャエル・エンデ』 ペーター・ボカリウス/著 朝日新聞社 1993年
×『ミヒャエル・エンデ』 ペーター・ボカリウス/著 朝日新聞社 1995年
×『エンデと語る』 [エンデ/述] 朝日新聞社 1986年
- 事前調査事項
- NDC
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- 小説.物語 (943 9版)
- ドイツ文学 (940 9版)
- 参考資料
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- はてしない物語 ミヒャエル・エンデ/作 岩波書店 1982.6 943.7 4-00-110981-6
- ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと 池内紀/ほか著 新潮社 2013.11 940.278 978-4-10-602250-0
- 「はてしない物語」事典 ローマン・ホッケ/編著 岩波書店 2012.11 943.7 978-4-00-115658-4
- はてしない物語 上 ミヒャエル・エンデ/作 岩波書店 2000.6 943.7 4-00-114501-4
- 朝日新聞縮刷版 2015-6 朝日新聞社 2015.7 071
- キーワード
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- ミヒャエル・エンデ
- はてしない物語
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 図・絵・写真
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000205829