レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年09月21日
- 登録日時
- 2016/09/23 00:30
- 更新日時
- 2016/12/15 00:30
- 管理番号
- 1C16003196
- 質問
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解決
アイルランド民謡「サリー・ガーデン」という詩の中に“sally”と“salley”という言葉がでてくるが、どちらも「柳」と訳されている。どう違うのか?
YouTubeで2種類の字幕を見た事がある。
- 回答
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当館所蔵資料を確認しましたが、"sally"と”salley”の違いについて記載のある資料は見つかりませんでした。
アイルランド民謡「サリー・ガーデン」をイギリスに紹介したアイルランドの詩人ウィリアム・バトラー・イエイツに関する書籍の中では、多くが“salley”と表記されています。
『W・B・イェイツ全詩集』([W・B・イェイツ/著] ; 鈴木 弘/訳, 北星堂書店, 1982.9)
p.12に「柳の園の近くで」として収録。
p.293の訳注およびp.16の原詩題名索引に原題として“Down by the Salley Gardens”が記載があります。
『イエイツ詩集ー対訳ー』(イェイツ/[著] ; 高松 雄一/編, 岩波書店, 2009.7)
p.38-39に英日対訳で収録されています。原題は“Down by the Salley Gardens”で、本文中の「柳」も“salley”と表記されています。
p.38の脚注にはsalley≪方言≫=sallow (柳属の低木) と注記されています。
『図説イェイツ詩辞典』(鈴木 弘/著, 本の友社, 1994.6)
p.190 “Salley Gardens”の項あり。また巻末付録にも、“salley”の項があり、「英語のsallowyが訛ったものであろう。」と考察されています。
『世界詩人全集 15 イエイツ ロレンス詩集』(新潮社, 1969.3)
p.23-24に「柳の園で」として収録。原題は”Down by the Salley Gardens”と記載があります。
ただし“sally”としている資料もあります。
『サリー・ガーデン -イギリスの愛の歌-』(望月 通陽/著, 偕成社, 1994)
p2,p38に“Down by the sally garden's”と記載があります。
商用データベース「KOD(研究者オンライン辞書検索サービス)」
収録辞典「新英和大辞典」によると、“salley”は主に方言→“sallow”、“sally”は“sallow”の異形、との記載があります。
“sallow”は方言のサルヤナギとの記載があります。
- 回答プロセス
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1.事前調査事項より、当館所蔵のイエイツ詩集を確認。資料1-4に記載が見つかる。いずれも”salley”の記述で、違いについては説明されているものは見つからなかった。
2.ゲール語辞典を確認。
『アイルランド・ゲール語辞典』(前田 真利子/編著 ; 醍醐 文子/編著, 大学書林, 2003.11)、『ゲール語会話』(カハル・オー・ガルホール/[ほか]編著, 大学書林, 1988.11)、『ゲール語四週間 -アイルランド-』(C.Ó.ガルホール/著 ; 三橋 敦子/著, 大学書林, 1983.3)、『やさしいゲール語読本1』(大学書林, 1987.3)、『やさしいゲール語読本2』(大学書林, 1988.3)を確認したが、いずれも”sally””salley”掲載なし。
3.『古英語辞典』等英語の語源辞典を確認。
『古英語辞典』(小島 謙一/編著 大学書林,2012.6)
”sally””salley”掲載なし。
『英語語源辞典』(寺沢 芳雄/[ほか]編集 研究社,1997.6)
[Salley]の記載なし。
[Sally]は、p.1210に女性名 突撃の起点 の掲載あり。
4.商用データベース「KOD研究社オンライン辞書検索サービス」でキーワード“salley”で検索。
新英和大辞典 n(名詞)主に「方言→sallow」とある。“sallow” n(名詞)植物】 低木性で葉の広いヤナギ属の植物の総称; (特に)サルヤナギ (Salix caprea) 《火薬用の木炭にする; goat willow ともいう》.とある。
・同データベースを“sally”で検索すると、リーダーズ+で方言のサルヤナギとある。→sallow(サルヤナギ) または(Willow)
・また新英和では、、名詞“sallee”豪(オーストラリア英語) sallowの異形とある。→“sallee”を検索すると、名詞 豪で、「Snow Gum」オーストラリア南東部に育つ薄灰色のユーカリ属の木 (Eucalyptus pauciflora) 《sallee ともいうとある。(資料6)
5.当館所蔵資料をフリーワード”サリーガーデン”で検索し、ヒットした資料の内容を確認。
資料5に記載が見つかる。
- 事前調査事項
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・YouTubeで字幕付のものやタイトルに含まれるものを確認すると、ふたつの単語が混在していた。
・レファレンス協働データベースをキーワード「サリーガーデン」で検索すると、事例が1件ヒットする。
NHK連続テレビ小説「花子とアン」で、スコット先生と「はな」が歌った歌。その曲名、楽譜、CD等について知りたい。(国立音楽大学附属図書館提供)
( https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000152203 )
今回の質問内容に関する情報はなし。
・Googleをキーワード「サリー・ガーデン」検索すると、「世界の民謡・童謡」サイトに掲載を確認。(http://www.worldfolksong.com/songbook/ireland/sally-garden.html)
曲名が「Down By The Salley Gardens」となっており、イエイツの詩集に収録されているとある。
・wikipediaサイト「ダウン・バイ・ザ・サリー・ガーデンズ」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%BA)
アイルランド語・英語の歌詞が載っている。
・『ランダムハウス英和大辞典:第2版』(小学館,1994.1)を確認。
“salley”は記載なし、“sally”名詞「sallee」とされている。→“sallee”は名詞 豪「snow gum」オーストラリア産のアカシアとされている。
- NDC
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- 詩 (931 9版)
- 辞典 (833 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <0011902846> イェイツ詩集 -対訳-(岩波文庫 32-251-2) イェイツ/[著] 岩波書店 2009.7 978-4-00-322512-7 (資料1)
- 当館書誌ID <0080072540> W・B・イェイツ全詩集 [W・B・イェイツ/著] 北星堂書店 1982.9 9784590006543 (資料2)
- 当館書誌ID <0013407476> 世界詩人全集 15 イエイツ ロレンス詩集 新潮社 1969.3 (資料3)
- 当館書誌ID <0000395063> 図説イェイツ詩辞典 鈴木 弘/著 本の友社 1994.6 9784938429812 (資料4)
- 当館書誌ID <0000510349> サリー・ガーデン -イギリスの愛の歌- 望月 通陽/著 偕成社 1994.11 9784039672018 (資料5)
- 商用データベース「KOD(研究社オンライン辞書検索サービス) 「新英和大辞典」sally、salley、sallow項 (資料6)
- キーワード
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- サリーガーデン
- Down
- by
- the
- salley
- gardens
- sally
- salley
- イエイツ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000197293