レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年02月23日
- 登録日時
- 2018/02/16 10:11
- 更新日時
- 2018/05/31 15:22
- 管理番号
- 埼久-2017-127
- 質問
-
解決
木造の10階建ての建築物は、日本で法的に建築可能なのか知りたい。
- 回答
-
関連する記述のある以下の資料を紹介した。
腰原幹雄[ほか]著「都市木造入門 第2回 地上何階まで木造で建設可能?」(『日経アーキテクチュア 2015年2月10日』p98-101 日経BP社 2015.2)
現代において、何階建ての木造建築が可能なのか、海外の事例紹介とともに法規・技術面から解説している。
p100 「木造でも3時間耐火構造の部材を開発できれば、防火的には階数が無制限になる。(中略)3時間耐火構造が求められるのは、柱と梁に限られるので、枠組み壁工法やCLTを用いた厚壁と厚床による工法のように柱・梁がない建物は、2時間耐火構造の外壁、間仕切り壁、床をもって、階数が無制限となり得る」の記述あり。
「木造中高層の実現へ前進 : シェルターが2時間耐火構造の試験に成功」(『日経アーキテクチュア 2013年8月10日』p10-12 日経BP社 2013.8)
p12 「建築基準法施行令107条の規定によれば、2時間耐火構造を用いれば木造14階建てまで可能になる。」との記述あり。
また、参考までに、海外の木造高層建築物で採用されているCLT(直交集成板)工法の、日本国内での法制面を含めた普及状況に関する記述がある資料を紹介した。
吉岡陽著「技術フロンティア CLT(直交集成板) 木造ビルも建設可能に 国産材の利用拡大に期待」(『日経エコロジー 2015年7月 193』p56-58 日経BP社 2015.7)
p57 壁や床などすべてにCLT(直交集成板)技術を採用した大型木造建築物を国内で建築する場合、国土交通大臣による認定を取得する必要があること、2016年度の前半に建築基準法の「基準強度告示」と「一般的な設計法告示」を公表する計画で、これによってCLTの普及の道が開かれるとの記述あり。
「夢の木造10階建て;林業救うか新建材CLT」『毎日新聞 2015年3月4日夕刊 1面』
CLTについて、「国内ではCLTだけを使った建物を造るための関係基準が未整備で、現状は1棟ずつ国から認定を得る必要がある。法的には中高層の建築も可能だが、国交省はまず、耐震実験などを経て16年度中に簡単な設計方針を決め、CLTを一般的な構造材として使えるようにする。耐火材を塗らなくても3階程度の建物を造れるよう検討中だ」とあり。
「木造ビルの力、CLT オーストリアの教授がセミナー 高知」『朝日新聞 2015年02月21日 朝刊 高知全県・1地方 34面』
「CLTは板を張り合わせた厚みのある面材。1990年代に欧州で利用が本格化し、当初は低層建築に使われたが、2005年には5階建て、2012年には10階建てと高層建物への利用が進んでいるという。」とあり。
- 回答プロセス
-
1 《国会図書館オンライン》(https://ndlonline.ndl.go.jp/ 国会図書館)を〈高層 & 木造〉で検索する。
「木造中高層の実現へ前進 : シェルターが2時間耐火構造の試験に成功」(回答資料)
腰原幹雄著「高層木造建築」(『OHM bulletin(187)』p2-4 オーム社 2010.10)
p3 2000年の建築基準法の性能規定化により、構造、防耐火などの性能を満足することができれば、木造でも多層、高層の建築物が建設可能となったとあり。金沢の木質複合構造5階建ての紹介あり。
2 参考図書を調査する。
『建築基準法規集 国土交通省告示集録 東京都建築安全条例等集録 2017年版』(新日本法規出版 2016)
p280-282 「建築基準法施行令」第107条あり。防火性能と建築階数の記述あり。
3 以下のデータベースを〈木造 & 高層〉〈木造 & ビル〉で検索する
《CiNii Articles》(http://ci.nii.ac.jp/ 国立情報学研究所)
「技術フロンティア CLT(直交集成板) 木造ビルも建設可能に 国産材の利用拡大に期待」「都市木造入門 第2回 地上何階まで木造で建設可能?」(回答資料)
《J-GLOBAL》(http://jglobal.jst.go.jp/ 科学技術振興機構)
質問に関する資料なし。
4 《Google》(http://www.google.co.jp/ Google)を〈日本 & 木造 & 高層 & 階〉で検索する。
《Yomiuri online》「日本のオフィス街に木造高層ビルが立ち並ぶ日は来るか?」(http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160712-OYT8T50044.html 読売新聞)
「日本では法令上、「木造は○○階まで」といった階数制限は存在しない。柱や壁、床などに用いる部材として火災時の安全性が確認できれば、高層ビルに木材を利用することも可能である」とあり。元記事は2016年7月12日に掲載されたもの。
5 《聞蔵Ⅱビジュアル》(朝日新聞社)を〈CLT & 木造〉で検索する。
「木造ビルの力、CLT オーストリアの教授がセミナー 高知」「夢の木造10階建て;林業救うか新建材CLT」(回答資料)
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2017年2月23日。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本の建築 (521 9版)
- 建築学 (520 9版)
- 参考資料
-
- 腰原幹雄[ほか]著「都市木造入門 第2回 地上何階まで木造で建設可能?」(『日経アーキテクチュア 2015年2月10日』p98-101 日経BP社 2015.2)
- 「木造中高層の実現へ前進 : シェルターが2時間耐火構造の試験に成功」(『日経アーキテクチュア 2013年8月10日』p10-12 日経BP社 2013.8)
- キーワード
-
- 木造建築
- 建築基準法
- CLT
- 直交集成板
- クロス・ラミネイテッド・ティンバー
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 建造物
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000230791