レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年11月8日
- 登録日時
- 2017/10/25 09:56
- 更新日時
- 2017/11/19 10:27
- 管理番号
- 県立長野-17-100
- 質問
-
解決
欧米先進諸国においても、病院に入院する際の相部屋問題があるのか。
日本では差額ベッド料を支払わないと個室に入れず、支払えなければ相部屋になり患者間トラブルが発生の元となる。
- 回答
-
古い資料ではありますが、筧淳夫「諸外国の入院療養環境とわが国の病院との比較」(新しい入院療養環境<特集>) 『病院』54(10) 医学書院 1995年 p939~943)という記事が見つかりました。
この雑誌は当館では所蔵しておらず、所蔵館である信州大学附属医学部図書館へ照会したところ、回答に加えてウェブ上で閲覧可能ないくつかの文献も紹介されましたので、あわせて御紹介いたします。
この論文中、関連する内容としては、日本、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、スウェーデン、中国における、個室から多床室の病室における1床あたりの面積が、各国のガイドライン等でどのように定められているかを示したグラフが掲載されている、とのことでした。
このグラフについては、
○河口豊「病院建築と患者療養環境」(『広島国際大学医療経営学論叢』2,p5-10,2009年)
http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/hirokoku-u/file/4644/20140318150542/keiei09-2Kawaguchi.pdf)
のp8(PDFファイルの4枚目)に掲載されているグラフが、同様のグラフであるとのことです。
また、
○小菅瑠香,小林健一,筧淳夫「病棟の個室化が病棟管理に与える影響に関する研究」(『日本建築学会計画系論文集』78(686),p765-773,2013年)
http://doi.org/10.3130/aija.78.765
のp756(PDFファイルの1枚目)には、「わが国以上に病院が超急性期化している米国では、ヒルバートン法の下で1976年に政府が作成して以来広く普及している医療福祉建設設計ガイドラインの2006年の改訂で、重症患者への看護効率や患者の療養環境の視点から『新築病院の病室は全室個室とする』ことを定めている」とあります。
○小坂雅人「医療保障制度における公私の役割分担に関する研究」(筑波大学,2017年,博士論文)
http://hdl.handle.net/2241/00148000
のp16(PDFファイル27枚目)から23(同35枚目)まで、「各国における公的医療保障制度と私的医療保険の役割」の節があり、この中で個室入院を選択した場合の費用をカバーする私的保険の存在に触れています。
また、
○OECD health working papers No.14
http://www.oecd-ilibrary.org/docserver/download/687501760705.pdf?expires=1509866805&id=id&accname=guest&checksum=63A8CAF6FF3CA094F548CADC0EEB67DB
のp34(PDFファイルの36枚目)から40(同42枚目)の「TableA1」中、ベルギーとドイツの「Hospital utilization」欄に、「private room」に自己負担が生じる記載があります。
ドイツを含む一部を翻訳したものが、『講座 医療経済・政策学第6巻 医療制度改革の国際比較』田中滋,仁木立編著 勁草書房 2007年 【498.13/コウ/6】のp52から53に掲載されています。
これらから、諸外国においても、相部屋が存在し差額ベッド料金に該当するものが存在することが伺えます。
- 回答プロセス
-
1 医療制度、医療システムに関する当館資料で海外の事例を紹介していそうなものを検索して確認。
○『先進14ヵ国の医療システム 制度・教育・保険・財政・施設のすべて』マーシャル W.ラッフェル編著 毎日新聞社 1990年 当館図書請求記号 【498.1/44】
○『世界の医療事情』外務省官房会計課福利厚生室編集・発行 2001年 【498.1/111】
○『図表でみる世界の保健医療 2015年版 OECDインディケータ』OECD編著 明石書店 2017年 【498.05/ケイ/'15】
○『OECD医療政策白書 費用対効果を考慮した質の高い医療をめざして』OECD編著 明石書店 2011年 【498.1/ケイ】
○『医療の質国際指標 2 OECD医療の質指標プロジェクト報告書』OECD編著 明石書店 2011年 【498/ケイ/2】
○『医療の質国際指標 OECD医療の質指標プロジェクト報告書』OECD編著 明石書店 2006年 【498/ケイ】
○『講座 医療経済・政策学第6巻 医療制度改革の国際比較』田中滋,仁木立編著 勁草書房 2007年 【498.13/コウ/6】
などを確認。
『講座 医療経済・政策学第6巻に、病院利用の際の自己負担に関する表で、ドイツの欄に個室利用に関する記載がみられる。
出典は「OECD health working papers No.14」となっており、ウェブで検索したところ英文のものが確認できる。
2 「国立国会図書館サーチ」、「CiNii]、当館契約データベース「Magazineplus」等で同様に検索したところ、筧淳夫「諸外国の入院療養環境とわが国の病院との比較」(新しい入院療養環境<特集>) 『病院』54(10) 医学書院 1995年 p939~943)があることがわかるが、当館では所蔵していない。
所蔵館を検索したところ信州大学附属医学部図書館様が所蔵しており、内容照会をお願いしたところ回答とともにウェブ上で閲覧できる論文の情報をいただく。
3 これらを整理して回答。
- 事前調査事項
- NDC
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- 衛生学.公衆衛生.予防医学 (498)
- 参考資料
- キーワード
-
- 入院
- 相部屋
- 照会先
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- 信州大学附属医学部図書館様
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000223843