レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/04/23
- 登録日時
- 2016/01/22 08:29
- 更新日時
- 2016/03/13 16:34
- 管理番号
- 埼熊-2015-106
- 質問
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解決
元禄9年頃に出された酒の課税に関する御触書が『御触書寛保集成』のどのページに載っているか、また御触書の番号が知りたい。
- 回答
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『御触書寛保集成』のp1037、2146番に該当の御触書が掲載されていた。
『御触書寛保集成』(高柳真三編 岩波書店 1976)
p1037「ニ一四六 元禄十丑年十月 今度町中造酒屋共方より御運上出候筈被(後略)」
他に次の資料にも掲載されていたので参考に紹介した。
『東京市史稿 市街篇第13』(東京都編 東京都 1931)
p423-427「是日 元禄十年(紀元二三五七年)十月朔日。 令シテ、市内造酒者ヨリ運上ヲ徴ス。 撰要永久録。正寶事録。」「造酒運上 撰要永久録其他ニ、」に続いて「覚」として質問に該当すると思われる御触書が掲載されている。
なお、本資料のp424-426に掲載されている「覚」以降の部分は『御触書寛保集成』には記述がない。
- 回答プロセス
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1 江戸時代の課税を意味する言葉の調査
(1) 《Google》(https://www.google.co.jp/ Google 2016/01/21最終確認)を〈江戸 & 酒税〉で検索する。
《租税大学校》(https://www.nta.go.jp/ntc/sozei/shiryou/library/02.htm 国税庁 2015/04/23最終確認)
「江戸時代の酒税」から「運上」「小物成」というキーワードを得る。
(2) 運上について
『国史大辞典 2』(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1980)
p203-204「うんじょう 運上」によると、「近世における雑税すなわち小物成の一種。商業・工業・漁業・狩猟業・運送業などの各種の営業に従事するものに対して賦課した。本来はこのような営業に従事するものに対する課税のうち、一定の税率を定めて納付させたものを運上と称し、これに反して定率なく、免許を得て営業する故に金銭を上納させるものを冥加と称した。したがって等しく小物成に属しても、その性質は運上は租税に属し、冥加は献金に類するものといえる。(後略)」
p204「酒運上 元禄十年(一六九七)はじめて酒の消費抑制のため酒運上を設け、酒価が五割騰貴する程度に運上を課した。まもなく宝永六年(一七〇九)に至って、これを免除した。その後安永元年再び酒・醤油・酢の醸造者に冥加金を課すことを令し、以後醸造高に応じて年々冥加金を課した。」
『日本史大事典 1』(平凡社 1992)
p816「運上」によると、「江戸時代における雑税で、小物成の一種。商業・工業・運送業・漁業・狩猟などに従事するものに対して課せられた。(中略)近世に入って課税を意味するものとなった。また、本来は各種営業に対する課税のなかで、一定の税率を定めて納めさせるものを運上と称し、免許を許されて営業する者が、その利益の一部を上納するものを冥加と呼んで区別した。前者は小物成に属し、後者は献金に属するが、現実には運上も冥加も同一の意味に混同して使われている場合が多い。」
同頁「運上」の表によると、「酒運上」は「一六九七年(元禄十)創設、酒の消費抑制のため一時期課したもの。」とあり。
(3) 小物成について
『日本史大事典 3』(平凡社 1993)
p427「小物成 こものなり」の項「広義には、江戸時代における雑税の総称。」
(4) 酒運上について
『国史大辞典 6』(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1985)
p332「さけうんじょう 酒運上 ⇒ 酒株(さけかぶ)」へ参照
p332-333「酒株」の項によると、p333「元禄十年十月幕府は酒の消費抑制の目的で酒運上を課し、運上銀は、それぞれの領主に納入させたが、徳川綱吉の死を契機として宝永六年(一七○九)三月これを廃止した。」
『日本史大事典 3』(平凡社 1993)
p609-610「酒運上 さけうんじょう」「江戸時代、酒造業に対して課せられた酒造税。(中略)一六九七年(元禄十)売価の五割の酒運上を課すように全国に布達した。課税の目的は酒価の引上げによって飲酒を制限するためであるとされた。しかし現実には酒価の高騰をきたし、需要の減少をみるに至らず、一七○九年(宝永六)に廃止された。しかし以後も各藩ではなお有力財源として酒運上が課せられた。」
2 上記情報により『東京市史稿』の調査
『東京市史稿 市街篇第13』(前掲資料)
3 『御触書寛保集成』での確認
『御触書寛保集成』(前掲資料)
- 事前調査事項
- NDC
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- 法制史 (322 9版)
- 参考資料
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- 『御触書寛保集成』(高柳真三編 岩波書店 1976
- 『東京市史稿 市街篇第13』(東京都編 東京都 1931)
- キーワード
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- 御触書
- 酒
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000187434