レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年5月23日
- 登録日時
- 2012/07/16 02:00
- 更新日時
- 2015/07/29 09:47
- 管理番号
- 茨歴閲2012039
- 質問
-
解決
徳川家の「葵の紋」に使われている葵とは、どのような植物なのか。植生も知りたい。
- 回答
-
紋に使われている葵は、「二葉葵」です。『國史大辞典』1の「あおいのもん」の項に記載されています。
この葵は京都の賀茂神社の祭儀に用いる神聖な植物とされ、別名「賀茂葵」とも言われます。
「葵祭」の葵はこの葵です。神事の調度器具にこの葵の文様をつけて神紋としたため、賀茂の神領に関係の深い
丹波の西田氏、三河の松平・本多の諸氏が葵を紋としました。
松平氏を継承した徳川氏は、二葉葵に一葉加えて三つ葉葵の紋としました。
徳川氏が将軍になると、「葵の紋」は徳川氏の独占となり、一門親藩以外の使用を禁止しました。
『日本紋章学』には更に詳しく書かれていますが、絵入りで植物も紹介されていました。
葵は馬兜鈴(ウマノスズクサ)科に属する草木で、学名を二葉細辛(Asarum Caulescens Maxim) といいます。
根茎があり、地上にはって茎の節ごとに髭根を生じ、直立した短い枝は5cmぐらいで、
その先端に通常二枚の長い葉柄を持つ葉を有しており、このため二葉葵と言われます。
花はやや鐘状で、下を向いています。
『原色文化大百科事典』9「ふたばあおい」の項によりますと、山林の下草として自生する多年生双子葉植物で、
根茎は長く地面を這うと記載されています。葉の大きさは幅6~15cm、花の大きさは直径約1cm。
こちらにはカラーで葉と花の写真も掲載されていました。
なお、一般に葵と言われているのは、アオイ科アオイ属の双子葉植物で、タチアオイやフユアオイをさしており、
この二葉葵とは全くの別種です。
当館は歴史館ですので、歴史に関する資料はありますが、一般の資料は多くありません。
植物図鑑を所蔵しておりませんので、近隣の図書館で植物図鑑をご覧になって下さい。
尚当館にはありませんが、他館からの情報によりますと
『原色牧野植物大図鑑』(牧野 富太郎/北隆館/1982)の p48(142)に【フタバアオイ】が載っているとのことです。
“本州福島県以南・四国・九州の山中の樹陰にはえる多年草。芽の中から1本の茎がのび、
先端に2枚の柄のある葉が互生、葉は長さ4~8cm。花は春、葉間から花柄に1花を
下向きにつけ径1cm位。和名は1株に必ず2葉がでることによる。一名カモアオイは
京都賀茂神社の祭札にこのアオイを用いることからいう。徳川家の紋章はこれに基づく。”
との記述がカラーのイラストとともにあると言うことです。
【2015/07/29追記】(他の館より新しい情報をいただきました)
また,当館では所蔵しておりませんが,『徳川家の家紋はなぜ三つ葉葵なのか 家康のあっぱれな植物知識』(稲垣栄洋著 東洋経済新報社 2015.4)という図書もございます。
- 回答プロセス
-
インターネット ヤフーで「葵の紋」を検索、ウィキペディアの「三つ葉葵」がヒット。
國史大事典の1巻に「葵紋」有り。
日本紋章学の各論の二に植物紋があり、その三に葵があった。
世界文化大百科事典の1巻に「あおい」、9巻に「ふたばあおい」があった。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本史 (210 8版)
- 系譜.家史.皇室 (288 8版)
- 日本語 (031 8版)
- 参考資料
-
- 『國史大辞典』 第1巻 国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1981.3 930p <当館請求記号 210.03ー9-1>
- 『日本紋章学』 沼田頼輔著 人物往来社 1968.3 1385p <当館請求記号 288.6-6>
- 『世界文化大百科事典』 1 世界文化社 日本アートセンター〔共〕編 1971.3 543p <当館請求記号 031-10-1>
- 『世界文化大百科事典』 9 世界文化社 日本アートセンター〔共〕編 ⓒ1972 543p <当館請求記号 031-10-9>
- ウィキペディア[last access 2012/05/23]
- キーワード
-
- 葵紋
- 葵
- 徳川家
- 照会先
- 寄与者
-
- 牛久市立中央図書館
- 香川県立図書館
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 団体
- 登録番号
- 1000108592