レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年09月26日
- 登録日時
- 2014/12/10 17:25
- 更新日時
- 2015/01/06 15:17
- 管理番号
- 岩手-207
- 質問
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慶応3年3月頃に南部藩の海岸でカントン・パケットというアメリカの捕鯨船が難破し、函館から合衆国領事ライスが事件を整理するために現地に赴いた。この事件について確認できる南部藩の文書・史料があるか。
- 回答
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事件について、南部藩の文書に記された資料は確認できなかった。
北海道立文書館所蔵資料『箱館奉行所文書』には、慶応3年3月におきた捕鯨船の難破について次のような記述はあるが、詳しい船名、人名などは無し。
『箱館奉行所文書』
文通録 慶応三年/年次:1867~68(慶応3~4)請求記号:A-3/31
⇒南部美濃守領分奥州喜多郡田名部在小田野沢村おひて亜国鯨漁船難破仕候儀 ―(略)―
http://www.bunsho.pref.hokkaido.jp/monjokan/hakodate/a1_3_00031/a1_3_00031_018.pdf(最終アクセス日 2014.12.11)
文通録 万延二年ヨリ慶応四年ニ至ル 卯辰/年次:1866~68(慶応2~4)/請求記号:簿書100
⇒南部美濃守領奥州喜多郡田名部在小田野沢村おひて亜国鯨漁船難破仕候儀申上 ―(略)―
http://www.bunsho.pref.hokkaido.jp/monjokan/hakodate/bo00100/bo00100_025.pdf(最終アクセス日 2014.12.11)
内容は少し異なるが慶応3年、南部藩領だった青森県の田名部小田野沢沖でライスの乗った船が遭難し、救助されたという記述のある下記資料を参考までに紹介。
『北太平洋に於ける近世海難史科』
⇒p97 慶応3年(1867)
8月29日、アメリカ汽船、田名部小田野沢沖で遭難、同乗の函館駐在領事ライス等村人に救助される。「盛岡藩雑書」
国立国会図書館近代デジタルライブラリー
『維新史料要綱 巻7』http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1046681(最終アクセス日 2014.12.11)
⇒p230 慶応3年8月29日
箱館駐在米国領事「ライス」、同国汽船ニ搭乗シテ、小田野沢(陸奥国下北郡)沖ニ至リ、上陸セントシ、風波ノタメ遭難危急ニ瀕ス。盛岡藩村吏等、之ヲ救助ス。 盛岡藩雑書
なお、記述内容の出典となっている『盛岡藩雑書』原本は、もりおか歴史文化館に所蔵されている。
- 回答プロセス
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・岩手県史、南部藩史資料を調査。記述を確認できず。
・「南部藩」「難破」「慶応3年」をキーワードにGoogleを検索。ヒットした中から、『箱館奉行所文書』を見つけ北海道立文書館ホームページで所蔵資料を閲覧、捕鯨船の難破の記述を確認。ただし、船名、人名などは確認できず。
・海難史関係資料をブラウジング。ライスという人名が出ている資料『北太平洋に於ける近世海難史科』を見つけ記述を調査。質問内容と記述が多少違っていた。
・東京大学史料編纂所の維新史料綱要データベースhttp://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/shipscontroller(最終アクセス日 2014.12.11)で「ライス」をキーワードに検索。『維新史料要綱』7巻230頁に記載があることを確認。
・国立国会図書館近代デジタルライブラリーで、『維新史料要綱』7巻該当頁を閲覧。『北太平洋に於ける近世海難史科』と同じ内容。
・出典となっている『盛岡藩雑書』を調査。『雑書』を『覚書』としている資料もあるため、『家老席日誌 覚書』慶応編を通覧。事件の記述確認できず。『盛岡藩雑書』の原本を所蔵している「もりおか歴史文化館」を紹介した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 海運 (683 9版)
- 参考資料
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- 『北太平洋に於ける近世海難史科』田村 忠博∥編 宮古地方史研究会∥出版 1986年 (http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036214876-00)
- キーワード
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- 捕鯨船
- 難破
- 南部藩
- 慶応3年
- ライス
- 照会先
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- もりおか歴史文化館
020-0023 岩手県盛岡市内丸1-50
TEL 019-681-2100 FAX 019-681-5296
- もりおか歴史文化館
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000164303