レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2008年05月02日
- 登録日時
- 2008/11/25 10:43
- 更新日時
- 2008/11/25 10:43
- 管理番号
- 国音-2008-0001
- 質問
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解決
庵点(いおりてん)の意味とその使い方、譜例
- 回答
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庵点とは、箇条書きの文書の頭、和歌・連歌・謡物や、連署する姓名などの肩につける「」「」などの記号。
散文中に歌謡を引用する時にも使い、長唄などの歌謡の本では、段落のはじめを表わす。
古代語の文章に使用された補助符号。
段落表示には、古く漢文訓読において、段落の初めを●○などで記した。
後には、「へ」などのいわゆる「庵点」が用いられた。
・当館所蔵の歌謡の和装本の譜例も紹介した。
- 回答プロセス
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庵点という言葉を知らなかったので、インターネット(ウィキペディア)で確認。
邦楽で使用されているものだと判明し、邦楽の辞典を見たが記載はなく、国語辞典を中心に探した。
その後、当館所蔵の歌謡の和装本(当館請求記号:W0-064)の中で実際に記されている庵点を探した。
いつから庵点が使用されるようになったのかは、文献では確認できなかった。
長唄や邦楽の本から調べようとしたが、下記の資料では見当たらなかった。
・「邦楽百科辞典」昭和59年 音楽之友社
・「邦楽用語辞典」3版 昭和53年 東京堂出版
・「長唄のお稽古」日本放送協会大阪中央放送局編輯
・「長唄の心得」小谷青楓著
・「長唄のうたひ方」杵屋栄蔵著
・「能楽大事典」1908年 年吉川弘文館
・「日本音楽大事典」1989年 平凡社
・(オンラインデータベース)ネットで百科、grovemusic、音楽中事典
※<>は当館請求記号。記号のないものは開架資料。当館は、一部の辞典類や参考図書以外は閉架。
確認した資料と内容は、以下の通り。
【資料1】「広辞苑」およびJapanKnowledge(同内容)
いおり‐てん〔いほり‐〕【庵点】
《庵形をしているところから》
箇条書きの文書の頭、和歌・連歌・謡物や、連署する姓名などの肩につける
「」「」などの記号。検閲・確認などの印とした。
【資料2】「大辞林」
文中に和歌、俳句、謡物などを記すときや、箇条書きの文書、連署の姓名などに付して
確認済みの印とする。
【資料3】「日本国語大辞典」
箇条書の文書、連書の和歌、連歌、謡物、連署の姓名などに右肩に加える「へ」などの記号。
庵形をしているのでいう。
散文中に歌謡を引用する時にも使い、長唄などの歌謡の本では、段落のはじめを表わす。
確認済み、注意をうながすなどの印として用いる。
【資料4】「国語学研究事典」
(補助符号の項目に記載あり)
略~(2)古代語の文章に使用された補助符号。
段落表示には、古く漢文訓読において、段落の初めを●○などで記した。
後には、へなどのいわゆる「庵点」が用いられた。
【資料5】「音訳マニュアル」
記号の横に、「歌記号(うたきごう)」という言葉が記されている。
(記号と読み方のみで、意味は記載されていない。)
余談になるが、2008年5月2日に質問を受け即日回答した。後日わかったが、同年5月19日の朝日新聞生活26面に
庵点についての記事で、質問された教員による説明・コメントが記載されていた。
レファレンサーとしては、目に見える形で研究者の役に立ちフィードバックされることは何よりの喜びである。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本語 (810)
- 辞典 (813)
- 参考資料
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- 【資料1】「広辞苑」およびオンラインデータベース「JapanKnowledge」
- 【資料2】「大辞林」第三版 2006年(三省堂)p.113 (R813.1 D)
- 【資料3】「日本国語大辞典」第二版1巻2000年(小学館)p.820 (R813.1 N1)
- 【資料4】「国語学研究事典」昭和52年(明治書院)p.86 (R810 K)
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【資料5】「音訳マニュアル」全国視覚障害者情報提供施設協会 2006年 p.142
- キーワード
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- 庵点
- 記号
- 符号
- 長唄
- 歌謡
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 本学教員
- 登録番号
- 1000049240