レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/08/06
- 登録日時
- 2018/12/25 00:30
- 更新日時
- 2018/12/26 13:11
- 管理番号
- 所沢新所-2018-009
- 質問
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解決
「グノーシス」という言葉の意味と、「グノーシス主義」がなぜ異端と言われるのか、記載のある資料を見たい。
- 回答
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下記の資料に記載あります。
〇『世界大百科事典 8』平凡社 2007年
〇『オックスフォードキリスト教辞典』E.A.リヴィングストン/編 教文館 2017年
〇『グノーシスの神話』大貫隆/訳・著 講談社 2014年
〇『グノーシス』筒井賢治/著 講談社 2004年
〇『グノーシスの宗教』ハンス・ヨナス/著 人文書院 1986年
〇『哲学事典』平凡社 1979年
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容確認
〇『世界大百科事典 8』平凡社 2007年
p.144-145「グノーシス主義」に下記記載あり。
「キリスト教と同時期に地中海世界で興った宗教思想運動。〈グノーシスgnosis〉はギリシア語で知識を意味するが、ヘレニズム宗教思想の場合意味が限定され、人間を救済に導く究極の知識をさす。グノーシス主義もこの流れに属するが、それと別に既成の世界に対する鋭い批判を含んでいる。」と記載あり。
〔キリスト教徒の摩擦〕として「グノーシス主義は当初からキリスト教に浸透し、教職の位階制度を批判するなどした。その結果教会は、自己の内部にキリスト教グノーシス派という危険な敵を抱えることになった。2世紀に登場する一連の反グノーシス教父にとっては、この似て非なるキリスト教と自己を区別することが課題であり、その努力は〈正統〉的教理の形成という側面を持っていた。」と記載あり。
「教義上の対立点」として「星辰界も含めて被造世界を悪とするグノーシス主義が、創造神の行為を否定的に評価する点」「同様に人間の魂は被造物ではなく、神と同質のものであるとする点」「このように神と人が本質的に同一であるならば、人間は本性上救われていることになり、改めてキリストの救済を必要としない(ことになりかねない)点」「人間の身体がいやしい被造物であると考えるため、しばしばグノーシス主義は、キリストの身体性を否定する仮現説(ドケティズム)をとっていた点」と記載あり。
〇『オックスフォードキリスト教辞典』E.A.リヴィングストン/編 教文館 2017年
p.250「グノーシス主義」に「2世紀にキリスト教的な形態で目立つようになった複雑な宗教運動。ユダヤ教や異教に存在した思想の諸傾向が、キリスト教以前のグノーシス主義という信仰体系に結合していたのか、それともグノーシス主義が、新約聖書の中にも痕跡がありうるような、キリスト教の教えの不規則な発展として教会内で起こったのかは明らかでない。(中略)最重要性は、神に関し、また人間の起源と運命に関して啓示するとされた知識である「グノーシス」に与えられ、それによって人間の中の霊的な要素は救済されうる。この特別な「グノーシス」の源泉は、秘密の伝承が由来している使徒たち、ないしセクトの創設者に与えられた直接的な啓示と考えられた。(後略)」と記載あり。
〇『グノーシスの神話』大貫隆/訳・著 講談社 2014年
p.16「歴史的には、初期ユダヤ教の周縁に、原始キリスト教とほぼ同じ頃に現れ、やがてキリスト教と接触するに及んで、最大の『異端』とされた。なぜなら、本来の人間は至高の神の一部である、という思想であったからである。ただし、現実の人間は居場所を間違っている。それゆえ、自分の本質を認識(ギリシア語で「グノーシス」Gnosis)して、本来の場所へ立ち帰らねばならないというのである。」と記載あり。
〇『グノーシス』筒井賢治/著 講談社 2004年
p.6「グノーシスとはなにか」に「元来、この言葉は「キリスト教グノーシス」と同義であり、初期のキリスト教会で広まっていた一部の思想を総称する、キリスト教史ないし「教会史」における専門用語であった。」「「グノーシス」とは、ただの単語として見るなら、「認識」や「知識」を意味する古代ギリシア語の普通名詞である。」と記載あり。
p.22 「紀元二世紀後半、誕生して間もないキリスト教会では、総称的に「グノーシス」とか「グノーシス主義」と呼ばれるさまざまな異端的流派が広がりを見せていた。キリスト教グノーシス主義に共通する特徴として第一に挙げられるのは、目に見えるこの世界を、それを創造した神を含めて蔑視し、排撃する点にある。この世界を造ったのは、キリスト教正統派の教えでは旧約聖書(=ユダヤ教聖書)の神であるが、この創造神を敵視する以上、正統派=多数派から異端視されるのも当然である。」と記載あり。
〇『グノーシスの宗教』ハンス・ヨナス/著 人文書院 1986年
p.54第二章b「「グノーシス主義」という名称」に「「グノーシス主義」という名前はキリスト教初期の危機的な数世紀に、キリスト教内部あるいはその周辺に出現した多種多様な宗派の総称として用いられる。この語は「知識」を意味するギリシア語グノーシスに由来する。」と記載あり。
〇『哲学事典』平凡社 1979年
p.372「グノシス主義」の項目に「グノシスgnosisは知識を意味するギリシア語。紀元1世紀から2世紀にかけてのころローマをはじめギリシア文化の及んだ中近東一帯に流行した宗教思想。」「人間と世界、世界と神の二元的断絶を認めつつ、絶対的始原としての神からより下級の神を分出させてこれを世界の創造者とし、一方人間の救済を神の自己救済として宇宙論的体系をつくる。グノシスは世界にとらわれた内的人間を解き放って神の国に戻す救済なのである。そこでキリストは地上に下ってグノシスをもたらすのもとされた。このような考え方は、宗教を形而上学的認識のひくい段階で非合理的な方法でおこなわれる民衆の形而上学と考え、キリストの神性を認めるがイエスの人格を忘れる傾向があるとされ、異端の烙印が押された。」と記載あり。
2、記載のなかった資料
×『世界宗教百科事典』世界宗教百科事典編集委員会/編 丸善出版 2012年
- 事前調査事項
- NDC
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- 各教派.教会史 (198 9版)
- キリスト教 (190 9版)
- 日本語 (031 9版)
- 参考資料
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- 世界大百科事典 8 平凡社 2007.9 031
- オックスフォードキリスト教辞典 E.A.リヴィングストン/編 教文館 2017.1 190.33 978-4-7642-4041-4
- グノーシスの神話 大貫隆/訳・著 講談社 2014.5 198 978-4-06-292232-6
- グノーシス 筒井賢治/著 講談社 2004.10 198 4-06-258313-5
- グノーシスの宗教 ハンス・ヨナス/著 人文書院 1986.11 198 4-409-03033-7
- 哲学事典 平凡社 1979 103.3 4-582-10001-5
- キーワード
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- グノーシス
- グノーシス主義
- キリスト教
- 宗教
- 異端
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000249221