レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2005/09/12
- 登録日時
- 2006/01/13 02:10
- 更新日時
- 2006/01/13 02:10
- 管理番号
- O2005M1040
- 質問
-
解決
『東アジアの中の中国史』(貴館請求記号GE241-H16)p.138に「梁啓超は、図書館のもつ「文化を開進させる作用」を「八大利益」としてまとめ紹介している」とありますが、梁啓超の何の著作に紹介されているのか、お判りになりましたらご教示ください。
- 回答
-
おたずねの記事は、梁啓超が主宰した雑誌『清議報』第17冊(光緒25年5月(1899年6月))の第14葉から第16葉に「論図書館為開進文化一大機関」として掲載されているものと思われます。
この記事は「外論彙訳」という小見出しの元に所収され、「訳太陽報第九号」とありますので、日本の雑誌『太陽』9号に載った記事を翻訳紹介したもののようです。記事に署名はありませんので、当該記事を翻訳したのが梁啓超かどうかは不明です。
翻訳元の日本語の記事について、当館所蔵の『太陽』【当館請求記号:YA-67〔マイクロフィルム〕】を確認したところ、下記のような記事が見つかりました。
『太陽』【当館請求記号:YA-67〔マイクロフィルム〕】第5巻第9号 明治32(1899)年4月 pp.23-27
渡邊又次郎:学校外に於ける文化開進の一大機関
「何をか学校外に於ける文化開進の一大機関となす。曰はく、他なし。公共図書館即ち是なり。」とあり、その所以を「第一の利」~「第八の利」として挙げています。
「第一の利」:学生が「補充的智識(*)」を得られる。
「第二の利」:学校教育を受けていない青少年が「必要的知識」を得られる。
「第三の利」:社会人が「参考的知識」を得られる。
「第四の利」:自由に研究することができる。
「第五の利」:僅かな時間で調査を行うことができる。
「第六の利」:無料又は僅かな料金で、貴重書や多くの図書を利用できる。
「第七の利」:世界各国の近況を知ることができる。
「第八の利」:勤勉進取の気象を養成することができる。
(*)この部分は原資料で「知識」ではなく「智識」と表記されています。
また、『清議報』につきましては、当館では以下の3種類を関西館アジア情報室で所蔵しています。 ページ数は「論図書館為開進文化一大機関」の該当部です。
(1)『清議報』影印[当館請求記号 Z1-A4] 第3冊 pp.1079-1084
(2)『清議報』マイクロフィルム[当館請求記号 YA-64] 第17冊 14葉-16葉
(3)『清議報全編』影印 (文海出版社, 1986. (近代中國史料叢刊三編 第15輯 ; 148))
[当館請求記号 GE295-C103] 巻二十 pp.17-21
『清議報』を再編集したものなので、版面が異なっています。
なお、今回の調査にあたり 隋元芬「中国近代図書館事業的興起」(『浙江社会科学』 2000年5期所収)[当館請求記号 Z6-AC22]を参照しました。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
『東アジアの中の中国史』(放送大学教育振興会 2003 貴館請求記号GE241-H16)p138に【梁啓超は、図書館のもつ「文化を開進させる作用」を「八大利益」としてまとめ紹介している】と載っています。『近代中国の思索者たち』、『20世紀の歴史家たち』、『清末政治思想研究』、『梁啓超年譜長編 第1巻~第5巻』、『中国古典文学大系 58清末民国初政治評論集』、には載っていませんでした。
- NDC
-
- 図書館.図書館情報学 (010 9版)
- 参考資料
-
- 隋元芬「中国近代図書館事業的興起」(『浙江社会科学』 浙江社会科編集部 2000年5期所収)[当館請求記号 Z6-AC22]
- キーワード
-
- 梁啓超(リョウ,ケイチョウ)
- 図書館-中国
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 公共図書館
- 登録番号
- 1000027062