すでに調査済ということでした『繊維便覧 原料編』(繊維学会/編 丸善 1976)を確認しましたが、p.295-300「3.3かさ高糸の構造と物理的性質」、p.300-304「3.4 繊度、繊維長、クリンプと物理的性質」の記述では不十分ということですので、質問者が求める専門的解説のレベルは相当高いものと思われ、当館の所蔵資料で解決できるものではないのかもしれませんが、件名:繊維、合成繊維を中心に調査いたしました。
以下の図書が参考になるのではと思います。
(1)『繊維総合辞典』
(繊維総合辞典編集委員会/編 繊研新聞社 2002.10 請求記号:586/85N 貸出不可)
用語解説。p.192クリンプの項に、「捲縮は紡績のしやすさに深く関係し、また糸の膨らみ、製品の風合いに及ぼす影響も大きい」とある。関連してp.210に捲縮加工糸、捲縮ステープル、捲縮特性、p.237コルテックス。
(2)『繊維の百科事典』
(宮本達也/[ほか]編 丸善 2002.3 請求記号:586/71N 貸出不可)
用語解説。p.425-429 加工糸の項に、捲縮加工糸の説明あり。「捲縮は繊維でできたスプリングであって伸縮性があることから伸縮性加工糸ともいう。伸縮性は衣料の着心地を高めるための重要な要素である」とある。関連してp.514に捲縮、捲縮特性、p.994に羊毛の特性のひとつとしてクリンプの説明がある。「このクリンプが弾力性をうみ、糸にふくらみをもたせる。このふくらみが含気率を高め、保湿性を向上させる。」
(3)『羊毛事典』
(亀山克巳/著 日本羊毛産業協議会「羊毛」編集部 1972 請求記号:786.3/71/#)
用語解説。p.77 羊毛のクリンプの特徴として、「可紡性、フェルト性、弾力性、保湿性、崇高性など羊毛の美点の根源をなす一方、毛先から毛元まで均一で正常なものが最も好ましいのは当然である。Crimpの鑑定は、羊毛使用者として重要な仕事の一つである」とある。
(4)『衣料繊維の科学』(松川哲哉/著 家政教育社 1977.8 請求記号:586/16)
p.56-57紡糸によって生じる利点のひとつとして捲縮の記載があり、伸縮性、かさ高加工糸への発達といった説明がある。
(5)『繊維のおはなし:天然繊維から機能性繊維まで』
(上野和義/[ほか]著 日本規格協会 1998.6 請求記号:586/46N)
天然繊維(羊毛)の捲縮の特徴(p.32-34)、化学繊維(合成繊維)の捲縮の特徴や捲縮性を付与する4つの方法について簡単な説明がある(p.64)。「捲縮性は紡績には欠くことのできない性質で、絡合性だけでなく風合いや保湿性にも大きく影響します。」
(6)『繊維の実際知識 商品知識シリーズ 第6版』
(中村耀/著 東洋経済新報社 1980.6 請求記号:586.1/1)
p.38-39 羊毛の捲縮の解説。「純毛の洋服のひじやズボンのひざなどが伸びたものでも、しばらく懸垂しておけば旧に戻るのは、この性質による。」
(7)『加工糸概論:基礎と応用』(川崎健太郎/著 日本繊維機械学会 1967 請求記号:787/173/#)
p.33-125「第2章 加工糸の製造技術」に、クリンプ付与の技術について詳しい説明がある。p.127-194「第3章 加工糸の構造と性質」では、クリンプド・フィラメントの集合体としての伸縮、かさ高性について詳しい記述がある。
(8)『強度を中心とした繊維製品の物理的性質』
(西本秀雄/著 高分子化学刊行会 1964 請求記号:786.1/47/#)
p.188-192 クリンプの測定の方法についての説明がある。
(9)『基礎繊維工学 3 布の構造と性質』(日本繊維機械学会基礎繊維工学編集委員会/編 日本繊維機械学会 1967 請求記号:786/221/#)
p.36-38 クリンプ理論についての説明がある。
(10)『繊維加工便覧 改訂版』(辻和一郎/監修 高分子刊行会 1970 請求記号:786/243/#)
p.301-347「加工糸」には、加工糸の概観、性質および加工条件との関係、応用、技術の動向について解説があり、クリンプと関連する記述もある。
(11)『図説繊維の形態』(繊維学会/編 朝倉書店 1982.11 請求記号:786.1/85/#)
p.188-211「加工された繊維の形態」の「紡績糸、加工糸」に、豊富な写真図版とともに紡績糸、加工糸の説明がある。
(12)『繊維便覧 第3版』(繊維学会/編 丸善 2004 請求記号:586/25N 貸出不可)
p.252-301「糸類の製法と性質」に捲縮加工や紡績糸、フィラメント糸などの解説がある。
また、雑誌記事では、「繊維学会誌」54(5) p.155-176 1998.5 が、<特集>合成繊維の進化―捲縮 となっているようですが、残念ながら当館未所蔵です。
なお、質問者はすでに利用なさっているかもしれませんが、大阪府立産業技術総合研究所 化学環境部 繊維応用系では、技術に関する相談も受け付けているようです。
○技術支援センター 電話0725-51-2525、インターネット
http://tri-osaka.jp/tri24c.html (2009/6/16現在)