レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年04月18日
- 登録日時
- 2014/04/18 17:06
- 更新日時
- 2014/04/26 13:17
- 管理番号
- 20140418-1
- 質問
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未解決
太平洋戦争時のアメリカ軍の兵力の総数、できればヨーロッパ戦線と太平洋戦線それぞれの動員数と陸・海軍それぞれの総数、あと船(駆逐艦、巡洋艦、戦艦、空母等)と戦闘機と戦車の総数もできればお願いします。
- 回答
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アメリカ軍が第2次大戦で投入した戦力を総括する統計数値として、1,635万人もの戦時動員数や108万人の死傷者数と6,640億㌦の総戦費などをあげて、アメリカが闘った他の戦争と比較総括した資料が見つかりますが、WWIIでのヨーロッパ戦線と太平洋戦線ごとに分けた戦力数や、各兵器ごとの総量については見つかりませんでした。約4年にわたる長い戦争期間を通しての総数を加算的に計量できるという質問の前提が現実的でないのかもしれません。
本学所蔵の資料からは、ある時点(開戦時)での海軍保有艦艇の日米比較や、戦争期間中の工業生産高の日米比較、各戦闘や作戦(「ガダルカナル上陸戦」や「レイテ侵攻戦」や「硫黄島作戦」など)における投入艦艇や航空機や兵数などが個別に記述されている資料が見つかるのみになります。
当館でのGiveUp事例になります。
- 回答プロセス
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◆ 資料1にアメリカに関する歴史的な統計が記載されていますが、お尋ねのWWIIの戦争の米軍の総戦力についての統計値は見つかりませんでした。
◆ 資料2の「World Almanac」の p.127-139 に、「Military Affeairs」の章が見つかりますが、この中には米軍の様々な統計資料が記載されています。アメリカがこれまで関わった各戦争の動員数と死傷者の統計が各戦争ごとに比較総括された表がありました(p.135 Casualties in Principal Wars of the U.S.)。この表のWorld War II(Dec. 7, 1941 - Dec. 31, 1946)では、Number serving:戦争動員数として、16,353,659名(内訳は陸軍 11,260,000名、海軍 4,183,466名、海兵隊 669,100名、沿岸警備隊 241,093名)という記述と、Casualties:死傷者数 1,079,162名(内訳は戦死 292,131名、その他の死 115,185名、戦傷 671,846名)という記述が見つけられます。お尋ねのWWIIについてこれ以上の情報は見つかりませんでした。
◆ 資料3の「Encyclopedia」に、David M. Kennedyによる「The World Wars」というアメリカが闘った2つの世界大戦についての総括記事が見つかります。太平洋戦線については、p.638-642に「The War in the Pacific, 1941-1945」、またヨーロッパ戦線については、p.642-646に「The War in Europe, 1941-1945」と、各戦線それぞれ個別の戦闘や作戦を年代別にトレースした解説が記されていますが、約4年にわたる戦争の全期間の戦力総数を総括した数値の記述は見当たりません。
またp.648には「Estimates of tolal costs and number of battle deaths of major U.S. Wars」の表が見つけられますが、これによるとアメリカのWWIIの Total Costsは 6,640億㌦、Original Costsは 2,880億㌦となっています。またNumber of Battle Deathsは 291,557名とされています。
◆ 資料4の「総力戦の時代」にはアメリカの研究者による「第7章 総力戦におけるアメリカの軍事戦略」という論考が見つかります。そこには、兵器などの工業生産高の日米比較について言及した下記の個所に、戦闘機の総生産機数の日米比較が示されています。
・・・・・引用ここから
第二次世界大戦の間、アメリカは日本の一一倍の石炭、二二二倍の石油を産出し、一三倍の鋼鉄、四〇倍の砲弾を生産したのであった。
戦争の最初の年、アメリカは主力艦の四〇パーセントを失い、日本は三〇パーセントを失った。アメリカはその損失を素早く埋め、その後は拡充させた。日本は、戦争が続く間、最初の損失を埋め合わせることさえなかった。一九四〇年のアメリカ海軍の建艦割合だけで、日本海軍の過去一〇年分の建艦予算を上回るものであった。一九四三年に日本のドッグで建造中の空母はわずか三隻であったが、アメリカでは二二隻が建造されていた。日本の航空機生産はアメリカの二〇パーセントにすぎなかった。一九四二年中、アメリカは四万九〇〇〇機の航空機をつくったが、日本はたったの九〇〇〇機であった。戦争の全期間に、アメリカは三二万五〇〇〇機の戦闘機を作ったが、日本は七万六〇〇〇機だけであった。
・・・・・引用おわり
〔出典:総力戦の時代(検証 太平洋戦争とその戦略1)の p.166〕
◆ 資料5の「日本の戦争:図解とデータ」の p.27には、下記の開戦時(1941年)の就役主要艦艇数と海軍航空兵力の比較が記されています。p.29 からは『〈大東亜和戦争〉ハワイ奇襲作戦』以降の個別の各戦闘や作戦ごとの日米の動員兵力についての細かな記述が続いていますが、全期間にわたっての総数の記述はありません。作戦投入戦力の重複や部隊の損耗や補充、編成替えや配置変更など煩瑣な事象を考慮して、総数として加算計量できないのではと思えます。
◎ 開戦時の就役主要艦艇数
戦艦 空母 巡洋艦 駆逐艦 潜水艦 主要戦闘艦艇合計
日本 10 10 38 112 65 261隻 約100万㌧
米国 17 7 37 180 109 350隻 約138万㌧
注)日本では開戦直後に戦艦大和が就役、空母には特設空母1を含む、別に補助艦艇129隻約45万㌧、特設艦船700隻150万㌧保有
◎ 開戦時の海軍航空兵力(日本)
第一線機2274機(戦闘519、爆撃257、攻撃955、偵察439)、太平洋、極東地域にある連合軍機は合計約3600機
また、同書の第2部の「近代日本軍事資料」の p.19には、「第2次対戦までの米軍空母の経歴概見表」があり、1922年就役の CV-1 Langley から1943年就役の CV-L30 San Facintoまでの米軍正規空母30隻の運用状況と各作戦への投入状況が分かりやすく示されています。下欄には正規空母以外の補助空母・護送空母の保有隻数として、1945年の沖縄侵攻作戦時には70隻、太平洋正面の作戦参加は28隻という数も示されています。この表の出典は『Terzibaschitsch著「Aircraft Carriers of the US Navy」を資料として』となっています。
〔参考 Wikipedia:List of aircraft carriers of the United States Navy〕
(http://bit.ly/1hS0GTg last_access:2014/04/18)
レファ協企画協力員の寺尾氏より情報を頂きました。
◆ 資料6の「世界全戦争史」の p.2095-2362.に第二次世界大戦における各戦域の暦年軍事史が示されている。アメリカ軍の総戦力について2つの戦線ごとにわけた総量の記述は見つけられないが、p.2226に「太平洋における海軍戦力比較 1941年12月」と、p.2361に「第二次世界大戦における損害」の各表が見つかる。いずれも資料源は『軍事史百科事典』としている。
◆ 資料7の「The Encyclopedia of Military History」には上記著作の作表の出典となった以下の表が見つかる。この表では日本の動員兵力 740万人に対してアメリカのそれは 1490万人としている。また戦費の比較はアメリカが 3,500億㌦に対し、日本は 1,000億㌦としている。
- 事前調査事項
- NDC
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- アメリカ合衆国 (253 9版)
- 戦争.戦略.戦術 (391 9版)
- 参考資料
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【資料1】.International Historical Statistics the Americas 1750-2000.5th Ed.
(http://bit.ly/1ivKK7L last_access:2014/04/18) (本学所蔵 350.9//Mi59) -
【資料2】.World Almanac and Book of Facts 2007
(http://bit.ly/1lbW5h1 last_access:2014/04/18) (本学所蔵 059.53//W88//2007) -
【資料3】.Encyclopedia of the United States in the Twentieth Century. II-Prt3. Global America.
(http://bit.ly/1hRPCV8 last_access:2014/04/18) (本学所蔵 253.57//E58//2) -
【資料4】.三宅, 正樹 , 庄司, 潤一郎 , 石津, 朋之 , 山本, 文史. 総力戦の時代. 中央公論新社, 2013. (検証太平洋戦争とその戦略)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I048129998-00 , ISBN 9784120045073 (本学所蔵 209.74//Ke51//1) -
【資料5】.桑田悦, 前原透 共編著. 日本の戦争 : 図解とデータ. 原書房, 1982.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001585506-00 , ISBN 4562013044 (本学所蔵 391.2//Ku98) -
【資料6】.松村劭 著. 世界全戦争史. エイチアンドアイ, 2010.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011081993-00 , ISBN 9784901032964 (本学所蔵 391.2//Ma82) -
【資料7】.Dupuy, Trevor Nevitt, 1916- , Dupuy, R. Ernest (Richard Ernest) , 1887-1975. The encyclopedia of military history : from 3500 BC to the present / [by] R. Ernest Dupuy and Trevor N. Dupuy Revised ed. Macdonald and Jane's, 1977.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000006175230-00 , ISBN 0356084132 (本学所蔵 392.0033//D97)
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【資料1】.International Historical Statistics the Americas 1750-2000.5th Ed.
- キーワード
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- 太平洋戦争
- 大東亜戦争
- 第二次世界大戦
- アメリカ軍
- 戦時統計
- ヨーロッパ戦線
- 太平洋戦線
- 戦力比較
- 照会先
- 寄与者
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- 東京都立中央図書館
- 備考
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○ 第二次世界大戦における各国の死者(軍人、民間人)(被害死者、戦死者等)数を知りたい。(東京都立中央図書館)
(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000034214 )
○ 更新の履歴
・2014/04/18に新規登録の内容に、コメント欄で指摘のあった資料6と資料7の情報を、また海兵隊の数と戦費の数え方に誤記があったのを2014/04/26に訂正追記しました。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 統計
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000152468