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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000213299
提供館
(Library)
県立長野図書館 (2110021)管理番号
(Control number)
県立長野-16-130
事例作成日
(Creation date)
平成28年6月23日登録日時
(Registration date)
2017年03月29日 00時30分更新日時
(Last update)
2018年09月15日 09時34分
質問
(Question)
 日本の城の庭園に松の木が植えられてきた理由として「松の実が非常食として食べられていた」ことを挙げている資料はあるか。
質問元図書館を訪れた質問者は、インターネットでそのような記述があるのを見たとのことである。
回答
(Answer)
 日本の城の庭園に松の木が植えられてきた理由として「松の実が非常食として食べられていた」ことを挙げている資料について、確認することができなかった。


調査した資料における記述は以下のとおり
・『岩波日本庭園辞典』小野健吉著 岩波書店 2004【629.21/オケ】p.278
  「日本に自生する代表的なマツは二葉のアカマツ、クロマツおよび五葉のヒメコマツ(ゴヨウマツ)で、これらは古くから庭木としても用いられる」とある

・『世界有用植物事典』堀田 満ほか編 平凡社 1989【471.9/ホミ】p.814-816
  種子に関して食用と記載のある松はチョウセンゴヨウ、ハイマツ、カサマツであり、アカマツ、クロマツ、ゴヨウマツについては食用の記載がなかった。
  マツの種子の形についても説明がある。アカマツとクロマツは種子にその倍以上の長さになる翼があり、松かさ(毬果)が開くと風に乗って種子を遠くまで飛ばすような仕組みになっている。ゴヨウマツの種子にも短い翼があり、自然に種子が散るようになっている。これに比べチョウセンゴヨウとハイマツは翼がなく種子の部分が大きいため可食部も大きいと言える。
  分布について、ハイマツは北海道および本州の高山帯、朝鮮、サハリン等であり、チョウセンゴヨウは本州の中部、四国(愛媛、東赤石山)とある。

・『原色高山植物大図鑑』北隆館 1987【471.72/ゲン】p.781
  「ハイマツは高山帯、チョウセンゴヨウは亜高山帯から低山帯に分布」とあるため、実を食用として利用する松は分布が限られているようだ。

・『本朝食鑑 2』 人見必大著 島田勇雄訳注 平凡社 1977(東洋文庫 312)【499.9/ヒヒ/2】p.88
  「松子(しょうし)」の項目に「近時韓国より移栽しているが、木が高くなければ実らないので、この実ったところを見たことがない。惟(ただ)韓人によって対馬の市で販(あきな)われ、それが全国四方に貨(う)られている。また長崎の市にも、中華より伝来している。尋常(ふつう)の松子(まつのみ)は栢子の大きさくらいで、使うにはあまりよくないものである。」とある。『本朝食鑑』は元禄10年(1697年)に刊行された資料である。

上記より庭園に多く植えられていたと思われるアカマツ、クロマツ、ゴヨウマツの種子は松かさが開けば風に舞い回収が困難であると予測され、回収できたとしても可食部が小さく、可食部が大きく食用とされるチョウセンゴヨウやハイマツは高山帯に分布しており韓国より移栽したものを平地に植えても実らないが、実として輸入したものは流通しているということである。

 また『伊那路 第1巻第7号』上伊那郷土研究会 1957【郷土雑誌】、『伊那路 第29巻第11号』上伊那郷土研究会 1985【郷土雑誌】、『たべもの江戸史』永山久夫 新人物往来社 1976【383/149】には享保の飢饉、天明の飢饉、天保の飢饉の時に松皮餅(だんご)を食べていたという記載はあるが、どちらも城の庭園については触れられていなかった。
回答プロセス
(Answering process)
1. 5類の城、4類の植物、3類の食文化をブラウジング。

2. 情報係職員より「救荒植物」というキーワードを得て再びブラウジング及びOPAC検索。

3. 「日本の城の庭園に松の木が植えられてきた理由として非常食利用が挙げられる」とした資料は見当たらない。松の実の種類や食用とするための手段が記載されている資料に城の庭園について併記されていないものかと考え、引き続き植物図鑑等をあたる。

<その他調査済み資料>
・『古事類苑〔27-1〕 植物部』吉川弘文館 【031.2/コジ/27-1】
・『日本の野生植物 木本 1』佐竹義輔ほか編 平凡社 1989【470.38/ニホ/1】
・『和漢薬百科図鑑 1 全改訂新版』難波恒雄著 保育社 1993【499.8/ナツ/1】
・『原色和漢薬図鑑 下』難波恒雄著 保育社 1980【499.8/ナツ/2】
・『救荒雑草』佐合隆一著 全国農村教育協会 2012【471.9/サリ】
・『食べられる野生植物大事典』橋本郁三著 柏書房 2003【471.9/ハイ】
・『中国本草図録』巻1-別冊 蕭培根主編 中央公論社 1992-1993【499.8/シバ/1-ベツ】
・『本朝食鑑 1』人見必大著 島田勇雄訳注 平凡社 1977(東洋文庫 296)【499.9/ヒヒ/1】
・『本草綱目啓蒙 2 東洋文庫 536』小野蘭山著 平凡社 1991【499.9/オラ/2】
・『有用草木博物事典』草川俊著 東京堂出版 1992【471.9/クシ】
・『城 知恵と工夫の足跡』伊藤ていじ著 読売新聞社 1966【521/イ】
・『非常の食 腹ガ減ッテモ戦ッタ末ニ』タルイピアセンター 2007【383.8/タル】
・『全集 日本の食文化 第11巻 非常の食』雄山閣出版 1999(当館未所蔵資料であるため、小布施町立図書館へ内容確認を依頼)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
衣住食の習俗  (383 8版)
裸子植物  (478 8版)
日本の建築  (521 8版)
参考資料
(Reference materials)
『岩波日本庭園辞典』小野健吉著 岩波書店 2004 (【629.21/オケ】)
『世界有用植物事典』堀田 満ほか編 平凡社 1989 (【471.9/ホミ】)
『原色高山植物大図鑑』北隆館 1987 (【471.72/ゲン】)
『本朝食鑑 2』人見必大著 島田勇雄訳注 平凡社 1977(東洋文庫 312) (【499.9/ヒヒ/2】)
『伊那路 第1巻第7号』上伊那郷土研究会 1957 (【郷土雑誌】)
『伊那路 第29巻第11号』上伊那郷土研究会 1985 (【郷土雑誌】)
『たべもの江戸史』永山久夫 新人物往来社 1976 (【383/149】)
キーワード
(Keywords)
救荒食物
松の実
海松子
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
図書館
登録番号
(Registration number)
1000213299解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
未解決
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