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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000185394
提供館
(Library)
大阪府立中央図書館 (2120005)管理番号
(Control number)
6001010916
事例作成日
(Creation date)
2015/08/02登録日時
(Registration date)
2015年12月10日 00時30分更新日時
(Last update)
2015年12月10日 00時30分
質問
(Question)
刑事訴訟法第239条第2項の公務員の告発義務の制定趣旨について調べています。
第239条第2項では公務員の告発は義務と取れますが、義務とは言えないケースもあるようです。その基準について述べた資料はありますでしょうか。
また、国会等でこの条項が制定されるにいたった経緯やその趣旨が記載されているような資料はありますでしょうか。

次の3点は読みました。
http://www.bengo4.com/other/1146/1288/b_200109/ (弁護士ドットコムでの回答例)
・『刑事訴訟法』(安富潔/著 三省堂 2009年)、
・『大コンメンタール刑事訴訟法 第2版 4巻』(青林書院 2012年)
回答
(Answer)
1.「基準」について、当館蔵書からご紹介します。特に注記がないものは貸出可能です。

『刑事訴訟法 新・コンメンタール』第2版(後藤/昭∥編 日本評論社 2013.9)【当館請求記号:327.6/470N】
p.596に公務員の告発義務についての項目があり、「3.規定の性質」で説明があります。

『条解刑事訴訟法』第4版(松尾/浩也∥監修 弘文堂 2009.12)【327.6/64N/】
p.466に訓示規定にすぎないのか、法律上の義務を課したものかについての記述があり、議論があるとされ、その説明があります。

『注釈刑事訴訟法 第3巻 §189~§270』新版(伊藤/栄樹∥[ほか]著 立花書房 1996.7)【327.6/144N/3】
p.304-306に告発義務の項目があり、その中の「1.規定の趣旨」で説明があります。

雑誌『判例時報』1404号(判例時報社 1992.2.11)【P32/13】(貸出不可)
p.27-29に「公務員の告発義務 重要法令関係 重要法令関係慣用語の解説81」(行政法制研究会/著)という記事があり、第239条第2項についての解説が掲載されています。その中で、「法律上の義務を公務員に対して課したものであるかどうかが、国会で現実に問題となったことがある。」とあり、昭和55年1月31日と、3月7日の衆議院予算委員会での質疑が掲載されています。

『地方行政実務の法律相談 上巻』(関/哲夫∥編著 ぎょうせい 1982)【435/1433/#】
p.93-96に「13 公務員の告発義務」として、公務上学校法人の帳簿を調べていて横領の事実を知った場合に告発をなすべき義務があるかという質問に対しての回答が記載されています。

2.「国会等でこの条項が制定されるにいたった経緯やその趣旨が記載されているような資料」についてですが、結論から申し上げると見つけることができませんでした。

前記『刑事訴訟法 新・コンメンタール 第2版』p.1によると、最初の近代的刑事訴訟法典は、1880年の「治罪法」であり、その後、1890年に「刑事訴訟法」が制定され、1922年に旧「刑事訴訟法」が制定されて、現在の同法は1948年に制定されています。

そこで、治罪法の条文を『明治年間法令全書』[復刻版]第13巻-1(原書房)【320.9/15】で確認すると、p.179に公務員の告発義務にあたる条文としてつぎのものがありました(一部現代字にしています)。なお、帝国議会が設置されたのは1890年ですので、「治罪法」は太政官布告として制定されています。

第九十六條 管理其職務ヲ行フニ因リ重罪軽罪アルコトヲ認知シ又ハ重罪軽罪アリト思料シタル時ハ速ニ其職務ヲ行フ地ノ検事ニ告発ス可シ(以下略)

「治罪法」の成立については、「ボアゾナード刑事訴訟法典草案」(中村義孝/訳 『立命館法学』324号 立命館大学法学会 2009.2)【P32/65N】のp.190の解題によると、フランスから招聘されたボアソナードが起草した草案をもとに太政官布告として公布されたとされています。そして翻訳部分のp.243に記載されている第110条には「公務員による告発」として、公務員の告発義務に該当する条文があります。また、当時のフランス法の翻訳である『仏蘭西法律書 下巻 訴訟法商法治罪法刑法』(博聞本社 1888)【447/375/#】(個人禁)p.491に治罪法第29条として次の条文がありました。

凡ソ設置セラレタル各官憲、各官吏又ハ公ケノ役員其職務ノ執行ニ於テ重罪又ハ軽罪ヲ知リ得タル時ハ其重罪又ハ軽罪ヲ行ヒタル地ヲ管轄スル裁判所ノ検事又ハ犯罪被告人ノ所在ノ地ノ裁判所ノ検事ニ直チニ其旨を通知シ且ツ其検事ニ右重罪又ハ軽罪ニ関スル総テノ参照件、調書及ヒ證書ヲ送付ス可シ 

「ボアゾナード刑事訴訟法典草案」はインターネットで公開されています。(2015/8/2現在)
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/09-02/nakamura.pdf

なお、1890年制定法と1922年制定法についても、それぞれ『明治年間法令全書』[復刻版]第23巻-2、『大正年間法令全書』第11巻-2[復刻版]【共に320.9/15】で確認すると、いくらかの修正はありますが、おおむね同内容の条文がありました。

そのうち、1922年制定法と現行法については国会での修正内容に関する資料がありましたが、共に公務員の告発義務に関する部分についての記述はありませんでした。該当資料は次のとおりです。

『刑事訴訟法案衆議院貴族院委員会議録』(法曹会編 法曹会 1922)【427/143/#】(府内可)
『新刑事訴訟法 提案理由と国会の修正』(最高裁判所事務局刑事部 1948)【327.6/S6/1】(個人禁)

[事例作成日: 2015年8月2日]
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
司法.訴訟手続法  (327 8版)
参考資料
(Reference materials)
刑事訴訟法 第2版 後藤/昭∥編 日本評論社 2013.9 (1,596)
条解刑事訴訟法 第4版 松尾/浩也∥監修 弘文堂 2009.12 (466)
注釈刑事訴訟法 第3巻 新版 伊藤/栄樹∥[ほか]著 立花書房 1996.7 (304-306)
判例時報 (「判例評論」と合本分) 判例時報社  1403-1405,判例評論396 (1404号 p.27-29)
地方行政実務の法律相談 上巻 増補改訂 関/哲夫∥編著 ぎょうせい 1982 (93-96)
明治年間法令全書 [復刻版] 復刻版 内閣官報局∥編 原書房  第13巻-1 (179)
立命館法學 立命館大學法學會 編集 立命館大学法学会  2009(2)<324> (190,243)
仏蘭西法律書 下巻 増訂 博聞本社 1888 (491)
明治年間法令全書 [復刻版] 復刻版 内閣官報局∥編 原書房  第23巻-2 (法律第九十六号 p.10)
大正年間法令全書 [復刻版] 復刻版 内閣印刷局∥編 原書房  第11巻-2 (219)
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/09-02/nakamura.pdf  (「ボアゾナード刑事訴訟法典草案」中村義孝/訳 『立命館法学』324号(2015/8/2現在))
キーワード
(Keywords)
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
法律
質問者区分
(Category of questioner)
個人
登録番号
(Registration number)
1000185394解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決