レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/4/26
- 登録日時
- 2015/05/21 00:30
- 更新日時
- 2015/05/22 18:04
- 管理番号
- B150409153656
- 質問
-
解決
『ハイエク全集 第4巻』(感覚秩序 / 穐山貞登訳)(春秋社、1989)の解説(『感覚秩序』の理論的意義 / 西山千明 pp.249-275)のp.254にシュレーディンガーの言葉が2か所で引用されている。この言葉の引用元の資料を紹介してほしい。
・「ちょっと信じられないほど少数個の原子からなるある集団、すなわち、厳密な統計的法則などとても示しそうもない原子集団が、生きている生物体の中で、きわめて秩序ある規則正しい現象を支配するような役割を、確かに演じている」
・「科学によって外界の描象を得ようとして、われわれはこれまで自分達のパーソナリティをとり除き、これを排してしまうという、はなはだしい単純化の手法を用いてきたため、科学的世界観には倫理的価値も審美的価値も含まれていないし、われわれ人間の究極の目的についても、一言も言及できないでいるので、冒?的な言い方ながら、神にしたところで出る幕がなくなってしまっている」
- 回答
-
2か所で引用されているシュレーディンガーの言葉それぞれについて、当館所蔵資料等を調査したところ、 御照会の言葉の引用元と思われる記載がある(1)~(5)が見つかりました。
(1)
『生命とは何か : 物理学者のみた生細胞』(E.シュレーディンガー 著 岩波書店, 1951 【467-cS38s-O】)
*国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)(国立国会図書館館内限定公開資料)
「第2章 遺傳のしくみ」(pp.27-50)に次の記載があります。
「一寸信じられないほどの少數箇の原子から成る集團、あまり少數なので、嚴密な統計的法則などはとても示しそうもない原子團が、生きている生物體の中できわめて秩序のある規則正しい現象を支配するような役割を、確かに演じているのです。」(p.29)
(2)
『科学とヒューマニズム』(シュレーヂンガー 著 みすず書房 1956 【401-cS38k-H】)
*国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開資料)
「Ⅱ ギリシャ人の自然観 7 科学の特徴は何か?」(pp.168-178)に次の記載があります。
「外的世界の像を構成する目的のために、われわれがわれわれ自身の個性を削除し除外するという非常に簡単化する工夫を用いたということによるのである。その結果、われわれ自身の個性は消失霧散し、おもてむき必要でないのである。(後略)」(p.176)
(3)
『自然とギリシャ人 : 原子論をめぐる古代と現代の対話』(エルヴィン・シュレーディンガー 著 工作舎 1991.11 【HC6-E6】)
「第Ⅶ章 科学的世界像の特性」(pp151-164)に次の記載があります。
「外界の描像を構成しようとの目的から、私たちは自分自身を切り捨て除き去るという、非常に単純化する方策をとりました。そこで自分自身は消失蒸発して、表面的には不要になってしまったのです。(後略)」(p.161)
(4)
『自然とギリシャ人・科学と人間性』(エルヴィン・シュレーディンガー 著 筑摩書房 2014.7 【M22-L19】)
「第7章 科学の特別な特徴とは何か?」(pp.115-125)に次の記載があります。
「このような面食らう状況になっているのは、外部世界の描像を構築するために、自我を切り離して取り除くというとてつもない単純化の仕掛けを使ってきたからだ。それによって、自我がなくなり、雲散霧消し、表面上は必要なくなってしまっているのだ。(後略)」(p.123)
(5)
『Nature and the Greeks ; and, Science and humanism』(Erwin Schrodinger 著 Cambridge University Press, 1996 【H151-A17】)
(2),(3),(4)の原著です。
「Ⅶ What are the special features? 」(pp.90-98)に次の記載があります。
「And the reason for this disconcerting situation is just this, that, for the purpose of constructing the picture of the external world, we have used the greatly simplifying device of cutting our own personality out, removing it; hence it is gone, it has evaporated, it is ostensibly not needed.(後略)」(p.97)
なお、World Cat(http://www.worldcat.org)によると、1954年に刊行された版があるようです。
『Nature and the Greeks』(Erwin Schrodinger 著 Cambridge [England] University Press, 1954)
[その他調査済み資料・データベース](【 】内は当館請求記号です。)
・『生命とは何か : 物理的にみた生細胞』(シュレーディンガー 著 岩波書店, 2008.5 【RA111-J23】)
・『Schrodinger, life and thought』(Walter Moore 著 Cambridge University Press 1989 【GK488-A19】)
・『シュレーディンガー : その生涯と思想』(W.ムーア 原著 培風館 1995.5 【GK488-E21】)
・ 『The nature of life : classical and contemporary perspectives from philosophy and science』(Cambridge University Press 2010 【M22-B40】)
・『シュレーディンガーの思索と生涯 : 波動のパラダイムを求めて』(中村量空 著 工作舎 1993.5 【GK488-E14】)
・『シュレーディンガー : 人とその業績』(C.W.キルミスター 編 共立出版, 1989.7 【MC21-E27】)
・『波動力学形成史 : シュレーディンガーの書簡と小伝』(K.プルチブラム 著 みすず書房 1982.3 【MC53-90】)
・『シュレーディンガーの生涯』(D.ホフマン 著 地人書館 1990.3 【GK488-E6】)
・『シュレーディンガーのジレンマと夢 : 確率過程と波動力学』(長澤正雄 著 森北出版, 2003.5 【MC53-H9】)
・『シュレーディンガーと量子革命 : 天才物理学者の生涯』(ジョン・グリビン 著 青土社 2013.4 【GK551-L3】)
・『世界名言事典』(明治書院, 1988.7 【US57-E33】)
・『世界名言大辞典』(梶山健 編著 明治書院, 1997.11 【US57-G57】)
・『世界名言集』(岩波書店, 2002.5 【KE223-G17】)
・『時代を変えた科学者の名言』(藤嶋昭 編著 東京書籍, 2011.4 【M31-J48】)
・『精神と物質 : 意識と科学的世界像をめぐる考察』(エルヴィン・シュレーディンガー 著 工作舎, 1987.8 【M22-130】)
・『わが世界観 : 自伝』(シュレーディンガー 著 共立出版 1987.6 【H15-340】)
・NDL-OPAC (https://ndlopac.ndl.go.jp/)
・国立国会図書館サーチ (http://iss.ndl.go.jp/)
・国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/)
・CiNii Articles (http://ci.nii.ac.jp/)
・CiNii Books (http://ci.nii.ac.jp/books/)
・J-GLOBAL (http://jglobal.jst.go.jp/)
インターネット及びデータベースの最終アクセス日は2015年4月21日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・「精神と物質」
・「生命とは何か」
・「世界の名著66」
・「わが世界観(自伝)」
- NDC
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- 科学理論.科学哲学 (401 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- シュレーディンガー
- Erwin Schrödinger
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000174811