『中国はなぜ「学力世界一」になれたのか』は、上海や北京の地域を中心に、幼児教育から高等教育、さらには海外留学、就職戦線までの教育事情を解説したものである。実際に中国の教育を受けた何人かの若者・子どもに焦点をあて、どのように教育を受けてきているのか彼らの教育歴を辿りながら中国の教育事情が分かるように構成されている。「応試教育」と呼ばれる熾烈な受験教育の様子や、最新の学力観に基づいた教育「素質教育」についての記載が多くある。また、中国以外に新しい学力観を取り入れた教育を行っているシンガポール、デンマーク、アメリカの学校が紹介されている。
『中国における教育の市場化 学校民営化の実態』は、中国の社会変動を「教育」の面に焦点をあて、実証的に解明したものである。中国の教育の市場化の現実を教育政策の動態、教育社会の実態、学校の事例の実態から明らかにしている。特に多様な学校設置例が説明されており、企業による設置、人民による設置、公立学校による学校設置、公立学校の民間委託による設置などが示されている。
『PISAから見る、できる国・頑張る国 2 未来志向の教育を目指す:日本』の第6章では、中国の教育についての文化的背景、歴史的背景、上海と香港の教育制度や教育を取り巻く状況などについての記述がある。特にPISAテストにおいてどちらの都市も優秀な成績をあげているが、上海は組織化された方法で教育改革を行い、香港は正反対に政府の介入は土台作りや財政支援に留め、改革の過程は学校に任せている点について興味深いとし、比較、考察が述べられている。
『知られざる中国の教育改革』は、中国の都市部で行われている教育のみならず農村部で行われている教育についても現地取材を行い、中国全体の教育事情を解説している本である。著者は少数民族が暮らす農村部、農村県の中心の街である県鎮、桂林市などの地方都市、さらに規模の大きい河北省の省都である石家庄市、そして超大都市である天津や上海において、初級小学校から高級中学校までを訪問調査している。また、変化をとらえやすいようにするために同じ学校を数年後に再訪問する「定点観測」を行っている。訪問した学校を細部にいたるまで紹介しながら、比較調査から見えてくる教育事情の変化や都市部と農村部の大きな教育格差について論じている。
『諸外国の教育動向 2013年度版』内の「中国」の章では、2013年の中国における教育関係の政策発表や、マスコミによる報道発表を記載している。