レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/03/31
- 登録日時
- 2013/05/23 00:30
- 更新日時
- 2013/05/23 00:30
- 管理番号
- 福参-0879
- 質問
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解決
サツマイモの呼称について、インターネットのあるサイトで「ハチリ」とか「アカバチリ」というと書いてあった。
インターネットの情報なので本などにその言葉が掲載されているのか、また、昔のサツマイモについて書いてある資料を見たい。
現在ではにサツマイモのことを「八里半(ハチリハン)=生の芋」と言っているが、もともとはハチリ(八里)と言っていたようだ。
- 回答
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百科事典『日本大百科全書』10(小学館 1986 P174~)では、伝播の状況については記載があるが、別名の記述無し。
『国史大辞典』国史大辞典編集委員会編 (吉川弘文館 1997)の索引(15巻下)で「薩摩芋」については、甘藷、青木昆陽、朝鮮、野国総管、蓑正高の項目が挙げられていた。
◎「甘藷」の項(3巻 P829)を調査。原産地や伝来、国内での普及に関しての記述あり。
別名として、赤芋・薩摩芋・琉球芋・唐芋・蕃藷・朱藷が挙げられている。「ハチリ」などは無し。
『本草綱目』、『徳川実記』、『蕃藷考』からの情報とある。
『国史大辞典』に掲載の参考文献を調査。
①『本朝世事談綺』〔『日本随筆大成 第2期 』12に収録 日本随筆大成編輯部編 (吉川弘文館 1974 P454)〕に、「甘藷」について4行ほどの記述あり。
②『農業全書』〔『益軒全集』巻之8 貝原益軒 (益軒全集刊行部 1911 P696)、及び『日本農書全集 』第12巻 (農山漁村文化協会 1982 P378)〕には、「蕃藷」としてかなり詳しい記述あり。『日本農書全集 』は現代語訳も掲載。
③『重訂本草綱目啓蒙』〔『本草綱目啓蒙』小野蘭山[原著] 杉本つとむ編著 (早稲田大学出版部 1974)、『日本古典全集 』[120] 正宗 敦夫編 (現代思潮社 1978 P396)にそれぞれ収録〕巻二十三菜之弐の中に、「甘藷」の項目あり。
「種ル法ハ農業全書ニ詳ナリ」という記述があり、「農業全書」のほうが古い資料であることがわかる。
芋の呼称として呼ばれている地域を含めて(方言として紹介)数多く掲載あり。
ハチリ、アカバチリ、サツマバチリ、モチバチリ、サクラバチリなどが紹介されている。
索引においては「サツマイモ」「カンショ」「ハチリ」→すべて「甘藷」の項となっている。
これらのことより、サツマイモの呼称としては『重訂本草綱目啓蒙』などに別名の記載がある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 薬学 (499 8版)
- 参考資料
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- 1 日本大百科全書 10 小学館 1986.7 031/R/70-10 174~
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2 国史大辞典 15下 国史大辞典編集委員会?編 吉川弘文館 1997.4 210/03R/70-15-3 319 -
3 国史大辞典 3 国史大辞典編集委員会?編 吉川弘文館 1983.2 210/03R/70-3 829 甘藷 -
4 日本随筆大成 第2期 12 日本随筆大成編輯部?編 吉川弘文館 1974 914//6-12 454 甘藷 -
5 益軒全集 巻之8 貝原/益軒 益軒全集刊行部 1911 081/5/S17-8 696 農業全書5 -
6 日本農書全集 第12巻 農山漁村文化協会 1982 610/8/9-12B 378 農業全書 -
7 本草綱目啓蒙 小野/蘭山?[原著] 杉本/つとむ?編著 早稲田大学出版部 1974 499/9R/6 -
8 日本古典全集 [120] 正宗 敦夫∥編 現代思潮社 1978 081//33-120 396 本草綱目 -
9 大漢和辞典 巻12 諸橋/轍次?著 大修館書店 1959 813/2R/6-12 13597 -
1 日本随筆大成 第2期 13 日本随筆大成編輯部?編 吉川弘文館 1974 914//6-13 -
2 角川漢和中辞典 貝塚/茂樹?[ほか]編 角川書店 1978 813/2R/11E -
3 日本大百科全書 25 小学館 1989.3 031/R/70-25
- キーワード
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- サツマイモ 甘藷 ハチリ アカバチリ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 尚、『重訂本草綱目啓蒙』の索引には「ハチリハン(八里半)」という言葉もあったが、現在のサツマイモではなく「黎豆(レイトウ)」を指していた言葉であったようだ。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000131557