レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20120820
- 登録日時
- 2012/11/25 02:01
- 更新日時
- 2012/12/27 20:20
- 管理番号
- 30001257
- 質問
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解決
良く選挙の報道で「僅差で当選」などといわれますが、どの位の差までが僅差なのでしょうか?各新聞社など報道機関で内規のようなものがあるか、正式に公の機関で定められているか知りたい。もし内規などなければ、これまでの実例を調べていただいた範囲で最大の僅差を教えてほしい。
- 回答
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『NHK新用字用語辞典』『朝日新聞の用語の手引』『毎日新聞用語集』 『読売新聞用字用語の手引』といった、マスコミ作成の用字・用語集を確認しましたが、「僅差」という言葉については、「小差・微差・わずかな差」といった言葉への言いかえの案内はありますが、数字の比較において、「僅差」がどれほどの差を表現するのかといった用字指定はいずれの資料にも記載がありませんでした。
お尋ねのような報道機関ごとの内規として設定されている基準はあるかもしれませんが、一般に流通していないと考えられますため、確認は難しくなっております。必要な場合は、各報道機関までお問い合わせ、ということになると思います。
続きまして、「最大の僅差」について、これまでの実例を調査しました。
当館で導入しておりますデータベース「ヨミダス歴史館(読売新聞)」「中日新聞記事データベース(中日新聞・東京新聞)」「日経テレコン21(日本経済新聞)」にて、選挙関係の記事(選挙結果・過去の結果を踏まえての展望 など)において「僅差」という用語が用いられている記事を検索しました(立候補者・当選者・関係者などの談話で用いられたものは省きました)。検索範囲は1988年前後から現在までとしました。
そのうち、票差【当選者の票数-次点の票数】が最大のもの
惜敗率【次点の票数/当選者の票数】が大きいもの
票差に総得票における割合【(当選者の票数-時点の票数)/総得票】が大きいもの
のうち、これらの数値が最大のものを「最大の僅差」の候補としました。なお、調査は2012年の8月24日から8月28日にかけて行いました。以降、データベース掲載情報が変化している可能性もありますので、予めご了承ください。
その結果は以下の通りです。
読売新聞
票差が最大のもの:2011年横浜市長選(当選者910297・次点874626) 2009年11月25日横浜ローカル面
惜敗率・票差の総得票における割合が大きいもの:2010年三好市長選(当選者11966・次点10250) 2010年4月21日徳島ローカル面
中日新聞・ 東京新聞
票差が最大のもの:2009年衆院選岐阜3区(当選者137562・次点120598) 2009年7月12日中日新聞岐阜県版
惜敗率・票差の総得票における割合が大きいもの:2009年筑北村長選(当選者2098・次点1806) 2009年10月26日中日新聞信州版
日経新聞
票差が最大のもの:2005年衆院選千葉7区(当選者118801・次点104630) 2006年04月16日 日本経済新聞朝刊(2ページ)
惜敗率・票差の総得票における割合が大きいもの:2003年1月衆院選高知1区(当選者43232・次点36333) 2005年9月5日日経新聞朝刊(31ページ)
あと、選挙関係の記事ではありませんが、2006年1月24 日東京新聞1面掲載コラム「筆洗」は元ライブドア社長・堀江氏逮捕に関する内容になっており、堀江氏が次点で落選した2005年9月の衆院選広島6区の選挙結果を「僅差」と表現しています(当選者110979・次点84433)。選挙関係の記事とは異なりますが、「最大の僅差」の候補と思われます。
別に、地方新聞の記事の一部(論説記事)などを一括検索できる「EL-NET」でも同様に検索をかけましたところ、2012年の日向市長選(当選者13112・次点8910)について書いた2012 年3月26日の宮崎日日新聞の見出しに「僅差」が用いられていました。こちらも「最大の僅差」の候補と思われます。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 読売新聞用字用語の手引 読売新聞社/編著 中央公論新社 2008.9
- 毎日新聞用語集 毎日新聞社/編 毎日新聞社 2007.3
- 朝日新聞の用語の手引 [2007]改訂新版 朝日新聞社用語幹事/編 朝日新聞社 2007.11
- NHK新用字用語辞典 NHK放送文化研究所/編 日本放送出版協会 2001.10
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000114839