レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年03月15日
- 登録日時
- 2011/07/20 02:00
- 更新日時
- 2015/11/05 00:30
- 管理番号
- 10-1A-201009-02
- 質問
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解決
戦時中の学童疎開の経費は、どこの予算枠であり支出額はどうだったのか。また、国・府・市負担、保護者負担などについても知りたい。
- 回答
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1.国全体の経費について
『学制百年史』(文部省/編 帝国地方行政学会,1972)p568によると、「集団疎開に要する経費は、保護者の負担を除いた純負担額に対し八割、受入諸費に対し全額を国庫が負担した。昭和十九年度の国庫補助予算は約1億100万円、昭和二十年度は約1億4,000万円であった。」と記述がありました。
また、「文部科学省」のWEBサイトにも同文が公開されていることをご紹介しました。
文部科学省 『学制百年史』「第一編 近代教育制度の創始と拡充 第四章 戦時下の教育(昭和十二年~昭和二十年) 第一節 概説 三 戦時教育体制の進行」
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpbz198101/hpbz198101_2_112.html (2011.2.22確認)
『昭和財政史 第3巻 歳計』(大蔵省昭和財政史編集室/編 東洋経済新報社,1955)p466「第四章太平洋戦争から終戦まで」の項目に学童の集団疎開についての記述があります。
また、数値が異なりますが、p467「第三百十九表 防空関係諸経費増加推移」に文部省所管の内とする、学童集団疎開補助の昭和19.20年の数字をご紹介しました。
2保護者負担額について
『新修大阪市史 第7巻近代3』(新修大阪市史編纂委員会/編集、大阪市 1994.3)p1032に「集団疎開にかかる費用は保護者が月10円を負担するほかすべて市が負担することになっていた(府実施要綱)」との記述があります。
『学童集団疎開史研究 4 』 ( 大阪市教育センター/[編] 大阪市教育センター,1992.3)p10-11に『北国毎日新聞』昭和19年8月20日記事として大阪から来る集団学童の父兄負担額は月10円、諸手当決る」と記載があります。
『学制百年史』(文部省/編 帝国地方行政学会,1972)p567に疎開地における児童の生活として、食費・土地建物借受料月額の記述とともに、「保護者は生活費の一部として月10円を負担した。」とあります。
3.市経費の具体的な内容
『学童集団疎開史研究 1』(大阪市教育センター教育研究室/[編] 大阪市教育センター、1989.3)の下記ページに記載があります。
p80「十二 疎開準備のための基本的規則の策定」に「集団疎開学校準備指針」の紹介があります。経費について詳述。
p82には「保護者は(中略)毎月10円を納付」とありました。
p173-187「集団疎開学校準備指針」(大阪~現地までについて定めたもの)の全文掲載。設備費・事業費などの記述があります。
p188-207「大阪市立国民学校児童集団疎開 規則並ニ処務規程」第二節「収入」、第三節「支出」、第四節「決算」あり。具体的な額については記載はありません。学校長は父兄から徴収したお金を区収入役へ払い込むなど、納入の手続きが分かります。
上記の他にも、下記の関連資料があります。
『斐川と学童集団疎開 : 二十一世紀に伝えたい貴重な証言 斐川町合併四十五周年記念出版』(斐川町,2001.3) p5「また集団疎開にかかる費用は・・」という記述ありました。
『大阪の学童疎開』 (赤塚 康雄/編著 クリエイティブ21,1996.8)
第二部「大阪の学童疎開」(資料編)に、学童疎開に関する資料(府や市の疎開要綱など)が上述の「集団疎開学校準備指針」7「大阪市立国民学校児童集団疎開 規則並ニ処務規程」以外にも多数収録されています。
また、Webcat Plus「+連想検索」 「学童集団疎開の研究」の連想結果 http://webcatplus.nii.ac.jp/ (2011.7.19確認)より、『学童集団疎開の研究』(星田言/著、近代文芸社、1994)の目次に「集団疎開の費用と予算支出」の項があります。当館では所蔵しておりませんが、大阪府立中央図書館が所蔵していますのでご案内しました。
- 回答プロセス
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学童疎開のことなので、当時文部省が管轄していたと思われるので、文部省が発行した当館所蔵資料を確認していたところ、『学制百年史』(文部省/編 帝国地方行政学会,1972)に回答記載の記述がありました。
また、費用に関することなので、財政に関連する資料を探していたところ、『昭和財政史 第3巻 歳計』(大蔵省昭和財政史編集室/編 東洋経済新報社,1955)を調べたところ、回答の記述が見当たりました。
大阪の歴史に関することなので、『新修大阪市史 第7巻近代3』(新修大阪市史編纂委員会/編集、大阪市 1994.3)を確認すると、p1032に「集団疎開にかかる費用は保護者が月10円を負担するほかすべて市が負担することになっていた(府実施要綱)」との記述がありました。
また、大阪の学童疎開のことなので、『学童集団疎開史研究 1』(大阪市教育センタ-教育研究室/[編] 大阪市教育センタ-、1989.3)を調べたところ回答記載の記述がありました。
Webcat Plus「+連想検索」 「学童集団疎開の研究」の連想結果 http://webcatplus.nii.ac.jp/ (2011.7.19確認)より、『学童集団疎開の研究』(星田言/著、近代文芸社、1994)の目次に「集団疎開の費用と予算支出」の項があります。当館では所蔵しておりませんが、大阪府立中央図書館が所蔵していますのでご案内しました。
- 事前調査事項
- NDC
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- 教育史.事情 (372 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <0080148852> 学制百年史 文部省/[編] 帝国地方行政学会 1972.10
- 『昭和財政史 第3巻 歳計』 大蔵省昭和財政史編集室/編, 東洋経済新報社,1955,<当館書誌ID:0080147118>
- 『新修大阪市史 第7巻近代3』 新修大阪市史編纂委員会/編集, 大阪市,1994.3,<当館書誌ID:0000400903>
- 『学童集団疎開史研究 1 』 大阪市教育センタ-教育研究室/[編], 大阪市教育センタ-,1989.3,<当館書誌ID:0070121699>
- 文部科学省『学制百年史』「第一編 近代教育制度の創始と拡充 第四章 戦時下の教育(昭和十二年~昭和二十年) 第一節 概説 三 戦時教育体制の進行」http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpbz198101/hpbz198101_2_112.html (2011.2.22確認)
- 『学童集団疎開史研究 4 研究紀要 第52号』 大阪市教育センター編]1992.3<当館書誌ID:0000296825>
- 『大阪の学童疎開 』 赤塚 康雄/編著 クリエイティブ21,1996.8 ISBN 4-906559-06-9<当館書誌ID:0000567375>
- 『斐川と学童集団疎開 : 二十一世紀に伝えたい貴重な証言 斐川町合併四十五周年記念出版』斐川町(島根県) : 斐川町,2001.3<当館書誌ID:0010116490>
- キーワード
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- 学童疎開
- 集団疎開
- 疎開
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000088691