レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年09月07日
- 登録日時
- 2024/01/11 11:35
- 更新日時
- 2024/01/19 15:02
- 管理番号
- 横浜市中央2708
- 質問
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解決
神奈川音頭ができた経緯を知りたい。歌詞や振付もわかると良い。
- 回答
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「神奈川音頭」という曲は複数見つかりましたので、それぞれ関連する資料をご紹介します。
1 昭和52(1977)年に横浜市神奈川区の区制50周年を記念して神奈川区が作成したもの。
(作詞は吉川静夫、作曲は小沢直与志、歌唱は鈴木正夫、振付は中山義夫)
(1) 作成された経緯等
ア 『神奈川区制施行50周年記念事業の記録』
神奈川区制施行50周年記念事業実行委員会/編
神奈川区制施行50周年記念事業実行委員会 1978.3
昭和52(1977)年に行われた記念事業の報告書です。各事業内容が詳細に書かれています。
神奈川音頭に関する箇所は以下のとおりです。
(ア) 事業概要
p.4「(2)②神奈川音頭の発売」
日本ビクターに制作を依頼し、当初プレス2,000枚を完売したことがわかります。
(イ) 記念式典での披露
p.16~p.17
昭和52(1977)年10月1日に日産自動車(株)横浜工場体育館で行われた記念式典で音頭と
踊りが披露されました。(p.21に写真あり)
(ウ) 決算書
p.24「4.神奈川音頭収支決算書」
昭和53(1978)年2月10日時点の決算書が掲載されています。
(エ) 区民まつりでの披露
p.40「(3)神奈川区民まつり部会報告」
昭和52(1977)年10月1日、2日に反町公園で開催された区民まつりで神奈川音頭が
踊りやぐらで発表されたことが記載されています。
(オ) 作成の詳細な経緯
p.49~p.50「(4)行事部会報告 ②神奈川音頭の作製とレコードの発売」
ビクターへの楽曲作成依頼から完成までの経緯や、売り上げ枚数等について書かれています。
また、作詞は吉川静夫、作曲は小沢直与志であることも明記されています。
イ 「楽しかった区民まつり」
(「広報よこはま」神奈川区版 No.345 昭和52年11月号 1面)
(「広報よこはま各区版 1977年(昭和52年)1-12月」
横浜市市民局広報課 1977に収録)
昭和52(1977)年10月1日と2日に反町公園で行われた 区民まつりの様子が掲載されています。
両日とも神奈川音頭に合わせて輪になって踊ったと書かれています。
また、レコードを総務課統計選挙係で販売中であることも書かれています。
ウ 「古本市など多彩に 区制50周年神奈川区の区民まつり」
(「神奈川新聞」 昭和52(1977)年10月2日 p.29)
区民まつりで「出来たばかりの神奈川音頭で民謡踊り」を行ったことが書かれています。
(2) 歌詞等
ア 『神奈川音頭』 横浜市神奈川区 1977.9
記念に販売されたレコードのジャケット等を複製したものです。
ジャケットにも区政50周年記念で作成された旨の記載があります。
その他、歌詞、譜面、振付も確認することができます。
イ 「50歳だよ神奈川区」
(「広報よこはま」神奈川区版 No.343 昭和52年9月号 1面)
(「広報よこはま各区版 1977年(昭和52年)1-12月」
横浜市市民局広報課 1977に収録)
神奈川音頭の楽譜と歌詞が掲載されています。
2 制作・販売が昭和29(1954)年で、作詞が西沢爽、作曲が八洲秀章のもの(経緯等は不明。)
(1) 『昭和流行歌総覧 戦前・戦中編』 福田俊二/編 柘植書房 1994.04
p.376 昭和29年にコロンビアから発売されたもととして「神奈川音頭」が
掲載されています。(「[歌手]鶴田六郎、久保幸江、浜達美」)
(2)『全日本出版物総目録 昭和29年版』 国立国会図書館/編 印刷局朝陽会 1977
昭和29(1954)年中における日本国内の出版物を網羅的に掲載した資料です。
p.593の「音盤」の項目に「神奈川音頭」が掲載されています。
(3) 『神奈川の歌と民謡』 神奈川県観光協会/編 神奈川県観光協会 1955.3
神奈川県観光協会が県内の民謡等を集めた図書資料です。
p.2に神奈川音頭の歌詞が掲載されています。歌詞は「便り横須賀~(略)~」
で始まっています。
(4) 『日本民謡大鑑 下』 榊原帰逸/著 西田書店 1985
p.152~p.153に歌詞と振付の一部、作詞が西沢爽、作曲が八洲秀章であることが
書かれており、歌詞も上記(1)と一致しますが曲名は「神奈川県音頭」となっています。
曲名の違いに関する情報は見つかりませんでした。
3 昭和8(1933)年に新民謡の流行とともにコロンビアレコードから作成・販売されたもの
(作詞は福岡静思、作曲は佐々紅華、歌唱は藤本二三吉)
(1) 作成された経緯等
ア 「資料よもやま話2 横浜の新民謡」
(「開港のひろば 横浜開港資料館館報」第101号 横浜開港資料館 2008.7)
p.6~7 昭和初期には、レコード会社が主体となってご当地ソング(新民謡)が
作成されたと書かれています。
その中のひとつとして「神奈川音頭」も作られたことがわかります。
作詞者等も明記されています。
イ 「戦前のご当地ソング-新民謡の時代」
(「横濱 YOKOHAMA」Vol.32 2011年春号 神奈川新聞社 2011.4)
p.26 音楽産業や新聞等の地域メディアの後押しもあり、昭和初年に「新民謡」 の時代が訪れたと書かれています。
その中のひとつとして「神奈川音頭」も挙げられています。
ウ 「「横浜の歌」一覧表」
(「市民グラフヨコハマ」No.77 横浜市市民局相談部広報課 1991)
p.34に「神奈川音頭 藤本二三吉 S8」と記載があります。
エ 『昭和流行歌総覧 戦前・戦中編』 福田俊二/編 柘植書房 1994.04
p.162 昭和8(1933)年に発売されたものとして「神奈川音頭」が掲載されています。
オ 新聞記事「川崎女郎衆 納涼音頭」
(「読売新聞(神奈川版)」 1934年8月3日 p.1)
遊郭内の広場で娼妓たちが踊ったと書かれています。
カ 『昭和流行歌総覧 戦後編 1』 加藤正義/編 柘植書房新社 2007.1
p.251 作詞者等が同様で昭和10年にも「神奈川音頭」が発売されていることがわかります。
上記ア~エでご紹介した楽曲と内容が違うか等の情報は見つかりませんでした。
(2) 歌詞等
作詞者等の情報が同じ次の2点の資料が見つかりました。
ただし、歌詞の内容はそれぞれ違うものとなっています。
ア 『新民謡:(時事新報社懸賞選歌)神奈川音頭』
福岡静思[作詞] 佐々紅華[作曲]
佐々紅華[編曲] 藤本二三吉 発売年月日1933年11月
国立国会図書館の歴史的音源データベースで視聴できる音源です。
歌詞のテキストは閲覧できませんが、音源を聴くと「野毛は桜よ~(略)~」で
始まっています。
https://rekion.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8274961
※国立国会図書館または歴史的音源配信提供参加館で視聴可能です。
(WEB情報最終確認日:2023年9月15日)
イ 『郷土の民謡小唄集 豆・相・武の歌』
横浜貿易新報社/編 横浜貿易新報社 1936.1
横浜貿易新報社(現・神奈川新聞社)が県内の民謡等を集めた図書資料です。
p.4に神奈川音頭の歌詞が掲載されています。(作詞は福岡静思、作曲は佐々紅華)
歌詞は「繭はしろがね~(略)~」で始まります。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 声楽 (767 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000344514