レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年08月08日
- 登録日時
- 2023/12/28 16:28
- 更新日時
- 2023/12/28 16:28
- 管理番号
- 千県西-2023-0005
- 質問
-
解決
浦安市の清瀧神社(せいりゅうじんじゃ)内にある堀江水準標石について知りたい。
- 回答
-
堀江水準標石は日本最古の水準標石で、平成19年に土木学会選奨土木遺産に認定されました。現在では保存のための柵や案内板が設置されています。
以下の【資料1】から【資料4】に記載があり、1~2ページで概要がまとめられています。
水準標石は、その土地の標高を正確に示すための石です。堀江水準標石は明治5(1872)年、政府がオランダから招いたお雇い技師リンドによって設置されました。リンドは利根川・江戸川の水準測量を行い、河川の水位を測るために、利根川河口に飯沼水準標石(銚子市)を、江戸川河口には堀江水準標石を設置しました。
【資料1】国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所「堀江水準標石」
(https://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/edogawa00229.html)
河川を改修する際、川の水位を測るための基準点を定めるために設置されたことが書かれています。
【資料2】『明治以降における千葉県の社会資本整備のあゆみ』(千葉県県土整備部 2018)
「6 日本の河川測量のはじまり~飯沼水準原標石・堀江水準標石~」
水準標石設置の経緯や、図表、基本情報が1ページにまとめられています。
この資料は、千葉県のホームページからダウンロードすることができます。
(https://www.pref.chiba.lg.jp/kendosei/meiji150/ayumi.html)
【資料3】『ちばの川訪ねある記 水辺の自然、文化、土木遺産』(ちば河川交流会 2021)
p103「近代日本における水準測量の出発点 堀江 水準標石」
写真3枚、神社までの地図とアクセス方法が掲載されています。
なお、p104には飯沼水準標石が掲載されています。
【資料4】伊藤等著「旧浦安地区はこんなところです:-堀江水準標石について-」(『地図』50巻 2012)p30-31
J-STAGEで公開されています。
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjca/50/Supplement/50_30/_pdf/-char/ja)
「4.堀江水準標石(リンド水準標石)」で、写真や地図とともに水準標石の紹介をしています。
【資料5】から【資料9】の論文記事には、より詳しい内容が書かれています。
【資料5】島崎武雄、市川幸男著「明治5年 (1872) のオランダ人お雇い技師リンドによる水準測量旅行と堀江 Y. P. 水準標石設置」(『土木史研究論文集』26 2007)p85-96
J-STAGEで公開されています。
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalhs2004/26/0/26_0_85/_pdf/-char/ja)
堀江水準標石の経緯・現状、『リンド日記』による明治5年の水準測量の実態を把握するとともに、現地の測量を行って首位順標石の高さ・位置を確認し、検証しています。
【資料6】市川幸男著「オランダ人お雇い工師リンドによる浦安堀江標準標石の設置から永田町日本水準原点設置までの経過について」(『千葉県立関宿城博物館研究報告』第12号 2008)p119-127
リンドの功績と、その後の東京湾中等潮位T.P.の設定、日本水準原点の設置について書かれています。堀江水準標石については、リンドの功績について書かれた項目で触れています。記事の最後には、堀江水準標石と説明看板の写真を含む、13枚の写真が収録されています。
【資料7】島崎武雄著「堀江と銚子の水準標石」(『地図中心』2008年11月号 2008)p6-9
リンドの水準測量や明治初年の堀江・銚子について書かれています。リンドの測量地点を地図上に表記した図や、東京湾中等潮位と各水位基準を表した図なども掲載されています。
本文中には「忘れ去られていた堀江水準標石を発掘したのも、加藤紀宏氏であった。加藤氏に教示されて堀江の清瀧神社に現地踏査に訪れた筆者も、最初は土に埋もれた水準標石を発見できず、2度目に訪れてようやく発見することができた」との表記があります。
【資料8】『論集江戸川』(「論集江戸川」編集委員会著 「論集江戸川」編集委員会 2006)
p51-61「明治前期の低水工事と内務省土木寮利根川出張所開設」ではリンドによる水準測量や堀江水準標石について、p261-270「お雇い外国人技師と利根運河」ではリンドの功績について書かれています。
また、p362-363には「江戸川関連年表 2明治時代~戦前まで」が収録されています。
【資料9】「河川・水路・港湾の基準面について」(『国土地理院時報』 No.99 2002)p9-19
水準標石の設置や、他の基準面との関係について書かれています。
この他、以下の資料が見つかりました。
【資料10】『お雇い外国人 15 建築・土木』(鹿島出版会 1976)
p168-171「リンドウ-最初の水準原標-」
関東の各河川の実地調査、水位基準点の設置などリンドの功績について書かれています。
【資料11】『甦える水準標石 日本の標準海水面』(〔加藤紀宏〕 1994編了)
「利根川改修沿革考(明治年間)」など、利根川・江戸川水準測量および基準海水面に関する文献をまとめています。
【資料12】『「甦える水準標石」に関する資料追録』(〔加藤紀宏〕 1996編集完了)
「Isaac Anne Lindo氏に関する記録」「蘭人工師エッセル日本回想録」などの文献をまとめています。
- 回答プロセス
-
1 当館契約データベース「JapanKnowledge」で「水準標石」を検索。概要を掴んだのちにGoogleを「堀江水準標石」で検索し、【資料1】【資料2】【資料9】がヒット。
2 千葉県立図書館の図書・雑誌・視聴覚資料検索を書名「堀江水準標石」で検索したが、ヒットなし。書名「水準標石」で検索し、【資料11】【資料12】がヒットした。
3 千葉県立図書館菜の花ライブラリーを「堀江水準標石」で検索し、【資料6】がヒットした。
4 J-STAGEを「堀江水準標石」で検索し、【資料4】【資料5】がヒットした。
5 CiNii Researchを「水準標石」で検索し、【資料7】がヒットした。
6 【資料6】の参考文献から【資料8】を見つけた。
7 【資料9】の参考文献から【資料10】を見つけた。
8 他のレファレンスで使用していた【資料3】に、堀江水準標石の情報があることを見つけた。
(インターネット最終アクセス:2023年12月10日)
- 事前調査事項
- NDC
-
- 河海工学.河川工学 (517 9版)
- 参考資料
-
- 【資料1】『明治以降における千葉県の社会資本整備のあゆみ』(千葉県県土整備部 2018)(0201174583)
- 【資料2】『ちばの川訪ねある記 水辺の自然、文化、土木遺産』(ちば河川交流会 2021)(2102974617)
- 【資料3】伊藤等著「旧浦安地区はこんなところです:-堀江水準標石について-」(『地図』50巻 2012)p30-31
- 【資料4】島崎武雄、市川幸男著「明治5年 (1872) のオランダ人お雇い技師リンドによる水準測量旅行と堀江 Y. P. 水準標石設置」(『土木史研究論文集』26 2007)p85-96
- 【資料5】市川幸男著「オランダ人お雇い工師リンドによる浦安堀江標準標石の設置から永田町日本水準原点設置までの経過について」(『千葉県立関宿城博物館研究報告』第12号 2008)p119-127(1102151528)
- 【資料6】島崎武雄著「堀江と銚子の水準標石」(『地図中心』2008年11月号 2008)p6-9
- 【資料7】『論集江戸川』(「論集江戸川」編集委員会著 「論集江戸川」編集委員会 2006)(1102010459)
- 【資料8】「河川・水路・港湾の基準面について」(『国土地理院時報』 No.99 2002)p9-19
- 【資料9】『お雇い外国人 15 建築・土木』(鹿島出版会 1976)(1100085399)
- 【資料10】『甦える水準標石 日本の標準海水面』(〔加藤紀宏〕 1994編了)(1101603265)
- 【資料11】『「甦える水準標石」に関する資料追録』(〔加藤紀宏〕 1996編集完了)(1101603274)
- キーワード
-
- 千葉県-浦安市
- 堀江水準標石
- 水準標石
- リンド
- 水準測量
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000344163