「兎田」の所在地については、大正15年発行の地図により確認できましたが、地名の起源等は確認できませんでした。小字名のようです。
(1)「兎田」の所在
「国立国会図書館デジタルコレクション」でインターネット上に公開される以下の地図から確認しました。
・『宇都宮市及郊外全圖』(宇都宮市/著 集英堂書店 1926)
(コマ番号3)八幡山公園の北側に「兎田」の記載があります。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/944776(国立国会図書館デジタルコレクション 2021年6月20日最終アクセス)
(2)「兎田」が存在していた年代
・『角川日本地名大辞典 9 栃木県』(角川日本地名大辞典」編纂委員会/編 角川書店 1984)
巻末「資料編」に「小字一覧」が掲載されています。
原資料は、大正6年に大愚狂人(関口琢磨)によって筆写された「下野小字名鑑」です。(p1343「凡例」より)
p.1352「豊郷 上川俣」の項の「兎田」の記載があります。
原資料の「下野小字名鑑」は当館ホームページ内「栃木県立図書館デジタルコレクション 関口文庫」から閲覧可能です。
http://www.lib.pref.tochigi.lg.jp/?page_id=314(2021年6月20日最終アクセス)
(3)その他
調査の過程で、以下資料から「兎田」地域の伝説を確認しましたので、ご参考までお知らせします。
・『郷土誌 豊郷のすがた』(豊郷地区郷土史編さん委員会/編、発行 1999)
p.340「兎田街道の化け物」
「大曽から戸祭本村や日光街道に抜ける細い道があり、この辺りの地名の兎田にちなんで兎田街道を称した」とあります。
伝説の内容は、雨の日の夜間に街道を歩くと足音がついてくる、ふり返ると人とも動物ともつかぬ不思議な化け物がおり、声を残して山間に消えていく…というものです。
また、以下の資料はお調べしましたが、関連の記述を確認できませんでした。
・『宇都宮市史 別巻 年表補遺』(宇都宮市史編さん委員会/編 宇都宮市 1981)
・『豊郷村郷土誌』(佐藤庫一郎/編、発行 1912)
・『栃木県市町村誌』(平井恒重/編 栃木県町村会 1955)
・『栃木県町村合併誌 第2巻』(栃木県 1955)
・『年表栃木県のあゆみ』(年表栃木県のあゆみ編さん委員会/編 下野新聞社 1978)
・『市町村要覧(豊郷村)』(1953)
・『栃木県統計書 大正1年 第1編』(栃木県/編、発行 1912)
・『日本歴史地名大系 9』(平凡社 1988)
・『宇都宮地理学年報 4』(宇都宮大学地理学教室/編、発行 1986)
・『地名雑考 1~37』(菊地三郎/著、発行 1976)
・『栃木県県治概要 第1回』(栃木県/編、発行 1891)