レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年05月02日
- 登録日時
- 2018/08/29 10:30
- 更新日時
- 2020/03/03 11:06
- 管理番号
- 京歴-409
- 質問
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解決
天保の飢饉の際に施しをした京都の町人、特に商人の名前がわかる資料はないか。
- 回答
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雑誌「文化・大原」108号(①)pp.1-4掲載の論文「熊谷蓮心「施行之日記」~天保飢饉と京の人々~」に、天保8(1837)年1月、京都奉行所の平塚茂喬のよびかけに応じ、鳩居堂の熊谷直恭と儒医の北小路貞一が中心となって三条河原に小屋を建て、15ヶ月にわたって救済活動を行ったことが書かれている。
この論文で、『京都町触集成11』(②)にも関連する記述があるとの記載があったので確認したが、p.57(157文書)天保8年正月の項で書かれているのは儒者・北小路三郎が三条河原で救済活動をしたいと願い出て、奉行所がそれを許可したという内容のみ。
『京都の歴史 6巻 伝統の定着』(③)のpp.467-468に、天保8年に絹織仲買や、三井・大丸・蛭子屋・白木屋などの呉服商たちが西陣織の織工へ粥の施しをしたという記述があった。
『京都庶民生活史』(④)p.359に、天保の飢饉の際に、施しをした商人などを記した1枚ものの出版物『京都ほどこしかゞみ(二編)』の解説と一部のみ翻刻を掲載。原本の写真も掲載されているが、サイズが小さく、文字の判読はできない。
当館の蔵書検索システムで『京都ほどこしかゞみ』を検索するが、該当する資料は出てこなかった。
NDLオンラインで同資料を検索すると、『番付集成 決定版』青木美智男編・柏書房刊(2009年)に掲載されていることがわかった。
当館の蔵書検索システムで『番付集成』を検索すると、林英夫編・柏書房刊(1973年)の『番付集成』(⑤)があり。中身を確認すると、p.154に天保4年12月『京都ほどこしかゞみ(二編)』の写真を掲載。三ツ井、大丸、岩垣、大村、柏原、下村など、施しをした人物とその内容がくずし字で記されている。
当館の資料・デジタル画像検索システム「京の記憶アーカイブ」で、天保の飢饉に関する資料を検索すると、行政文書『熊谷直恭天保飢饉救恤事業』(⑥)、古文書『西堂町文書』(⑦)、『施行日記』(⑧)などの関連資料の所蔵も確認できた。
- 回答プロセス
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「京の記憶アーカイブ」の「京都雑誌記事論文検索」( http://www.archives.kyoto.jp/websearchpe/search?cls=361_magazine_essay )で「飢饉」を検索し、雑誌記事「熊谷蓮心「施行之日記」~天保飢饉と京の人々~」(①)を見つけた。
京都の歴史に関する資料をブラウジングし、③④を見つけた。
- 事前調査事項
- NDC
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- 近畿地方 (216)
- 参考資料
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- ① 雑誌「文化・大原」108号(||フンカ||K)掲載論文「熊谷蓮心「施行之日記」~天保飢饉と京の人々~」
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② 京都町触研究会編, 京都町触研究会. 京都町触集成 第11巻 (天保六年~弘化四年). 岩波書店, 1986.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001838567-00 , ISBN 4000087118 (当館請求記号:K1||32215||Ky6||11) -
③ 林屋辰三郎, 京都市.伝統の定着. 學藝書林, 1973. (京都の歴史)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I045585680-00 (当館請求記号:K1||216.2||Ky6||6) -
④ CDI編〕. 京都庶民生活史. 鹿島出版会, 1973.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I019968286-00 (当館請求記号:K1||216.2||Ky6||) -
⑤ 林, 英夫(1919-2007) , 芳賀 登. 番付集成 上. 柏書房/人文社(発売), 1973.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I065288142-00 (当館請求記号:E||215||B19||) - ⑥ 熊谷直恭天保飢饉救恤事業 (当館請求記号:明45-0061 京都府下民政資料雑纂 005)
- ⑦ 西堂町文書 (当館請求記号:館古085)
- ⑧ 施行日記 (当館請求記号:館古561 宮本守三家文書・乙)
- キーワード
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- 天保の飢饉
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000241382