レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/01/20
- 登録日時
- 2018/03/02 00:30
- 更新日時
- 2018/03/22 17:24
- 管理番号
- 53717
- 質問
-
未解決
内閣文庫所蔵の「古源邵元の序が入っている」五山版『科注(註)法華経』の所在について知りたい。
【典拠】佐藤 秀孝「入元僧古源邵元について--嵩山少林寺から京都東福寺へ」『宗学研究』38、1996年3月、233頁に、「また内閣文庫所蔵の五山版『科注法華経』にも邵元の序が存している。」とあるが、内閣文庫を所蔵している国立公文書館デジタルアーカイブと国立国会図書館デジタルコレクションを確認したが、見つからなかった。
- 回答
-
【 】内は当館請求記号、ウェブサイトの最終アクセスは2018年1月19日です。
ご照会資料の内閣文庫の所蔵については、貴館で既に内閣文庫、国立公文書館より回答を得ているとのことですので、典拠資料以外に「内閣文庫所蔵五山版科註(注)法華経」、及び「古源邵元による序」に関する情報があるかどうか、という範囲で調査しました。五山版や科註(注)法華経に関する文献等①~⑨等を確認しましたが、内閣文庫本に関する情報は見当たりませんでした。なお、②③⑥⑦では「五山版科註法華経」の他機関所蔵本については触れています。ただし、「古源邵元による序」の有無は述べていませんので、序については各機関所蔵本を個別に確認する必要があります。
①佐藤秀孝「入元僧古源邵元の軌跡(上)嵩山少林寺首座から京都東福寺住持へ」『駒沢大学仏教学部研究紀要』 (通号 54) 1996.03 pp.147~188【Z9-87】
同(中)(通号60) 2002.3 pp.199~240【Z9-87】
同(下)(通号61) 2003.3 pp.73~140【Z9-87】
②朴 鎔辰「元代『科註妙法蓮華経』の刊行と流通 高野山大学における第六十六回学術大会紀要(2)」『印度學佛教學研究』 64(2)=138:2016.3 pp.1013-1009【Z9-55】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ibk/64/2/64_KJ00010250853/_article/-char/ja/
“~大谷大学所蔵の古刊本(谷大、余甲-43)と龍谷大学所蔵の五山版がある“(p.1010)
③川瀬一馬 著『五山版の研究』日本古書籍商協会 1970 2冊【UM24-1】
第1巻
“「科註妙法蓮華経」も鎌倉末期の覆元刊本(7巻、7帖)である。大東急記念文庫・米澤市立図書館・龍谷大学・小汀文庫・大谷大学・松本文三郎博士旧蔵巻一零本等蔵)”(p.93)
“科註妙法蓮華経など(中略)、数本(大東急記念文庫・龍谷大学・米澤市立図書館蔵本(以上三本は摺刷よし)は初印本で、大谷大学(巻三至五・文安5年墨書識語あり)・京都大学文科学研究所松本文庫(松本文三郎博士旧蔵、巻一零葉)蔵本等は後刷)残存している。”(p.230)
解題善籍之部 - 23科註妙法蓮華経 p.361
第2巻
図録編凡例-“本図録は現存の五山版全部の印影を所収する目的で編纂した~”
82 科註妙法蓮華経 巻一首(東急)23 p.41
※本書は内閣文庫所蔵本も調査対象としており、五山版の他タイトルで内閣文庫本に触れている記述はありますが、科註妙法蓮華経の内閣文庫本に関する情報はありませんでした。
④『弘文荘待賈古書目』第45号 弘文荘 1974【UP27-3】
解題 No.122 科註妙法蓮華経(p.134) 図版(p.135)
※序についての情報はありません。
⑤玉村竹二『五山禅僧伝記集成』講談社 1983.5【HM175-166】
「古源邵元」pp.193-195
[参考文献]に「科註法華経(五山版)」とありp.195
⑥田島 毓堂「法華経訓読史研究の諸問題」『名古屋大学文学部研究論集』 (通号 124) 1996 pp.233~250【Z22-236】
佼成図書館所蔵本について触れていますが「古源邵元の序」について情報はありません。
⑦田島毓堂『法華経為字和訓の研究』風間書房 1999.3【HM19-G64】
七 科註妙法蓮華経 pp.1244-1250
注15 p.1271
附録 法華経訓読史資料略年表 p.1278
佼成図書館所蔵本について触れていますが「古源邵元の序」について情報はありません。
⑧全国漢籍データベース http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/kanseki
⑨日本古典籍総合目録 http://base1.nijl.ac.jp/infolib/meta_pub/G0001401KTG
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
1. 内閣文庫を所蔵している国立公文書館デジタルアーカイブで、キーワード「科註 妙法蓮華経」で検索したところ、3件の検索結果が得られたが、いずれにも「五山版」の表記は無かった。また、鎌倉から室町時代に発行されたと思われる『科注(註)法華経』は見当たらなかった。五山版『科注(註)法華経』自体は、古本屋の目録や龍谷大学に所蔵があるようだが、内閣文庫所蔵の「古源邵元の序が入っている」五山版の存在は確認できなかった。
・『妙法蓮華経』明崇禎06年、『科註妙法蓮華経』延宝08年、『科註妙法蓮華経』延宝08年 ※検索結果画面URL https://goo.gl/3HqeNE
2. 国立国会図書館デジタルコレクションの以下の目録での掲載を確認した。
『内閣文庫図書第二部漢書目録』大正3年
・『科註妙法蓮華経』延宝八刊、『法華経科註』明版
・『内閣文庫図書目録. 漢書門類別 第1巻』1900年
・『妙法蓮華経科註』延宝八刊、『妙法蓮華経科註』延宝八刊、『法華経科註』明版
※上記のいずれにも「五山版」の表記は無かった。
3. 『内閣文庫漢籍分類目録』1956年版を確認したところ以下の掲載を確認した。
・『科註妙法蓮華経』延宝八刊、『妙法蓮華経』(法華経科註)明崇禎六刊
※上記のいずれにも「五山版」の表記は無かった。
4. 『国立国会図書館漢籍目録』(昭和62年)〈子部・釋家類・経律論疏之属〉(p. 483)
・科註妙法蓮華経 八巻 宋釋守倫撰 明釋法濟校 延宝八刊 一〇冊 三一〇函 三七号
・科註妙法蓮華経 八巻 宋釋守倫撰 明釋法濟校 延宝八刊 一〇冊 三一〇函 三六号
・科註妙法蓮華経8巻 元徐行善撰 元釋必昇校 慶安4京 中野氏道伴刊 10冊 821-207
・註妙法蓮華経8巻 元徐行善撰 元釋必昇校 延宝4京 中村五兵衛刊 10冊 169-47
※いずれも江戸時代以降のもので五山版では無い模様。
5. 国立公文書館
所蔵の有無について問い合わせたが、不明とのこと。
6. 内閣文庫
所蔵の有無について問い合わせたが、不明とのこと。
7. 古本屋の目録について。
データベース「ジャパンナレッジLib」で「科注」で検索したところ、『弘文荘待賈古書目第45号』に122 「五山版 科注法華経 南北朝時代頃刊」と掲載されていた。
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 所蔵機関調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000231743