レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/01/25
- 登録日時
- 2018/02/09 00:30
- 更新日時
- 2018/02/09 00:30
- 管理番号
- 6001029557
- 質問
-
解決
「ぎんりょうそう」と「ぎょりんそう」は同じ植物かどうかを知りたい。
- 回答
-
【図書】
以下の辞典・事典・植物図鑑類には、「ぎんりょうそう(銀竜草・銀龍草)」の項目はあるが「ぎょりんそう」の項目はなく、「ぎんりょうそう」の解説文中に「別名をぎょりんそうという」旨の記述も見当たらない。
●『広辞苑 第6版』 新村/出∥編 (岩波書店 2008.1)
p.777「ぎんりょうそう(銀竜草)」=「イチヤクソウ科の腐生植物。<中略>茎と鱗片状の葉は白色で半透明。<中略>夏、白色の花を茎頂に単生。」とあり、別名として「ユウレイタケ」「スイショウラン」が挙げられている。(図あり)
●『大辞林 第3版』 松村/明∥編 (三省堂 2006.10)
p.694「ぎんりょうそう(銀竜草)」=イチヤクソウ科の腐生植物。<中略>全体が白色で<中略>数個の鱗片状の葉をつける。夏、茎頂に壺状円筒形の花が一個下向きにつく。」とあり、別名として「ユウレイタケ」が挙げられている。
●『日本国語大辞典 第2版 第4巻』 小学館国語辞典編集部∥編集 (小学館 2001.4)
p.724「ぎんりょうそう(銀龍草)」=「イチヤクソウ科の多年草。<中略>腐生する。」とあり、別名として「漢名、水晶蘭。まるみのぎんりょうそう。ゆうれいたけ。ゆうれいそう。ゆうれいばな」が挙げられている。(図あり)
●『大辞泉 増補・新装版』 小学館『大辞泉』編集部∥編集 (小学館 1998.11)
p.734「ぎんりょうそう(銀竜草)」=「イチヤクソウ科の多年草の腐生植物。<中略>白く半透明。<中略>うろこ状の葉が重なってつく。夏、茎先に、下向きの花を一個開く。」とあり、別名として「水晶蘭。幽霊茸。」が挙げられている。(写真あり)
●『日本語大辞典 第2版』 (講談社 1995.7)
p.586「ぎんりょうそう(銀竜草)」=「イチヤクソウ科の多年生腐生植物。<中略>葉は鱗片状。夏に、白花を開く。」とあり、別名として「ユウレイタケ」が挙げられている。(写真あり)
●『世界大百科事典 改訂版 7』 (平凡社 2005)
p.661「ギンリョウソウ(銀竜草)」=「イチヤクソウ科の腐生植物。<中略>全体が白くろうそくのように見える。<中略>葉は互生し、白色で鱗片状。春から夏にかけて、1個の白色の筒形の花が下向きにつく。」とあり、別名として「ユウレイタケ(幽霊茸)」が挙げられている。(図あり)
●『原色牧野植物大図鑑 [正]』 牧野/富太郎∥著 (北隆館 1982.5)
p.397「ギンリョウソウ」=「いちやくそう科」に分類されており、「山地の林中の落葉の中にはえる腐生植物。<中略>花は夏。」とあり、「漢名水晶蘭を慣用。」と別名が挙げられている。(図あり)
ちなみに、p.339に「ギョリュウ(御柳)」が掲載されているが、「鑑賞のために庭に栽植する落葉小高木」とあり、「草」ではない。
●『日本の野生植物 3 草本 合弁花類』 佐竹/義輔∥[ほか]編 (平凡社 1981.10)
p.6「ギンリョウソウ」=「イチヤクソウ科」に分類されており、「腐植土の上にはえる。<中略>4-8月に開花する。全体に白色で」とあり、別名として「ユウレイタケ(幽霊茸)」が挙げられている。また、「ギンリョウソウ」が属する「ギンリョウソウ属」の解説には、「萼片は鱗片葉に似て」とある。(写真あり)
●『原色野草観察検索図鑑(保育社の原色図鑑 58)』 長田/武正∥著 (保育社 1981.5)
p.237「ギンリョウソウ(マルミノギンリョウソウ)」=「イチヤクソウ科」に分類されており、「森の腐植土上に生える無葉緑の植物で全草白色。<中略>白色りん片状の葉をつけ、<中略>花期は6~8月。」とある。(図・写真あり)
●『朝日百科 世界の植物 第2版 2 種子植物 II』 (朝日新聞社 1980.2)
p.503「ギンリョウソウ」=「イチヤクソウ科」に分類されており、「花が5月から8月ごろに咲く。<中略>葉は鱗片状に退化、<中略>白色」とあり、「キセルとかユウレイタケ、あるいはトックリなどともよぶ。」と別名が挙げられている。(写真あり)
【webサイト】(2018/1/25現在)
●「阿蘇くじゅう国立公園内 風香る花の村 くじゅう花公園」のwebサイトの「スタッフブログ」 > 「2015年5月10日 非常に珍しいギョリンソウを!」
http://www.hanakoen.com/2015/05/10/15017/
「非常に珍しいギョリンソウ(銀竜草)を見つけることができました。
別名:幽霊茸(ゆうれいたけ)とも呼ばれています。
中国では、「 水晶蘭 」と呼ばれており、確かに美しい色をしています。」
として、白い花の写真が掲載されている。
●「栂池自然園花ライブラリー(栂池高原ホテル)」
http://www.tsugaike-kh.com/flowerDB/?did=78
「ギョリンソウ(銀竜草)
分類:イチヤクソウ科 ギンリョウソウ属の腐生植物
花の色:白
開花時期:7月下旬~8月中旬」
とある。
以上の調査から、図書には「ぎんりょうそう(銀竜草・銀龍草)」の別名が「ぎょりんそう」であるとの記載は見あたらなかったが、上記のwebサイトの情報「別名:幽霊茸、水晶蘭」「イチヤクソウ科」「花の色:白」「開花時期が5~8月」と掲載写真が、図書の情報と一致することから、同じ植物であろうと推察される。
また、図書には「ぎょりんそう」の特徴として葉が「鱗片状」であることが記載されていることから、「魚鱗草」と間違えられて広まったり俗名となったりしたのかもしれないが、そのような記載は見当らなかった。
ただし、個人のwebサイトには「魚鱗草」の字が当てられているものが複数ある。
大阪市立長居植物園の「みどりの相談コーナー」
http://www.nagai-park.jp/n-syoku/consul.html
(2018/1/25現在)
も紹介した。
[事例作成日:2018年1月25日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
-
- 広辞苑 第6版 新村/出∥編 岩波書店 2008.1 (p.777)
- 大辞林 第3版 松村/明∥編 三省堂 2006.10 (p.694)
- 日本国語大辞典 第4巻 第2版 小学館国語辞典編集部∥編集 小学館 2001.4 (p.724)
- 大辞泉 増補・新装版 小学館『大辞泉』編集部∥編集 小学館 1998.11 (p.734)
- 日本語大辞典 第2版 講談社 1995.7 (p.586)
- 世界大百科事典 7 改訂版 平凡社 2005 (p.661)
- 原色牧野植物大図鑑 [正] 牧野/富太郎∥著 北隆館 1982 (p.397)
- 日本の野生植物 3 佐竹/義輔∥[ほか]編 平凡社 1981 (p.6)
- 原色野草観察検索図鑑 長田/武正∥著 保育社 1981.5 (p.237)
- 朝日百科 世界の植物 2 朝日新聞社 1980 (p.503)
- http://www.hanakoen.com/2015/05/10/15017/ (阿蘇くじゅう国立公園内 風香る花の村 くじゅう花公園)
- http://www.tsugaike-kh.com/flowerDB/?did=78 (栂池自然園花ライブラリー(栂池高原ホテル))
- http://www.nagai-park.jp/n-syoku/consul.html (大阪市立長居植物園「みどりの相談コーナー」)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000230225