7、8年くらい前の朝日新聞で、京都の桜守佐野藤右衛門邸の桜の写真とともに「咲いた桜」の歌詞が掲載されていたのを見たという情報があったため、朝日新聞記事データベース聞蔵Ⅱで記事を調査。
「桜」「佐野藤右衛門」というキーワードから、2009年4月11日朝刊の土曜版に掲載された「編集部から・みなさんから」がヒット。
http://database.asahi.com/library2/main/top.php(2017.09.07確認)
この記事から、当日の連載記事「うたの旅人」で桜を取り扱ったことが分かった。さらに、「うたの旅人」を検索し、この回が「日本古謡「桜」 不思議な花の謎を追う京都市」であったことが判明したが、データベースには本文の掲載がなかった。このため、縮刷版で当該記事を確認したところ「咲(さい)た桜」として、「さいた桜 花見て戻る 吉野は桜 龍田は紅葉 唐崎の松 常盤常盤 深みどり」という歌詞が掲載されていた。また、この歌は江戸時代末期の琴の手ほどき曲だと考えられており、1888年に出版された『筝曲集』で別の歌詞がつけられ「桜」として掲載、その後歌詞が変わり1941年に国定教科書に掲載されたときに題名も「さくらさくら」と改訂されたことが記載されていた。
唱歌「さくらさくら」から調査したところ、『言葉をかみしめて歌いたい童謡・唱歌』(由井龍三/著 春秋社 2010)p.4「さくら」、『唱歌・童謡100の真実』(竹内貴久雄/著 ヤマハミュージックメディア 2009)p.18「さくらさくら」の文中でも新聞記事と同様の内容を確認することができた。
また、琴の練習曲を調べたところ『山田流琴のかがみ』(博信堂出版部 1948)に、「櫻 咲た櫻」として1番に「さくらさくら やよいのそらは・・・」の「桜」の歌詞が、2番に「咲た桜」の歌詞が掲載されていることが、国立国会図書館の図書館送信参加館内公開デジタル資料で確認できた。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1708230(2017.09.07確認)
なお、江戸時代の詩歌からは、該当する歌を発見することができなかった。