レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016/06/04
- 登録日時
- 2017/03/24 00:30
- 更新日時
- 2017/03/24 00:30
- 管理番号
- 6001022817
- 質問
-
解決
門真市立歴史資料館で常設展示されている幣原喜重郎から牧野伸顕に宛てた書簡(国立国会図書館所蔵の複製、内容は以下のとおり)
「粛啓
益々御健勝被為候趣
恐悦不過之候陳ハ
過日浅薄未熟の
私考なから当面の危機を
緩和して徐ろに時局
解決に進むの餘地を作る
趣旨に依り試に一片の
日米共同宣言案を
起草したること有之卑見の
要領ハ当時矢田君より
一応貴聞に達したる様
拝察罷在候処今日に
至りてハ時期既に遅くれ
たるの感を不免候ヘ共
吉田君の注意に従ひ右
粗稿写其侭茲に同封
差進し候幸に御一瞥
を賜ハリ候ハ、本懐之至に奉存候
昨今冷気急に相募り候折柄
一層御加餐の程祈上候
怱々頓首
十月十七日 喜重郎
牧野尊臺侍曹」
を見た。
<1> この書簡のオリジナルの所在を知りたい。
<2> 書簡には日付のみが記載されているが、何年のものかを知りたい。
<3> 「同封」とある「日米共同宣言案」も書簡のオリジナルと一緒に存在するのかを知りたい。
- 回答
-
『牧野伸顕関係文書目録 1 書翰の部(憲政資料目録 第14)』 国立国会図書館参考書誌部∥編集 (国立国会図書館 1983)
は発信者名順に配列され、書簡の要旨が記載されているが、p.112-113に「四七六、幣原喜重郎」の項目がある。
この5つ目の項目に「昭和二〇年一〇月一七日 過日起草ノ日米共同宣言案時期ヲ失シタレド吉田君ノススメモアリ供覧」とあり。「昭和二〇年」の右傍に「ヵ」とあり(昭和二〇年ヵ)。
この国立国会図書館憲政資料室で所蔵されている書簡がお尋ねの複製書簡のオリジナルではないかと思われ、国立国会図書館に調査を依頼した。回答は以下のとおり。
【回答】
回答の中では便宜上、以下のように資料をアルファベットのA、B、Cに置き換えて記載する。
A = 門真市立歴史資料館で展示中の「幣原喜重郎から牧野伸顕あて書簡【複製】」
B = 憲政資料室所蔵の「牧野伸顕関係文書(書簡の部)」の冊子複製版第28冊
資料番号476-5の「幣原喜重郎書簡 牧野伸顕宛」
C = 憲政資料室所蔵の「牧野伸顕関係文書(書類の部)」
<1>
Aの翻刻とBは文言内容が一致するため、BはAのオリジナルと言える。
<2>
Bの文中にある日付は「10月17日」のみである。
『牧野伸顕関係文書目録. 1 (書翰の部)』(国立国会図書館参考書誌部編, 国立国会図書館, 1983【当館請求記号A1-28】)の中でBについて記載された年代「昭和20(カ)年」は当館の推定によるものである。
なお、このたび再検証した結果、昭和20年ではなく「昭和13年~16年」の書簡と推定された。
推定根拠は、Bの書簡封筒に貼付されている切手の金額が4銭(昭和12年~17年3月が該当)であること、および書簡に記された幣原喜重郎の自邸住所が渋谷区千駄ヶ谷となっているためである。
当邸宅は以下(※)の文献で、昭和13年に入居、昭和20年4月に焼失したと記載されている。
※『幣原喜重郎』幣原平和財団, 1955, p.508, p.535【当館請求記号289.1-Si279Ss】
<3>
「日米共同宣言案」はBに同封されていない。
また、Cの目録も確認したが、該当する資料は見当たらなかった。
[国立国会図書館からの回答日:平成28年6月4日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
-
- 牧野伸顕関係文書目録 1 国立国会図書館参考書誌部∥編集 国立国会図書館 1983 (p.112-113)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
-
- 国立国会図書館
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 大阪
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000212544