レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年01月25日
- 登録日時
- 2016/12/22 19:19
- 更新日時
- 2018/05/22 13:57
- 管理番号
- 563
- 質問
-
解決
万葉集の歌の現代語訳が知りたい。
・「あしひきの 山さくら花 ひならべて かくさきたらば いとこひめやも」
- 回答
-
・『新日本古典文学大系 別巻〔5〕万葉集索引』岩波書店 2004年 より、万葉集全20巻の何巻に収められていて、何番目の歌に該当するかを確認します。
p22を見ると、「あしひきのやまさくらばな」 で始まる歌は8巻の1425番か17巻の3970番に該当することが分かりました。
・『新日本古典文学大系 2 万葉集』岩波書店 2000年 に「あしひきの」の現代語訳収録あり。1425番の方でした。
作者は山部宿祢赤人(やまべのすくねあかひと)とのことです。
・原文 「足比奇乃 山桜花 日並而 如是開有者 甚恋目夜裳」
・訓読文 「あしひきの山桜花日並べてかく咲きたらばはだ恋ひめやも」
・現代語訳 「(あしひきの)山の桜の花が、これから何日も今のように咲いているのなら、こんなにひどく心惹かれることはないだろうに。」
質問の現代語訳が載っていましたが、よく見ると、質問にあった「いとこひめやも」が「はだこひめやも」と記載されていました。解説を見ると、結句「甚恋目夜裳」は、「波太古非米夜母」(4051)にならって「はだこひめやも」と訓む説(『完訳日本の古典万葉集』)に従う。ここの「恋ふ」は、対象を目にしながらなお飽き足りなく思う意。とありました。
他の本ではどのように訓読されているのか、更に『万葉集私注 4 新訂版 巻第7.巻第8』筑摩書房 1976年 を確認すると、「いとこひめやも」と記載されていました。
この本は万葉集の8巻にあたります。
・訓読文 「あしひきの山櫻花日竝べてかく咲きたらばいと戀ひめやも」
・現代語訳 「山櫻の花が、幾日も幾日も、長く咲いて居るならば、かうひどくその花を恋ひ思ふであらうか。さうはすまい。」
どうやら訓読文にする際、「甚」が「いと」や「はだ」と読まれたようです。
ちなみに『新日本古典文学大系 4 万葉集』には3970番の歌が。
・原文 「安之比奇能 夜麻左久良婆奈 比等目太尓 伎美等之見氐婆 安礼古非米夜母」
・訓読文 「あしひきの山桜花一目だに君とし見てば我恋ひめやも」
・現代語訳 「(あしひきの)山に咲いている桜花を、一目だけでもあなたと見られたら、こんなに恋しく思うでしょうか。」
・『現代語訳日本の古典 2 万葉集』学研 1980年 には収録なしでした。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 詩歌 (911 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000204467