レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/08/21
- 登録日時
- 2015/09/04 00:30
- 更新日時
- 2015/09/04 00:30
- 管理番号
- 1000000835
- 質問
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解決
沖縄の浦島太郎伝説について知りたい。
- 回答
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浦島太郎および関連する類似の伝説・民話(龍宮女房、魚女房、エイ女房、亀報恩譚など)は、沖縄県内で広く伝承されている。
①
『古代文学と琉球説話』(丸山 顯德 著、三弥井書店、2005.3)
p66-80 「第四章 浦島太郎-地域性分析と話型分析-」の項目のうち、p69-80「四 沖縄地方の伝承状況」の中で下記のとおり記述がある。
p69-70 「1 浦島太郎」で、p69 「沖縄地方における典型的な亀報恩型の昔話浦島太郎の伝承地域は、沖縄本島だけであり、宮古諸島や八重山諸島には伝承の報告例はない。この話の報告例は、北から国頭村、東村、大宜味村、恩納村、読谷村、具志川市、那覇市、西原町と広範囲である。」の記述がある。
p69-70 亀報恩型浦島太郎の例話(大宜味村、西原町)がある。
p70-72 「2 龍宮女房」の項目で、p70 「沖縄地方全域に伝承されているのが龍宮女房型である。これは、魚女房、亀女房(粟国島)、エイ女房などの類型があり、龍宮訪問(ないしは滞在)が必須のモチーフである。話の発端部は、男が「添髪(ヘアー・ピースのこと)を拾う」というモチーフであるが、「魚を釣り、その魚が女に化けたので、その女と結婚し、子どもができ、龍宮へ招かれる」という話の展開もある。沖縄本島の国頭村、東村、読谷村、具志川市、及び周辺の離島、それに宮古諸島から採集され、広く分布している。また『遺老説伝』(巻三)の浦島型説話にもこのモチーフは見られる。」の記述がある。
p70-71 龍宮女房の例話(東村、多良間村)がある。
p72-73 「3 エイ女房」の項目で、p72 「沖縄地方に一般的に分布している龍宮女房型は、宮古諸島では、エイに限定され、エイ女房になることが多く、本格的な話として広く伝承されている。…このエイ女房譚は、八重山諸島では笑話(色話)になることが多く、本格昔話が変質したものと推測できる。ただし、このエイ女房は沖縄本島では伝承の報告例はなく、例外的に、周辺の粟国島で採集例が報告されているだけである。」の記述がある。
p72-73 エイ女房の例話(城辺町、石垣市)がある。
p73-75 「4 亀報恩」の項目で、p73 「沖縄地方には、与那国から国頭まで全域にわたって亀報恩譚が伝承されている。亀を(お金を払って)助けた男が、その後、海で遭難し、亀に助けられて故郷へ無事戻ったので、その門中では、今も食用として亀の肉を食べないということである。」の記述がある。
p73-74 亀報恩譚の例話(読谷村)がある。
p75 「5 伝承状況の概括」の項目で、「日本本土の浦島型説話を発端から分類すれば、「美女出現型」と「亀報恩型」に分けられる。これを沖縄の民間説話に対応させると、「美女出現型」は、添髪を拾った男が訪問するという龍宮女房型であり、「亀報恩型」は、亀を食べない門中の由来話の亀報恩型の話につながる。これは沖縄では別々の話型として伝承されており、この事実から、浦島型説話が沖縄に伝来する以前の姿をとどめていると推測できる。」の記述がある。
p76-77 浦島型龍宮女房の例話(伊良部村)がある。
②
『日本昔話通観 第26巻』(稲田 浩二 小沢 俊夫 責任編集、同朋舎、1983.7)
p208-216 「65 龍宮のみやげ-子供援助型(原題・エイ女房)」の項目で、例話(上野村)と類話(国頭村、粟国村、平良市、伊良部村、上野村、城辺町、多良間村、平良市)がある。
p216-218 「66 龍宮の土産-報恩型(原題・黄金の壺、梗概)」の項目で、例話(下地町)と類話(上野村、下地町)がある。
p218-219 「67 龍宮のみやげ-山彦由来型(原題・エイ女房、梗概)」の項目で、例話(石垣市)と類話(石垣市)がある。
p252-257 「82 魚女房(原題・魚女房の話)」の項目で、例話(上野村)と類話(石垣島、粟国村、平良市、伊良部村、上野村、多良間村)がある。
p311-312 「102 浦島太郎(原題・沖縄の浦島太郎、梗概)」の項目で、例話(具志川市)と類話(具志川市、大宜味村、東村、南風原町、那覇市、上野村)がある。
p313-315 「103 亀報恩(原題・カーミーの恩返し)」の項目で、例話(具志川市)と類話(具志川市、国頭村、名護市、那覇市)がある。
p507-509 「187 龍宮入り-入り婿型(原題・龍宮の神の娘と結婚した男)」の項目で、例話(伊良部村)がある。
p509-510 「188 龍宮入り-報恩型(原題・龍神と雷神、梗概)」の項目で、例話(東村)と類話(東村)がある。
p640-641 「349 龍宮女房(原題・ウイピャー御獄にまつわる伝説、梗概)」の項目で、例話(城辺町)がある。
③
『南風原町与那覇誌 うさんしー』(与那覇字誌編纂委員会 編、字与那覇自治会、2004.6)
p360-361 「一 浦島太郎伝説地(ウサン嶽)」の項目で、p360 「字与那覇の名所(旧跡)といえば、浦島太郎伝説で有名なウサン嶽です。」の記述がある。
p361-362 「二 浦島太郎(穏作根子)伝説」の項目で、p361 「本土各地での物語は、海辺で「亀を助けた」ことになっています。しかし、与那覇の浦島太郎(穏作根子)は与那古浜で婦人が髪を結うときに添える毛すなわち「かもじ」を拾ったとされています。」の記述がある。
p362-363 「三 言い伝えの内容」の項目で、浦島太郎(穏作根子)伝説の内容の記述がある。
④
『遺老説伝』(嘉手納 宗徳 編訳、角川書店、1978.9)
p63 球陽外巻三「103」の項目で、浦島太郎(穏作根子)伝説の原文がある。
p152-153 球陽外巻三「103」の項目で、浦島太郎(穏作根子)伝説の読み下しがある。
⑤
『沖縄民間説話の研究』(丸山 顕德 著、勉誠社、1993.10)
p126-129 「(1)エイ女房譚」の項目で、p129 「このエイ女房の話は、特に宮古島の伝承では宮国のスカプヤー御獄に結び付けられる祭祀由来話になっている点に特徴がある。」の記述がある。
p131-132 「(2)ンナプカ祭り」の項目で、p131 「ところで、このエイ女房の昔話が伝説として根強く現在まで伝えられてきたのは、話の後半部に語られているように、宮古のンナプカ祭りの由来譚であるという事情があったからである。」の記述がある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 1 古代文学と琉球説話 丸山/顕徳∥著 三弥井書店 2005.3 K90/MA59 p66-80
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2 日本昔話通観 第26巻 沖縄 稲田 浩二∥責任編集 小沢 俊夫∥責任編集 同朋舎 1983.7 K388/N77 p208-219,252-257,311-315,507-510,640-641 -
3 南風原町与那覇誌 うさんしー 与那覇字誌編纂委員会∥編集 字与那覇自治会 2004.6 K23/Y82 p360-363 -
4 遺老説伝 嘉手納 宗徳∥編 角川書店 1978.9 K388/I66 p63,152-153 -
5 沖縄民間説話の研究 丸山 顕徳∥著 勉誠社 1993.10 K388/MA59 p126-129,131-132 -
6 琉球大学法文学部紀要 国文学論集 第31号 琉球大学法文学部∥編 琉球大学法文学部 1987.3 K377/R98/31 p105-110
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000179381