レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2014/04/17 11:23
- 更新日時
- 2015/11/15 17:09
- 管理番号
- 新門司分館26
- 質問
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与謝野晶子の作品で戦争に行っている弟に向けて書いた作品は何でしょうか。
またその作品が発表されたのはいつでしょうか。
- 回答
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作品名は「君死にたまふことなかれ」です。
『与謝野晶子とその時代』によるとこの作品は『明星』の1904年9月号にて発表されました。
「旅順口包囲軍の中に在る弟を歎き手て」とあるように、日露戦争最大の激戦地に投入されたと思われる弟・籌三郎の生還を祈った詩です。
そのような考えとは反対に戦争は国民にとって何なのかという問いかけ、国家体制への批判など反戦の思想がモチーフという見方もされているようです。しかし晶子は「いまは戦ふときである」というような詩もつくっているので、どんな場合も戦争に反対だったのかというと、そうともいえず「戦争に賛成・反対」というよりも「個人の意見をはっきりいう」という考えが強いようです。
- 回答プロセス
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自館の棚をあたりましたが、作品が詳しく掲載されていないので他館から数冊取り寄せました。
『声に出して楽しんで読もう6年生』…文芸雑誌『明星』に、明治三七年に発表された長編の詩。日露戦争での旅順攻撃に参加した弟の無事をひたすら祈りをこめて書いています。弟を思う気持ちと社会批判の強い気持ちがうかがえます。
『与謝野晶子とその時代』…「君死にたまふことなかれ」は、『明星』一九〇四年九月号に発表された(初出誌では「なかれ」が「勿れ」となっている。)「旅順口包囲軍の中に在る弟を歎きて」とあるように、日露戦争最大の激戦地に投入されたと思われる弟・籌三郎の生還を祈った詩という形をとっているが、この詩には二つの見方がある。肉親としての愛情の発露がそもそもの動機で、付随して老舗がやっていけなくなることも案じており、結果として反戦意識が強く表現されているという見方。それに対して、弟の危急にことよせて、戦争は国民にとって何なのかという問いかけをし、ひいては天皇を頂点とする国家体制への批判にまで筆を及ぼしており、思想としての反戦こそがこの詩のモチーフであるという見方。
『与謝野晶子』(学習漫画)…1904年(明治37年)9月発売の『明星』に「君死にたまふこと勿れ」を発表。晶子は、どんな場合も戦争に反対だったのかというと、そうともいえません。のちの第一次大戦のときには、「いまは戦ふときである」というような詩もつくっているのです。晶子の考えは「戦争に賛成・反対」よりも「個人の意見をはっきりいう」というものでした。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 『声に出して楽しんで読もう 6年生』 小森茂監修 学研 2004年 〈809/コ/6〉 (27頁) , ISBN 4-05-202033-2
- 『与謝野晶子とその時代』 入江春行著 新日本出版社 2003年 〈911.1/ヨ〉 (49頁~72頁) , ISBN 4-406-02998-2
- 『与謝野晶子』 三上修平著 集英社 2011年 〈289/ヨ〉 (86頁~95頁)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000152423