レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年05月14日
- 登録日時
- 2013/11/24 14:32
- 更新日時
- 2014/03/06 16:02
- 管理番号
- 大分県立郷土-2012-003
- 質問
-
解決
遠藤周作『王の挽歌』文庫版の上巻p222冒頭に掲載されている「(アイレス)サンチェス修道士より(コスモ・デ・)トルレス神父宛の報告書(1563年=永禄6年)」を見たい。
- 回答
-
該当の報告書は、訳文、原文とも見つからなかった。この報告書は創作の可能性もあるため、連載時の紹介や書評、解説等を見たが、確証は得られなかった。
- 回答プロセス
-
『王の挽歌』は、『小説新潮』1990年2月号から連載開始。
標記の報告では十日前にジョアン・パプティスタ神父がアルメイダ修道士と共に府内に到着したことになっているので、発信日は7月頃と推定される。
資料1では、アルメイダが府内に到着したのは7月25日(永禄6年6月25日)とされている。
資料2では、アルメイダの豊後到着は7月25日で、バプティスタはすでに到着となっている。
資料3では、アルメイダの到着は永禄7月6日、バプチスタは先着となっている。
邦訳されているイエズス会宣教師による日本関係報告書には、標記の報告書は発見できなかった。
資料4の第Ⅲ期第2巻が1562~1565年にあたる。原典は1598年エーヴォラ版日本書簡集。村上直次郎訳『イエズス会士日本通信』は旧訳にあたる。
資料5の永禄6年分は未刊(底本同上)。
資料6に附篇として、16世紀の豊後布教に関する資料としてイエズス会士による書翰がある(村上直次郎の訳に負うという)。
原典資料の目録でも標記の報告書は発見できなかった。
資料7によると、ヨーロッパで刊行された『エヴォラ版書簡集』等イエズス会修道士による書簡・年報の原典資料は、ローマのイエズス会文書館、マドリッドの王立士学士院、リスボンのアジュダ図書館等に保存されている。そのうち日本関係を紹介したもの。
資料8にイスパニア、ポルトガル、イタリア等の文書館で保存している日本関係文書が目録形式で紹介されている。
『大分合同新聞』1990年2月1日夕刊p3,1992年6月8日朝刊p1,『遠藤周作歴史小説集6』の解説に手がかりなし。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
-
- 1 府内(大分)キリシタン史 久多羅木儀一郎/著 日本キリシタン文化センター建設委員会 1957 p47
- 2 日本史 7 豊後篇 フロイス/著 中央公論社 1978.10 p19
- 3 バテレンと宗麟の時代 加藤 知弘/著 石風社 1996.11 p213
- 4 十六・七世紀イエズス会日本報告集 松田毅一/監訳 同朋舎出版 1987.7
- 5 日本関係海外史料 イエズス会日本書翰集 東京大学史料編纂所/編纂
- 6 大分県史料 15(第3部) 切支丹史料 大分県史料刊行会/編纂 大分県立教育研究所 昭和38年
- 7 キリシタン文庫 イエズス会日本関係文書 尾原悟/編 南窓社 1981.3
- 8 在南欧日本関係文書採訪録 松田毅一/著 養徳社 昭和39年
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000141173