レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010/11/22
- 登録日時
- 2011/03/22 02:13
- 更新日時
- 2011/06/06 11:22
- 管理番号
- 埼熊-2010-098
- 質問
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解決
ダーウィンが死ぬ直前に進化論の発表を後悔する発言をしていた。その事実が確認できる資料があるか。
- 回答
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インターネット情報によると、現地の新聞に掲載された記事や創造論者による図書に記述があるようだが、所蔵資料では、発言したことを確認できる資料は見つからなかった。
関連する記述のあった次の資料を紹介する。
※「」内は引用
①『チャールズ・ダーウィン生涯・学説・その影響(朝日選書 571)』(ピーター・J.ボウラー著 朝日新聞社 1997)
p262「ダーウィンは死期が近くなってきても、それまでより宗教的になったわけではなく、根本主義の宗教思想家(ファンダメンタリスト)の一部が言っているような、ダーウィンは死の床で改心したというような話を支持する証拠は何もない。」
②『ダーウィン:世界を揺るがした進化の革命(オックスフォード科学の肖像)』(レベッカ・ステフォフ著 大月書店 2007)
p126(ダーウィンの死後)「ダーウィンが臨終の床で進化論を捨て、自分はキリスト教徒だと宣言したという噂が広まり始めた。けれどもその話は、ダーウィンをめぐる数多くの逸話と同じく、伝説に過ぎない。」
③『チャールズ・ダーウィンの生涯:進化論を生んだジェントルマンの社会 (朝日選書 857)』(松永俊男著 朝日新聞出版 2009)
p305(ダーウィンの死去当日)「ダーウィンは激痛の中で「オー、ゴッド、オー、ゴッド」と叫んだが、これは困ったときのダーウィンの口癖で、祈りの言葉ではない。」
④『科学伝記シリーズ10 ダーウィン』(政田潤著 フレーベル館 1979)
p215-妻エンマとの会話「あの進化論で,あなたは神さまをすっかりおすてになったのですか。」
「わたしは聖書の間違いをはっきりさせた。でも,科学の研究を続けてわかったのは,自然が驚くほど正確な法則で動いているということだ。この宇宙には、なにかはかり知れない力が働いているのだよ。わたしはね、それが神だと思う。だからわたしは神を信じる。しかし聖書の間違ってるところだけは信じるわけにはいかないね。」(原典の記述はなし。フィクション性の度合いも不明。)
(インタ-ネット情報)
○使ってはいけない「ダーウィンは死の床で撤回した」を使う牧師
「順にたどると、創造論者Malcolm Bowdenの1998年の本にたどりつく」とある。
該当図書名は「True Science Agrees with the Bible, Malcolm Bowden, Sovereign Publications, Kent, 1998, section 6.6, pp 259-276 available from The Berean Call, P.O. Box 7019, Bend, Oregon 97708-7019, (541) 382-6210」
(県立図書館・国会図書館には所蔵なし。大英図書館などでは所蔵している)
※ただし、この頁には「ダーウィンが(進化論を)撤回したという話は真実ではない」とある。
(http://transact.seesaa.net/article/114142536.html 2011/01/12最終確認)
○ダーウィンの晩年
「(ダーウィンが進化論を発表したことを後悔している、とする伝聞記事が)ボストンのウォッチマン・イグザミナー紙に掲載された。物語は広まり、くだんの主張は1955年10月の「リフォーメーション・レビュー」や1957年2月の「スコットランド自由教会月報」にも再掲」
(以上の出典3資料とも県立図書館所蔵なし)
※ただし、この頁にはダーウィンの娘ヘンリエッタの言葉として「父は末期の時も、それ以前も自分の科学的知見を決して肯んじませんでした。」とある。
(http://juan.cocolog-nifty.com/juanlog/2000/02/post_3.html 2011/01/12最終確認)
○《Yahoo! 知恵袋》にこの言葉はダーウィンではなくウォレスのことだという記述がある。情報元および出典は不明。
アルフレッド・ラッセル・ウォレス(1823-1913)関係の資料も調査したが、進化論を発表したことを後悔したと書かれている資料は見つからず。
以下に関連する記述があった。
(http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q138170038 2011/01/12最終確認)
(ウォレス関係の資料)
『博物学者アルフレッド・ラッセル・ウォレスの生涯』(ピーター・レイビー著 新思索社 2007)
p304-305 ウォレスが新しい学説で彼自身の自然淘汰の学説に背信し、その変化があまりに過激であった旨の記述あり。
『ダーウィンに消された男』(アーノルド・C・ブラックマン著 朝日新聞社 1997)
p290-291 ウォレスは進化論者だったが、人間の進化は他の生物の進化とは異なる、と結論したとの記述あり。
- 回答プロセス
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自館目録を〈ダーウィン〉で検索し、伝記資料を調査した。
インターネット等で関連する情報を収集した。
進化論に関する資料を調査した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 個人伝記 (289 9版)
- 参考資料
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- 『チャールズ・ダーウィン生涯・学説・その影響(朝日選書 571)』(ピーター・J.ボウラー著 朝日新聞社 1997)
- 『ダーウィン:世界を揺るがした進化の革命(オックスフォード科学の肖像)』(レベッカ・ステフォフ著 大月書店 2007)
- 『チャールズ・ダーウィンの生涯:進化論を生んだジェントルマンの社会(朝日選書 857)』(松永俊男著 朝日新聞出版 2009)
- 『科学伝記シリーズ10 ダーウィン』(政田潤著 フレーベル館 1979)
- 『博物学者アルフレッド・ラッセル・ウォレスの生涯』(ピーター・レイビー著 新思索社 2007)
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『ダーウィンに消された男』(アーノルド・C・ブラックマン著 朝日新聞社 1997)
- キーワード
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- Darwin,Charles Robert(ダーウィン チャールズ ロバート)
- 進化論
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000082489