レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2005/1/12
- 登録日時
- 2011/02/21 02:00
- 更新日時
- 2012/02/24 17:01
- 管理番号
- 愛知県図-01046
- 質問
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ウィーンのニューイヤーコンサート最後に演奏される「ラデツキー行進曲」の「ラデツキー」とは何か。
- 回答
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「ラデツキー」とは人名で、オーストリアの軍人(将軍・元帥)「ヨーゼフ・ラデツキー(Joseph Wenzel Radetzky,1766-1858)」を指します。
資料1の「ラデツキー行進曲」の項には「ラデツキーはオーストリアの将軍でヴェネツィア総督。三月革命における北イタリアの独立運動を鎮圧した。その勝利をたたえて作曲。」とあります。資料2によれば、ラデツキー将軍は「革命中に当時オーストリア帝国領だった北部イタリアの分離独立運動を鎮圧した勇将で、その凱旋祝賀会で演奏するために作られたのがこの行進曲だった。」とあり、初演や出版の情報などがあります。また、この曲の作曲者であるヨハン・シュトラウスの伝記(資料3)には当時の政治的背景や、この曲を作曲したことによるシュトラウスへの影響などが記されています。
ラデツキー将軍の功績については資料6~8などのヨーロッパ各国史にも記述があります。
Wikipediaの「ヨーゼフ・ラデツキー」の項にはウィーン軍事史博物館が所蔵するラデツキー将軍の肖像画の画像が掲載されています。
- 回答プロセス
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「ウィーンのニューイヤーコンサート」とはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートのことで、毎年1月1日にウィーン楽友協会の大ホールでおこなわれる。「ラデツキー行進曲」は定番の曲目の一つ。
まず曲名からクラシック音楽関係の事典を検索する。
資料1、資料2により「ラデツキー行進曲」がヨハン・シュトラウス1世(Strauss I ,Johann Baptist)の作曲であり、ラデツキー将軍の凱旋を祝って作曲されたことがわかる。
「ラデツキー」という名前をもとに、人物を特定する。
資料4にはラデツキーはロシアの軍人(1820-1890)とオーストリアの軍人(1766-1858)の2人が掲載されている。資料5の「ラデツキー Joseph Radetsky von Radetz」の項に「J.シュトラウスの「ラデツキー行進曲」は彼をたたえたもの。」という記述がある。
各国史の資料6~8や人名辞典の資料9、シュトラウスの伝記資料10などにも記載あり。
資料4~7、8には原綴りがあるが、称号などの記述には若干のばらつきが見られる。
(参考)
資料4:Radetzky, Joseph Wenzel, Graf von
資料5:Joseph Radetzky von Radetz
資料6:Joseph Wenzel Radetzky
資料7:Radetzky,Johann Joseph Wenzel
資料9:Radetzky, Joseph, Graf von
- 事前調査事項
- NDC
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- 器楽合奏 (764 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】「クラシック音楽作品名辞典」(三省堂,2009) (1109696270)
- 【資料2】「最新 名曲解説全集 4 管弦楽Ⅰ」(音楽之友社,1980) (1100648502)
- 【資料3】服部龍太郎「ヨハン・シュトラウス」 (三一書房,1957) (1100656460)
- 【資料4】「外国人物レファレンス事典 古代-19世紀Ⅱ 2」(日外アソシエーツ,2009) (1109894230)
- 【資料5】「角川世界史辞典」(角川書店,2001) (1108068803)
- 【資料6】「イタリア史 新版世界各国史 15」(山川出版社,2008) (1109480214)
- 【資料7】エーリヒ・ツェルナー「オーストリア史」(彩流社,2000) (1107832659)
- 【資料8】「ドナウ・ヨーロッパ史 新版世界各国史 19」(山川出版社,1999) (1107690212)
- 【資料9】「岩波=ケンブリッジ世界人名辞典」(岩波書店,1997) (1107403163)
- 【資料10】小宮正安「ヨハン・シュトラウス ワルツ王と落日のウィーン」(中公新書,2000) (1107910942)
- Wikipedia:ヨーゼフ・ラデツキー(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%87%E3%83%84%E3%82%AD%E3%83%BC)最終確認:2011/9/8
- キーワード
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- クラシック音楽
- シュトラウス
- ラデツキー
- ウィーンフィル
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 「ラデツキー行進曲」というヨーゼフ・ロートの小説があるが、ラデツキー本人に焦点をあてたものではなく、ラデツキー没後のハプスブルク帝国の衰退の時代を描いた作品。
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000078595