レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年09月24日
- 登録日時
- 2010/09/24 15:40
- 更新日時
- 2019/09/03 15:50
- 管理番号
- 新門司分館05 戸内、宮﨑
- 質問
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恒見八幡宮に「力神」を題材にした民話が伝わっていますが、「力神」とは何ですか。
- 回答
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松ヶ江郷土史会発行の 『ふるさとむかしばなし』に「ケンとリキリン」という民話が載っています。この“リキリン”は力神のなまったものだということです。この話に出てくるリキリンは、「まっかなからだで、耳までさけた口からは二本のきば、外にが出ています。一匹のリキリンだけには、二本のつのが、はえていました。」とまるでおとぎ話にでてくる鬼のような形相です。松ヶ江郷土史会の話しでは、力神は屋根を力の限りで支えているので、鬼の顔のようになっているとのことです。一説には、記紀の天の岩戸伝説に出てくる力持ちの神様「天手力雄神(あめのたぢからをのかみ)(古事記では天手力男神)」のことだといわれています。
恒見八幡宮の力神は本殿の妻の部分にあります。『北九州市の神社建築』には妻飾りとして大瓶束に力神の彫刻が用いられている特殊な例として同神社の本殿妻飾力神像をあげて写真も掲載しています。
なお、門司図書館新門司分館は地元の郷土史会と協力して『ケンとリキリン』という絵本を刊行しました。
- 回答プロセス
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OPACにて「古建築」で検索し、副題に「これで神社や仏閣の意味がよくわかる」とある『古建築の見方・楽しみ方』を取り寄せました。
『古建築の見方・楽しみ方』
建築細部の鑑賞ポイント
手挟(てばさみ)虹梁と木鼻(こうりょうとばな)蟇股(かえるまた)妻飾(つまかざり)懸魚(けぎょ)等の記述を参照すると、時代とともに繊細で豊かな装飾性を帯びてきたことが随所にみられます。
OPACにて「神社建築」で検索し、該当した中から郷土資料『北九州市の神社建築』を取り寄せました。
『北九州市の神社建築』
細部、妻飾の項で、
「妻飾は虹梁大瓶束(こうりょうたいへいづか)、虹梁蟇股(こうりょうかえるまた)が多い。
特殊なものとして、大瓶束部分を逆さにした獅子、力神、恵比須、獅噛神、怪魚としたものがある。
力神の名称は恒見八幡神社宮司石川氏の御教示による。当社では古くから力神と呼んでいたという。」とあります。
類似したものに北九州市中央図書館所蔵の『福岡県の近世社寺建築』には力鬼があるとの記載があります。
写真 「本殿妻飾 恒見八幡神社本殿 文化5年」を参照しました。
松ヶ江郷土史会のお話を聞きました。
郷土民話『ケンとリキリン』の紹介
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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『北九州市の神社建築』 北九州市教育委員会編 北九州市教育委員会 2003年
(31,46頁61頁~63頁、228頁 ) - 『古建築の見方・楽しみ方』 瓜生中著 PHP研究所 2000年 <521.8/ウ> (208~220頁)
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『ケンとリキリン』 吉岡成夫・文 にしもりあい・絵 松ヶ江郷土史会会長細石坦男編 図書館流通センター 2008年
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インターネット 筑前若松戸明神社ホームページ
http://www5.ocn.ne.jp/~toake/(最終確認日:2011年11月27日) - 『ふるさとむかしばなし』松ヶ江郷土史会編発行 2008年 【K211.2/マ】
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『北九州市の神社建築』 北九州市教育委員会編 北九州市教育委員会 2003年
- キーワード
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- 建築
- 装飾
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000071699