「公害」
『現代用語の基礎知識』1966年版に「公害」記載あり,1964年版には「公害」記載なし(1965年版は所蔵なし)。
『新聞用語辞典1962』(朝日新聞社)には「公害」記載あり,同書1958年刊行分には記載なし。
『時のことば事典』「公害」の項(p190~191)に「言葉自体は明治の工場法,河川法にすでにあらわれている。」との記述あり。
『明治・大正・昭和の新語・流行語辞典』「1967(昭和42)年」の「公害」の項(p306)に「「公害」ということばは古くは明治10年代の大阪府令や1896年の河川法に見られ,~」との記述あり。
ほか,参考資料(3)~(5)に,「公害」という言葉について触れた記述はあるが,言い始めたのが誰かということは不明。
参考資料(3):p16「公害ということばは,すでに明治10年代の大阪府令の中に登場し,その対策がしめされていた。大正初期には,各地の府県条例の中で,(略)公衆衛生上の害悪を総称するものとして,「公害」という定義がされ,~」
参考資料(4):序p1「1964年,私たちが『恐るべき公害』(岩波新書)を出版した時は,国語の辞書には「公害」ということばはなかった。私たちは一般の住民だけでなく,研究者仲間からも公害ということばのいみを質問され,逐一説明しなければならぬ状況であった。~」
参考資料(5):序「「公害」という言葉は,ごく近年の用語だと思うが,~(東京大学総長)」,p3「たとえば,公害という言葉の意味について,世界的にも何を公害というかということさえも,まだはっきりした統一見解はかたまっていない。~」
「光害」
『天文屋渡世』p251~「ことわりがき」の中に「岡山で私が言いはじめた“光害(光の公害)”という言葉が,いまでは全国を席巻し,新聞・雑誌上で市民権を得たことはけだし文明の悲劇というべきであろう。」(p252)との記述あり。
また,p137~139に『婦人公論』の昭和45年8月号に掲載された「十年ひとむかし」というコラムが収録されており,その中に「大気・海水汚染の公害の他に,観測を守るために新たに「光害」という言葉が追加された。」との記述あり。 但し,該当の『婦人公論 昭和45年8月』を見ると,文章が少し異なっている。(p71~73「十年ひとむかし」該当の文章「岡山県では,大気・海水汚染騒音などの公害の他に,観測所の空を守るための「光害」対策に努力していただいているが,~」) 著者は東京天文台岡山天体物理測候所に昭和35年に赴任し昭和59年まで在任。