レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2007/07/11
- 登録日時
- 2007/08/23 02:10
- 更新日時
- 2012/03/21 16:15
- 管理番号
- C2007F0485
- 質問
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解決
世界主要各国の大学病院勤務医(歯科医除く)の給与(賃金)について書かれている資料を探しています。
- 回答
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ご照会の事項に関しまして、以下の通り回答いたします(【】内は当館請求記号)。
世界各国の大学病院の勤務医の給与(賃金)についてですが、勤務医の中でも大学病院に勤務するもののみを対象としたデータは、見つかりませんでした。しかし、勤務医全般の給与については、平成14年1月24日に参議院議員櫻井充が「勤務医を取り巻く諸問題に関する質問主意書」(http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/154/syuh/s154001.htm )第4項の中で次のように質問しています。
近年、医師と医療費の削減が話題になっているが、業務量が増加している勤務医の給与は労働実績に照らせば年々低下している。勤務医の収入は、開業医、あるいは諸外国と比較して高いのか安いのか。具体的な数値を踏まえて答えられたい。
これに対して、「参議院議員櫻井充君提出勤務医を取り巻く諸問題に関する質問に対する答弁書」(http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/154/touh/t154001.htm )では、次のように回答しています。
「平成十二年賃金構造基本統計調査」によれば、常用労働者である医師に対して平成十二年六月分として支給された現金給与額(賞与、期末手当等の特別給与額を除く。)の平均は約八十六万円であるが、開業医の所得及び諸外国の勤務医の所得については把握していない。
なお、この質問主意書・答弁書については、参議院HP内の「質問主意書情報」(http://www.sangiin.go.jp/japanese/frameset/fset_c03_01.htm )から検索することができます。
また、当館で契約しているオンラインデータベース「聞蔵Ⅱ」を検索しましたところ、『朝日新聞. [東京]』(【YB-2】(マイクロ資料))2005年10月9日朝刊のオピニオン1面に掲載される「(シリーズ・社会保障 選択のとき)医療 「医者はもうかる」って本当?」という記事で、病院で働く勤務医の平均年収と平均的なサラリーマンの年収格差の国際比較を行っていました。これによれば、日本の勤務医の平均年収はサラリーマンの2.53倍(2004年)であり、英国は3.53倍(2002年)、米国は3.24倍(2000年)、ドイツは2.00倍(2004年)、オランダは3.50倍(2003年)となっていました。
このデータの典拠は「経済協力開発機構の調査」と記されていたため、OECD関係の資料を調べましたところ、『図表でみる世界の保健医療 : OECDインディケータ. 2005年版』(明石書店 2006 【EG211-H151】)の127ページに「勤務医・自営医別専門医の報酬(米ドル表示PPP)、入手可能な最新年」という表が掲載されており、イギリス・ドイツ・ノルウェー・ポルトガル・ニュージーランドなど13カ国の勤務医の報酬が掲載されていました。また、“Health at a glance.”2005(Organisation for Economic Co-operation and Development 2005 【Y580-B30】)の127ページには「Remuneration of specialists salaried and self-employed, USD PPP, latest year(s) available」、128ページには「Remuneration of general practitioners salaried and self-employed, USD PPP, latest year(s) available」が掲載されており、「Remuneration of specialists」(127ページ)では19カ国について1999年~2004年の勤務医・自営医の報酬を、「Remuneration of general practitioners」(128ページ)では15カ国について1999年~2004年の勤務医・自営医の報酬をそれぞれ記載していました。
このほか、当館で契約しているオンラインデータベースSourceOECDを調べましたところ、「OECD Health Data 2006, October 2006」に「Remuneration of general practitioners」・「Remuneration of specialists」が収録されていました。この「Remuneration of general practitioners」では15カ国について2000年~2004年までの勤務医・自営医の報酬(US$ exchange rate)が、「Remuneration of specialists」では21カ国について2000年~2004年までの勤務医・自営医の報酬(US$ exchange rate)が記されていました(ただし、国・年によっては記載のないものも多くありました)。
OECD関連の資料につきましては、専門機関としてOECD東京センター(http://www.oecdtokyo.org/ )があります。
なお、大学病院の勤務医に限定してはいませんが、アメリカ合衆国における内科医(Physician)・外科医(Surgeon)の給料については、“American Salaries and Wages Survey”(Gale Research 隔年刊 【Z61-E657】)2005年版に記載がありました。同資料はアメリカ合衆国の職業ごとの年収を上位・中位・下位の3つに分けて地域・都市ごとに掲載しています。内科医(Physician)についてはジョージア州の中位の平均年収(140000ドル)しか記載がありませんでしたが(1142ページ)、外科医(Surgeon)については1403~1405ページにアメリカ各地のデータが記載されていました。(ただし、上位・下位の平均年収は記載されていないものも多くありました)。
このほか、次の雑誌記事等を調べましたが、各国の大学病院の勤務医の給与に関する記載は見つかりませんでした。
●「医療・福祉 小児科医 過酷な当直に耐えかねて全国で女性勤務医が次々に退職 (特集 職業別・会社別・資格別・国内外別 給料全比較) -- (Part1 12業種別50職種 仕事の実態と本当の給料)」(『週刊ダイヤモンド』 93(43) (通号 4104) 2005.11.5 50~51ページ 【Z3-85】)
●「特集 勤務医と労働基準法--医療の現実と法」(『病院』 64(10) 2005.10 797~822ページ 【Z19-39】)
●「勤務医を襲う激務、待遇悪化、訴訟リスク…… そして医師はいなくなった (特集 病院が崩壊する)」(『中央公論』 122(6) (通号 1478) 2007.6 25~33ページ 【Z23-9】)
(インターネットの最終アクセス:2007年7月6日)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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『国際連合世界統計年鑑 第35集(1985/86』、厚生労働省HP、Japanknowledge、聞蔵II、PubMed、医中誌に該当記事なし。
- NDC
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- 衛生学.公衆衛生.予防医学 (498 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 給与
- 医療従事者
- 統計
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 大学図書館
- 登録番号
- 1000036933