1.出口調査の仕組みについて
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資料1:「出口調査とは各選挙区にアンケートを行うスタッフを配置し、投票を終えた有権者から『誰に投票したか』を聞き出すもの」と簡単な説明がある。
資料2:「各選挙区の大きさに応じて無作為に抽出し、その投票所の出口で投票を終えたばかりの有権者に調査用紙を渡し選択方式で回答させるやり方が普通。」とある。
[NDL-OPAC 雑誌記事索引]を<出口調査>で検索すると、15件ヒットする。この中から都立中央図書館所蔵の雑誌の内容を確認したが、下記の雑誌以外に仕組みについて詳しい記述があるものは見つらなかった。
『新聞研究』 1992年10月号 p.74-76 「参議院議員選挙 全国規模出口調査の試行錯誤」に、1992年の参議院議員選挙の際、日本テレビが行った出口調査について、人の手配、関係者への説明、調査を行ううえでの注意事項など、当時苦労した様子が具体的に書かれている。
2.出口調査の発案者について
発案者についてわかる資料は見つからなかった。
参考のため、インターネット[Google]で<出口調査>×<発案者>で検索すると、個人のサイトで、「出口調査という訳語は、英語のExit Pollの直訳であるが、この語が生み出されたのは1980年代で、それまでは、Election Day Pollと呼ばれていた。ウォレン・ミトフスキー氏によれば、Exit Pollという呼称の発案者はネットワークのABCのディレクターだそうだ。ミトフスキー氏は、1967年ニューヨークにおいて、出口調査を初めて実施した…中略…さらにミトフスキー氏は、アメリカ大統領選挙の出口調査に1972年からすべて携わっておられ、出口調査のまさに育ての親」とある。
資料4:p.752「exit poll」の項に1980年の語とあるが、発案者名は記述なし。
また同ホームページに、日本での始まりは、1992年のNHKからとの記述があり、資料3にあたった。
資料3:「出口調査が初めて本格的に導入されたのは1992年7月26日の参議院選挙であった」とある。1992年は、フジテレビ、日本テレビ、TBSが、1993年衆議院選では、NHKとテレビ朝日が参加したとの記述がある。
参考情報として、日本における「出口調査」の初期についての記事を紹介する。
上記『新聞研究』の記事の他に、[大宅壮一文庫雑誌記事索引CD-ROM 1992~1996]を<出口調査>で検索してみると、『週刊時事』 1992年8月8日号p.18-20 「『出口調査』時代に入った選挙速報」の記事もある。
また、[聞蔵 朝日新聞オンライン記事データベース]を<出口調査>で検索すると、
1992年7月3日夕刊「日テレ参院選番組 出口調査頼りに開票前に当落予測」
1992年7月24日朝刊「TV局の開票速報番組に”異変”『出口調査』当打ち競争に拍車」
の記事がある。
しかし、1992年以前の記事として、
1989年7月21日夕刊に「参院選速報にテレビ各局個性を打ち出す」という見出しの記事があり、その中に、TBSが全国5000ヶ所の投票所において出口調査を行った旨の記述もある。
また、米国については、同データベースでは、1986年11月5日朝刊に「TV局、速報にしのぎ『当落予測』は自粛 86米国中間選挙」の記事があり、「米国では、各テレビ局が投票所の出口に調査員を置き、投票を終えたばかりの有権者から聞き取りして当落を予測するという独特な習慣がある。80年の大統領選で、時差のため時間が東より遅れる西海岸ではまだ投票が行われている最中にカーター候補が敗北宣言するという事態にまでなり、『報道の先走り』と批判された。」
というくだりがあり、日本よりかなり以前から出口調査が行われていたことがうかがわれるが、前述したインターネットによる情報の裏づけとなる資料は見つからなかった。