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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000248498
提供館
(Library)
島根県立図書館 (2110035)管理番号
(Control number)
島根郷2018-09-004
事例作成日
(Creation date)
2018年09月23日登録日時
(Registration date)
2018年12月15日 16時38分更新日時
(Last update)
2019年09月12日 18時27分
質問
(Question)
松江藩の役所の一つである「泉府方」(せんぷかた・せんぷがた)についてわかる資料はないか。いつ、どのような経緯で設置され、どのような機能があったか、また「泉府」とは何に由来しているのかを知りたい。
回答
(Answer)
当館所蔵資料より、下記の資料を紹介し回答。

資料1:p4-11「宗衍の親政と御趣向(延享)の改革」のうち、p5-6に泉府方の記述あり。財政難を乗り切るために6代藩主宗衍(むねのぶ)は親政(御直捌き)を行い、小田切備中を登用して藩政改革に取り組む。小田切は理財能力のある中下層の藩士を集めて「趣向方(しゅこうがた)」という改革派を作り、彼らの提案による大胆な経済政策を実行していった。まず赤字補てんのために資金調達を行い、国外金融商人から巨額の融資を取り付けた。「泉府方」は藩内の富商農の手持ち資金に、国外から調達した資金と合わせて原資とし、希望者に貸し付けた。「いわば第三セクターで運営する藩営銀行ともいうべき役所」であったとする。このような政策は在郷富裕層と連携したもので、出資者には名字帯刀・合羽御免などの優遇策を付与して協力を仰いだ。またこのような奇策は小田切の家臣であった村上喜一郎や荒井助市などが担当した。
これらの政策については小田切備中が『報国』を著し、改革の内容について詳しく述べられている、とされる。

資料2:p206-218「泉府方」の項目あり。「泉府」という言葉の出典は周禮とする。漢書・魏書などにも見え、中国では古代に泉府の役所を設け、理財を掌ったとされる。
松江藩の泉府方は、藩財政が悪化したとき小田切備中(尚足)が家臣の村上喜一郎の提案を入れ、寛永2年に泉府方を設け、上下一般金融の融通を計った政策。村上喜一郎は「貨殖に通じ、乃ち民に諭すに利を以てし銀一千貫を得、交鈔を発して大いに行はる」が、「九月上に返済口不宜噂あり」となり、最終的に小田切は退役の願いを出し、役儀御免となる。「泉府方は一旦成立したるものゝ間もなく信用を失ひ、遂に破綻に立至った」とされる。また、この資料には「泉府方御役人心得覚」と「銭府仕法帳」を載せる。なお、退役した小田切備中は『報国』を著わして、その事業40箇条を列挙したとする。

資料3:小田切備中が著した『報国』の解説(p21-25)・本文翻刻(p67-79)・書き下し文(p80-100)を載せる。
解説によると、6代藩主宗衍が延享4年(1747)から宝暦2年(1752)にかけて「御直捌」という親政を行った際に唯一の補佐役であった小田切備中尚足(ひさたり)が宝暦3年夏に著した著作。尚足は中老格の家に生まれたが、延享3年に加増されて家老仕置役に取り立てられ、翌年に御直捌が始まると同役2名が御免となる中で一人残り、「御政務」を「御手伝」するように命じられ諸政策を主導した。しかし、一連の政策が不調に終わり「御直捌」が取りやめとなると尚足の「御手伝」の名目は解かれて複数の仕置役の一人に格下げとなり、さらに国内外の経済的信用を失う事態を招いたという理由で辞任する。『報国』には御直捌の諸政策が40条にわたり列挙されており、主なものに「義田の法」「泉府方」「木実方」「禄制改革」などが挙げられる。「泉府方」は藩営金融機関で、その利殖により藩財政を好転させようとしたが、うまくいかなかったとされる。『列士録』から見ると、この泉府方が破たんして藩の経済的信用を著しく傷つけたことが失脚の原因とされている。
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
中国地方  (217 8版)
参考資料
(Reference materials)
【資料1】乾隆明 著 , 乾, 隆明. 松江藩の財政危機を救え : 二つの藩政改革とその後の松江藩. 松江市教育委員会, 2008. (松江市ふるさと文庫 ; 3)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010003286-00  (当館請求記号 郷貸出217.32/マ/3)
【資料2】上野富太郎, 野津静一郎 編纂 , 上野, 富太郎 , 野津, 静一郎. 松江市誌. 名著出版, 1973.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001219712-00  (当館請求記号 貴重092.92※貸出禁止資料)
【資料3】松江市史編集委員会 編 , 松江市. 松江市史 史料編 5 (近世 1). 松江市, 2011.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023313304-00 , ISBN 9784904911129 (当館請求記号 郷貸出217.3/マ/2-5-1)
キーワード
(Keywords)
泉府方
松江藩
経済
財政改革
財政難
島根県
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
【資料3】の解説p21~によると、『報告』の写本は島根県立図書館所蔵本のみであり、数度の筆写が繰り返されているため誤脱が多い。翻刻は、補訂されている。『報告』の翻刻として佐野正巳著『松江藩学芸史の研究』明治書院、1981年刊があるが、誤脱の多い写本を底本としているため注意を要する、としている。
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
郷土
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000248498解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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