レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
[転記用URL] https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000233864提供館 (Library) | 栃木県立図書館 (2110002) | 管理番号 (Control number) | tr543 | |||||
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事例作成日 (Creation date) | 2018年03月08日 | 登録日時 (Registration date) | 2018年03月30日 20時58分 | 更新日時 (Last update) | 2018年12月29日 17時14分 | |||
質問 (Question) | 戦時中の松根油の生産について。県内ではどの市町で生産されていたか。 宇都宮市でも生産していたのか。 | |||||||
回答 (Answer) | 松根油の生産について、県内では那須町、益子町等で作られたという記録を確認しました。宇都宮市内の記録は確認することができませんでした。 調査結果の詳細は以下のとおりです。 1 記述を確認した資料 ・『栃木県農業団体史』(栃木県農務部/編 栃木県農務部 1954) p.632-634「第5節 松根油の採取事業」の項があり、県内の松根油の採取事業について記述があります。 その中に、県の林務課が主管し松根油増産本部を設置し、市町村に対し松根採取について協力を要請した旨が書かれており、「なお乾溜釜の基数は、本県割当二千百釜で落合村、田野村、益子町などは二十基を施設する等、それゞ埋蔵量により釜の割当てが行われた。」とあります。(p.633) なお、当時の落合村は現日光市(旧今市市)、田野村は現益子町(『角川日本地名大辞典 9栃木県』(「角川日本地名大辞典」編纂委員会/編 角川書店 1984)より)です。 これを元に、旧今市市と益子町の市町村史を確認したところ、工場、乾溜釜の場所についての記述ではありませんが、松根油採掘に関する記述を確認しました。 ・『いまいち市史 通史編 6』(今市市史編さん委員会/編 今市市 2005) 「第三章 今市の大正・昭和 第七節 戦争と人々」の「銃後の生活」の項に、 「二十年六月に大沢村の日光街道山口地内で松根堀りが行われた」とあります。 ・『益子町史 第4巻 近現代史料編』(益子町史編さん委員会/編 益子町 1989) 「第三節 常会資料にみる太平洋戦争下の益子」に「松根油緊急堀取に関する件」という史料が掲載されています。(p.693) 益子町内で掘取を行った地域名が記されています。 ・『那須の太平洋戦争』(北那須郷土史研究会/編 下野新聞社 1996) p.106「那須町の松根油製造工場」 那須町にあった4つの工場について記述があります。 ・『栃木県林政史 下巻』(栃木県林務部/編 栃木県 1968)【館内】 p.101-102「Ⅱ 林業生産の総動員体制と林務行政費」の項に、昭和20年5月に栃木県が公布した「栃木県重要林産物生産令施行細則」の主な内容が書かれており、松根油についても記述があります。 工場や乾溜釜の場所に関する記述は確認できませんでした。 ご参考までに、昭和20年度の県費の支出済額に関する表があり、松根油緊急増産費が掲載されています。 2 記述を確認できなかった資料 ・『栃木県史 通史編6 近現代1』(栃木県史編さん委員会/編 栃木県 1982) p.893-896「軍需物資の回収」(「第十一章 戦時体制下の民衆生活」所収)の項に松根油に関する記述がありますが、 一般的な内容にとどまり、県内の状況については記されていませんでした。 ご参考までに、記述内容は次のとおりです。 「戦争末期の昭和二十年になると、航空機燃料の不足が決定的となった。全国各地で松の伐採と根の掘り起しが行われた。松の木から採れる松根油が代用燃料となり、兵器の塗料となるためであった。」(p.896) ・『昭和二十年 第1部=6』(鳥居民/著 草思社 1996) p.249-254「ドイツの戦闘機は松の木から採った油で飛んでいるぞ」からp.277-281「松根油で飛行機は本当に飛ぶのか」までの項に、松根油に関する記述がありますが、県内の状況については記されていませんでした。 しかしながら、全国的な松根油生産運動についての記述がありましたので、ご参考までに記述内容の一部をご紹介します。 「地方長官に松根油生産の運動をはじめるように命じた。そして生産責任団体を農業会と定めた。十一月に入って、どこの県でも、松根油緊急増産協議会をつくり、知事が会長となり、経済部長が副会長となった。」 ・『宇都宮空襲・戦災誌』(『宇都宮空襲・戦災誌』編集部/編 宇都宮市戦災を調査する会 1975)【館内】 ・『うつのみやの空襲 平和への願いと犠牲者への鎮魂の意をこめて,戦災記録保存事業報告書』(宇都宮市教育委員会/編集、発行2001) ・『宇都宮市史 第7巻 近・現代編1』(宇都宮市史編さん委員会/編 宇都宮市 1980) ・『宇都宮市史 第8巻 近・現代編2』(宇都宮市史編さん委員会/編 宇都宮市 1981) ・『宇都宮市六十周年誌』(宇都宮市役所総務部庶務課/編 宇都宮市役所 1960) ・『二荒山は炎の中に 宇都宮空襲と戦時下のくらし 1930‐1951』(宇都宮平和祈念館建設準備会/編 随想舎 1992) ・『語りつぐ戦争 とちぎ戦後70年』(下野新聞社編集局/著 下野新聞社 2016) ・『那須町誌 前編』(那須町誌編さん委員会/編 那須町 1976)【館内】 ・『那須町誌 後編』(那須町誌編さん委員会/編 那須町 1979)【館内】 ・『栃木県農業協同組合史』(栃木県農業協同組合史編さん委員会/編集、発行 1970) ・『栃木県木材史』(徳田浩淳/著 栃木県木材業協同組合連合会 1976)【館内】 ・『栃木県林政史 林業・自然環境行政のあゆみ(昭和20年~平成8年)』(栃木県林政史編さん委員会/編 栃木県 1997) ・『栃木県議会史 第4巻』(栃木県議会図書広報委員会/編 栃木県議会 1989) ※市町村史については、全ての市町を網羅的にお調べすることが難しいため、 ご指定の宇都宮市と調査の過程で情報を得られた地域のみをお調べしています。 | |||||||
回答プロセス (Answering process) | ||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | 以前当館で回答した関連事例あり。 「松根油に関する資料はありますか。」 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000004210 | |||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) | ||||||||
キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | ||||||||
寄与者 (Contributor) | 備考 (Notes) | |||||||
調査種別 (Type of search) | 文献紹介 | 内容種別 (Type of subject) | 郷土 | 質問者区分 (Category of questioner) | ||||
登録番号 (Registration number) | 1000233864 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) |