県立中等学校校長会の議事録は当館では所蔵しておらず、県立歴史館の所蔵史料も目録を
再度確認しましたが該当するものは見つかりませんでした。
ただし、大正12年度の請求記号「大12 2E-27-1」及び「大12 2E-27-2」の「諸学校」
2分冊が所蔵されています。内容については、歴史館へお問い合わせください。
また、該当しそうな資料の所蔵機関も確認できませんでした。
御確認済みの、『信州の野球史 平成25年夏季企画展』長野県立歴史館編・発行 2013年
当館図書請求記号(以下同様)【N783/16】19ページの申合せ内容の記載は、『長野県高等
学校野球大会記念史 1』長野県高等学校野球連盟20周年記念史編集委員会/編 長野県高等
学校野球連盟 1966年(1987年復刊)
【N783/1/1】29ページの記載を典拠としていると思われます。
この箇所には、
・明治以来の県南北対立の空気が中等学校野球を火種に大正8、9年頃から再燃
(長野市の城山で大会をやれば松本勢に対して「くやしかったら松本へ県庁をしょっ
て帰れ」、松本でやれば長野勢に対し「勝ったらただでは帰さぬ」などのヤジが飛ぶ
ようになり、政治的抗争にまきこまれるおそれを感じとった。)
・県立中等学校会は「全国大会へ通じる甲信越大会即ち朝日新聞社主催の全国大会不
参加」を申し合せ他県遠征は自粛。県内中等学校野球大会を一校二ゲーム、応援は
拍手のみと規制し、校長会が主体となり持ち回りで運営に当たることになった。
というような記載があります。
ただし、私立の松本商業は当初から、県立になって日の浅い長野商業、諏訪蚕糸などは、
数年後から全国大会へつながる甲信越大会(大正12年に甲信大会から甲信越大会へ編成替
え)へ参加しているようです。
同様の記載は、
・『見ずや春風』長野県長野高等学校野球部OB会編 長野高校野球部部史編集委員会
1987年 【N783/18】43ページ
・『凱歌とともに』長商野球部史編集委員会編 長野商業高等学校野球部OB会 1998年
【N783/34】8ページ
・『松本中學校・松本深志高校 野球部の一世紀』
松本中學校・松本深志高校部誌編集委員会編
松本深志高等学校野球部OB会 2004年 【N783/42】92ページ
などにも見られ、上記『長野県高等学校野球大会記念史 1』に拠っていると思われますが、
『松本中學校・松本深志高校 野球部の一世紀』は記載がもう少し詳しく、自校に保管さ
れている資料を使用していると思われます。
また、『甲子園からの手紙』窪田文明著 一草舎出版 2008年 【N783/56】の115から
116ページでは、大正11年6月30日から7月1日まで開催された県中等学校長会議で運動競技、
特に野球の問題点と改善策が議論されたのが発端となっており、このときに野球の応援が
過熱して南信と北信の争いに油を注ぎかねない
ことなどから大いに注意すべきであると意見が一致していた、という記載もあります。こ
の校長会については同年7月1日及び2日の信濃毎日新聞に掲載されていますが、甲信越大
会への不参加を申し合せた校長会(『松本中學校・松本深志高校 野球部の一世紀』によ
ると12年4月)の記事は見つけることができませんでした。
『甲子園からの手紙』116ページには、校長会の決定について「朝日新聞社の主催する
全国中等学校野球大会の地区予選である甲信大会への不参加を決定した。かわりに全国大
会にはつながらない県下中等学校野球大会を開催することとし、
・他県に遠征しないこと
・県下の大会出場は二回とすること
・大会は一校二試合で決勝は行わないこと
・応援は拍手のみとすること
・長野県中等学校野球大会を開催すること
という決定をした。」と記載があります。
この他確認した資料は以下のとおりです。
『長野県史 近代史料編第10巻(2)』長野県編 長野県史刊行会 【N209/11-1/10-2】
『長野県教育史 第3巻』長野県教育史刊行会編・発行 1983年 【N372/52/3】
『同 第14巻』 1979年 【N372/52/14】
『長野高校八十年史』長野高校八十年史刊行会編 長野高校同窓会 1980年 【N376.4/69】
『長野県松本中学校 長野県松本深志高等学校九十年史』
松本深志高等学校同窓会九十年史刊行委員会
1969年 【N376.4/64】
『長野県スポーツ史』信濃毎日新聞社編・発行 1979年 【N780/16】
『長師野球部のあゆみ』長師野球部のあゆみ編集委員会編
長師野球部のあゆみ刊行会 1979年
【N377/19】
『高鳴る腕』飯山北高野球部記念誌編集委員会編 長野県飯山北高等学校野球部OB会
[2003年] 【N783/41】
『松商野球部百年史』松商野球部百年史編纂委員会編
松商学園高等学校公式野球部100年推進プロジェクト 2013年 【N783/77】