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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
埼玉県立久喜図書館 (2110009)管理番号
(Control number)
埼久-2016-066
事例作成日
(Creation date)
2016年02月03日登録日時
(Registration date)
2016年09月26日 14時12分更新日時
(Last update)
2016年11月02日 16時02分
質問
(Question)
『続々群書類従 第4巻』のp14以降、人名(「左衛門佐」など)の傍に「アナタヨリハ」という一文が頻出するが、どのような意味か知りたい。
p14に掲載されている文献は「余目氏旧記」である。
回答
(Answer)
質問の「アナタヨリハ」は、「相手方からは」の意味である。
質問の「余目氏旧記」は、「中世陸奥国宮城郡の領主留守氏の先祖書。」(『国史大辞典 1』より)
《東京大学史料編纂所所蔵目録データベース》( http://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/shipscontroller  東京大学史料編纂所)で、謄写本「餘目氏旧記」(余目久右衛門(岩手県胆沢郡塩竃村)所蔵、1890年撮影・複本作成)の画像に、『続群書類従』と同様に「アナタヨリハ」の表記があり、「アナタヨリハ」は『続群書類従』編集上の傍注等ではなく、原文に存在する記述であることが確認できた。
 
「アナタヨリハ」の意味を国語辞典、古語辞典を用いて調べたところ、以下の「アナタ」の項目を確認できた。
『日本国語大辞典 第1巻』(日本国語大辞典第二版編集委員会編 小学館 2000)
 p462 「あなた(彼方・貴方)」の項目「(一)他称。話し手、聞き手両者から離れた方向、時、人などを指し示す(遠称)。かなた。①あちら。向こうのほう。②以前。過去。③未来。④あのかた。あちらの人。対等または上位者に対して用いた。(二)対称。対等または上位者に用いた。宝暦(1751-64)頃から用例が見られる。(後略)」(※用例は引用略)

『時代別国語大辞典 室町時代編 1』(室町時代語辞典編修委員会編 三省堂 1985)
 p143-144 「あなた(彼方)」の項目「1 話し手を基準として、そこから遠く離れた所への方向、または場所を指し示す。」、「2 ある物に隔てられた、その向う側を指し示す。」、「3 「こなた」と対応させて用い、事態が特定の一つの方向や場所に限らないで、その方方にわたる意を表す。」、「4 話し手からみてある距離を隔てた所にある特定の場所としての客間、すなわち座敷などを指す。」、「5 間接的表現によって示される敬意を含んで、他の人なり相手の人なりを指していう語。」、「6 ある時点を基準として、それから遠く隔った時をいう。」

『続々群書類従 第4 史伝部』のp14-16には、大崎氏が差し出した文書と、大崎氏及び大崎氏関係者と推定される人物宛の文書の書札礼(武家社会における書状の宛て所の書き方)が列挙されている。このうち、p15「伊勢殿ヘハ内封にて候アナタヨリハ伊勢守ウラガキアリ」の記述は、大崎氏が伊勢氏に対して差し出す文書と、伊勢氏が大崎氏に対して差し出す文書の書札礼の説明と解釈できる。
回答プロセス
(Answering process)
1 『続々群書類従 第4 史伝部』(国書刊行会編 続群書類従完成会 1985)を確認する
 p14「餘目氏舊記」(あまるめしきゅうき 余目氏旧記 余目記録とも)内に該当の記述を確認する。

2 国史大辞典を確認する
『国史大辞典 1 あ-い』(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1979)
 p302「あまるめしきゅうき 余目氏旧記」あり。
 収録文献として、「続々群書類従 史伝部」、「仙台叢書 八」、「仙台市史 八」、「宮城県史 30」
 参考文献として、佐々木慶市稿「水沢市史 二」、大島正隆「奥州留守氏考」(「仙台郷土研究」十三ノ四)とあり。 いずれも埼玉県立図書館所蔵なし。

3 「余目氏旧記」「余目記録」でインターネット情報を確認する
(1)《名古屋大学グローバルCOEプログラム テクスト布置の解釈学的研究と教育》
トップページ > 研究成果 > HERSETEC > HERSETEC Vol.1 No.2 2007
小久保嘉紀著「日本中世書札礼成立の契機」(「HERSETEC Vol.1 No.2」名古屋大学大学院文学研究科 2007)
 p158、p169-170 「余目氏旧記」は留守氏独自の書札礼であるとの記述あり。( http://www.gcoe.lit.nagoya-u.ac.jp/result/result02/hersetec-vo1-no2-2007.html  名古屋大学)

(2) 《Google ブックス》( http://books.google.co.jp/  Google)
『鎌倉幕府と東国』(岡田清一著 続群書類従完成会 2006)
 p48「また、少し時代が下るが、永正十一年(一五一四)にまとめられたといわれる『奥州余目記録』は、中世、多賀国府の周辺を支配した留守氏の由緒や伝統を記録したものであるが、その後半には当時の武家社会における書状の宛て所の書き方(書札礼)を記載している。例えば、宮城県北部を支配した奥州探題大崎氏が山名氏に宛てた書状には、謹上 細川殿 御宿所 左衛門佐教兼と書き」との記述あり。

これにより、引用部分の記述が一致することなどから、質問の「アナタヨリハ」の記述がある部分は「書札礼」の記述であることが確認できる。

(3)《CiNii Articles》( http://ci.nii.ac.jp/  国立情報学研究所)を〈書札礼〉で検索する
 複数件ヒットするが、「アナタヨリハ」に言及した論文なし。
(4)《日本古典籍総合目録データベース》( http://base1.nijl.ac.jp/~tkoten/  国文学研究資料館)を〈余目氏旧記〉で検索する
 「【写】東大史料(岩手県余目久右衛門蔵本写),[補遺]京大(岩手県余目久右衛門蔵本写、余目氏家譜略等と合)【複】〔活〕続々群書類従四・[補遺]余目旧記(及川儀右衛門、昭和二八)」とのこと。
(5)《東京大学史料編纂所所蔵目録データベース》( http://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/shipscontroller  東京大学史料編纂所)を〈余目氏旧記〉で検索する
 謄写本「餘目氏旧記」(余目久右衛門(岩手県胆沢郡塩竃村)所蔵、1890年撮影・複本作成)が該当する。画像で閲覧できる。
 コマ番号231-251が質問内容と対応する部分。『続群書類従』の表記どおり「アナタヨリハ」が本文中に確認できる。
(6) 「アナタ」の意味について国語辞典で確認する。(回答資料)
(7) 『続々群書類従 第4 史伝部』を確認する。(回答参照)

データベース・ウェブサイトの最終アクセス日は2016年2月3日。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
日本史  (210 9版)
参考資料
(Reference materials)
『日本国語大辞典 第1巻』(日本国語大辞典第二版編集委員会編 小学館 2000), ISBN 4-09-521001-X
『時代別国語大辞典 室町時代編 1』(室町時代語辞典編修委員会編 三省堂 1985), ISBN 4-385-13296-8
『鎌倉幕府と東国』(岡田清一著 続群書類従完成会 2006), ISBN 4-7971-0745-6
『続々群書類従 第4 史伝部』(国書刊行会編 続群書類従完成会 1985)
キーワード
(Keywords)
古文書-日本-中世
書簡文
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
言葉
質問者区分
(Category of questioner)
個人
登録番号
(Registration number)
1000197369解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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