レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年11月10日
- 登録日時
- 2016/03/31 10:58
- 更新日時
- 2016/03/31 11:05
- 管理番号
- 福井県図20151110
- 質問
-
未解決
松尾芭蕉の狂歌「思う事ふたつ除けたるそのあとは花の都もいなかなりけり」の“ふたつ”とは何と何を指しているか。
(調査済資料:『芭蕉全句集』『新芭蕉俳句大成』)
- 回答
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“ふたつ”が何を指しているのかは不明。
質問の狂歌は芭蕉の自作ではなく、芭蕉門人の菅沼曲水と宝井其角の両吟歌仙の付合(つけあい)を、狂歌に転用したもの。
(出典:『芭蕉書簡大成』今榮藏/著 角川学芸出版 2005年 p190-191)
上記両吟歌仙は、『俳人其角全集 第1巻』勝峯晋風/編 彰考館 1935年 p179に収録されている。
- 回答プロセス
-
1.資料で当該狂歌を探すが、発見できず。
・・・『狂歌大観』『芭蕉大成』『校本芭蕉全集』など、文学参考書架で関係しそうなものすべて見るが無し。
2.Web検索の結果、個人のサイトで当該狂歌を発見。
・・・Webサイト「小品「芭蕉讃岐行」Ⅸ」の「珍しい芭蕉の狂歌」に当該の狂歌の紹介あり。この狂歌は、芭蕉発曲水宛書簡(元禄三年六月三十日付)の文末に添えられたもので、狂歌自体は、曲水・其角の両吟歌仙中の付合を一首にした即興機知の作とのこと。
http://blogs.yahoo.co.jp/kenmochibunko3/11019550.html
3.芭蕉の書簡を探す→収録資料あり。
・・・『校本芭蕉全集』(角川書店)の第8巻(書簡編)と別巻(補遺編)には記載なし。
・・・『芭蕉書簡集』(松尾芭蕉/著,萩原恭男/校注 岩波書店 1976年)p113-116に“曲水宛書簡(元禄三年六月三十日付)”と脚注の記載あり。
・・・『芭蕉書簡大成』(今榮藏/著 角川学芸出版 2005年)p187-191に“曲水宛書簡(元禄三年六月三十日付)”と解説の記載あり。本書解説に、当該の狂歌は芭蕉の自作ではなく、芭蕉門人の菅沼曲水と宝井其角の両吟歌仙の付合(つけあい)を、狂歌に転用したものとあり、またこの両吟歌仙は、其角編『花つみ』に収録されているともあり。
4. 其角編『花つみ』を探す→収録資料あり。
・・・『俳人其角全集 第1巻』(宝井其角/著,勝峯晋風/編 彰考館 1935年)に「花つみ集」の収録あり、p179に“四月晦日、石山幻住庵をかたり出て”と前書する両吟歌仙の中に“おもふ事二ツのけたる其跡は 水”“花の都も田舎なりけり 角”の付合(つけあい)の記載あり。解説等はなし。
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000190504