レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/07/17
- 登録日時
- 2015/08/01 00:30
- 更新日時
- 2015/09/17 15:44
- 管理番号
- 6000023202
- 質問
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解決
栗はどんぐりの一種か
- 回答
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「どんぐり」の定義によっては、栗も「どんぐり」の一種として扱うことがある。
『日本国語大辞典』第二版,9(小学館,p1462)には、どんぐりは「ブナ科のカシ、クヌギ、ナラ、カシワなど、ナラ属の果実の総称。狭義にはクヌギの果実をさす」と記載されている。『大辞泉』第二版,下巻(小学館,p2655)では「クヌギ・カシワ・コナラ・カシなどのブナ科植物の実」と語義解説されている。(ブナ科とあり、例示されているのはナラ属の樹木)
クリやシナグリは『日本の樹木』(講談社)によると、ブナ科のクリ属に分類されるようである。クヌギやナラ属という範疇には収まらないが、ブナ科の一種には違いない。
同様に『拾って探そう落ち葉とドングリ松ぼっくり』(山と渓谷社)では、ナラ属のほかにシイ属、マテバシイ属、クリ属、ブナ属の堅果を「ドングリ」として扱っている。「どんぐり」をクヌギやナラ属に限っていない資料は、『どんぐりの図鑑』(トンボ出版)、『野の花さんぽ図鑑 木の実と紅葉』(築地書館)、『どんぐりの呼び名事典』(世界文化社)などほかにもある。
一方、『どんぐりころころ大図鑑』(PHP研究所)には「どんぐりはクリのようにおいしくはありません。クリに似ていますが、ほとんどのどんぐりはまずくて、そのままでは食べられません。『鈍なクリ』(さえないクリ)、そこからこのような名前がついたといわれています」と解説があり、栗と「どんぐり」は別物ととらえる感覚があることもうかがえる。
『栗(ものと人間の文化史166)』(法政大学出版局)でも冒頭の章で、アク抜きが不要なクリやシイ、クルミとアク抜きが必要なドングリやトチに分け、縄文時代の木の実食をアク抜き技術の獲得進歩と関係づけて記述している。栗と「どんぐり」を分けている一例。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 森林利用.林産物.木材学 (657 9版)
- 果樹園芸 (625 9版)
- 参考資料
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- 『どんぐりの図鑑』伊藤 ふくお/著(トンボ出版)
- 『植物分類表』大場 秀章/編著(アボック社) (p152-153)
- 『どんぐりころころ大図鑑』(PHP研究所)
- 『栗』今井 敬潤/著(法政大学出版局)
- 『木の実』松山 利夫/著(法政大学出版局)
- 『資源植物事典』柴田 桂太/編著(北隆館)
- 『どんぐりの食べ方』井上 貴文/著(素朴社)
- キーワード
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- どんぐり(ドングリ)
- 栗(クリ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 『どんぐりころころ大図鑑』(PHP研究所)p10-11 「どんぐりを仲間分けする手がかり」という節がある。ブナ科の分類表も掲載されており、表中コナラ属、クリ属、マテバシイ属、シイ属、ブナ属それぞれから項目となる樹木を選び、栗も「どんぐり」として同書では扱っている。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 庁内
- 登録番号
- 1000177917