レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/04/01
- 登録日時
- 2014/05/15 00:30
- 更新日時
- 2015/04/11 00:30
- 管理番号
- 滋2014-0013
- 質問
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解決
比叡山の回峰行の道筋などを示した「回峰手文(てぶみ)」というものがあるそうだが、1点だけではなく数点あると聞いた。現存する点数、作成者、作成年を知りたい。また、名称はすべて「回峰手文」だろうか、個別の名称があればそれも知りたい。さらに、回峰行には、玉泉流、正教房流、回向流という3つの流派があるそうだが、どの流派のものか分かれば、あわせて知りたい。
- 回答
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『比叡山回峰行の研究』によりますと、「回峰手文は、回峰行の実施手順を示したものであるが、現存する資料は比較的断片的なものが多い。その多くは、『日本大蔵経』に収録されているが、最近『山岳宗教史研究叢書』第二巻「比叡山と天台仏教の研究-村山修一編」の付録として纏まった回峰手文が発表されている」とあり、以下の10点が掲載されています。
「① 当山巡礼霊所法施記(日本大蔵経九六巻)」
「② 当山霊所巡礼次第(日本大蔵経九六巻) 嘉祥元年(八四八年)円-記 永和元年(一三七五年)叡憲写 至徳二年(一三八五年) 覚源写 応永三一年(一四二四年)定憲写 元禄一三年(一七〇〇年)洪道写 文政一〇年(一八二七年) 豪実写」
「③ 当山巡礼修行記(日本大蔵経九六巻) 応永二九年(一四二二年)證憲記 宝徳二年(一四五〇年)宗英写」
「④ 北嶺大廻り次第(日本大蔵経九六巻) 慶長二年(一五九七年)慶俊記 慶安六年(一六五三年)叡憲写 貞享五年(一六八八年)厳覚写」
「⑤ 巡礼次第(日本大蔵経九六巻) 慶長二年(一五九七年)慶俊記 貞享五年(一六八八年)厳覚写」
「⑥ 北嶺回峰次第(日本大蔵経九六巻) 寛文八年(一六六八年)舜雄記」
「⑦ 回峰私日記(叡山文庫蔵) 寛文八年(一六六八年)舜雄記」
「⑧ 行門還源記(日本大蔵経九六巻) 享保一〇年(一七二五年)重華記 寛政元年(一七八九年)真超写」「⑨ 回峰手文(『山岳宗教史研究叢書』第二巻、付録) 天明二年(一七八二年)善海記」
「⑩ 回峰手掌記(叡山文庫蔵) 明治三四年(一九〇一年)玄秀記」
上記のうち⑧は「これは回峰手文ではないが、「行門の巡行の模様を聞きたい」という問答の形式で、回峰行者の歩く姿を物語風に書いているものである。」とあります。④・⑤・⑧・⑨・⑩は東塔系(玉泉流)、③・⑥・⑦は西塔系(正教房流)、①・②は横川系(回向流)のものです。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 各宗 (188 8版)
- 参考資料
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- 1 比叡山回峰行の研究 平松澄空∥著 中山書房 1982年 5-1811- 82 p.55-76
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2 比叡山と天台仏教の研究 村山修一∥編 名著出版 1975年 S-1811- 75 p.407-424
- キーワード
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- 回峰行
- 延暦寺
- 比叡山
- 玉泉流
- 正教房流
- 回向流
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000153227