レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年01月07日
- 登録日時
- 2014/02/21 17:06
- 更新日時
- 2014/02/21 17:06
- 管理番号
- 相-130014
- 質問
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解決
『南総里見八犬伝』第十三回に「餌に啼く鳥の巣だちせず、片羽なる子は可愛さも、八しほにますとことわざに」とかいてあるが、このことわざは当時本当に存在したのか?意味も知りたい。
- 回答
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「餌に啼く鳥の巣だちせず、片羽なる子は可愛さも、八しほにます」及び、「餌に啼く鳥の巣だちせず」という諺は発見できなかった。
「片羽なる子は可愛さも、八しほにます」であれば、類似の諺が以下の資料に記載されていた。
①『故事俗信ことわざ大辞典』<813.4/20A 常置>(22583843)P.315
「片端な子ほど[=はなお]可愛い
親にとって子はみなかわいいものであるが、体の不自由な子はいっそうかわいいものである。」
例文の表記と出典は以下の通り。
かたはなる子のかはゆい 浄瑠璃・椀久末松山(1710頃)、
かたはな子は猶可愛 浄瑠璃・御所桜堀川夜討(1737)、
不仁成子は尚可愛 類聚世話百川合海(1776)、
不具な子程可愛い 歌舞伎・勧善懲悪孝子誉(1877)
②『俚諺大成(日本書誌学大系59)』加藤定彦・外村展子共著 青裳堂書店 1989 <388.8 /50 常置>(20108825)p151
・不仁成(かたわな)子は尚可愛
出典 『類聚世話百川合海』恵海編 安永5年(1776)、
『譬喩尽』川瀬東井編 寛政(~1801)末成
・かたわな子程かはゆひ
出典 『国字分類諺語』蜂屋茂橘編 幕末成
『南総里見八犬伝』の刊行は文化11年(1814)~天保13年(1842)なので、出典の刊行時期から判断すると、執筆時期に「片羽なる子は可愛さも、八しほにます」に類似する諺が存在した可能性は高いと思われる。
ただし、「餌に啼く~」の意味や事例などの記述は見出すことができなかった。
- 回答プロセス
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①各種ことわざ辞典を確認。「片羽なる子は可愛さも、八しほにます」に類似する諺はあったが、「餌に啼く鳥の巣だちせず、片羽なる子は可愛さも、八しほにます」及び、「餌に啼く鳥の巣だちせず」という諺は発見できなかった。
②『南総里見八犬伝』の注釈や全訳などで意味が記載されているかもしれないと思い、当館所蔵の以下の資料を調査したが、記載は見出すことが出来なかった。
『南総里見八犬伝(一)』(岩波文庫)岩波書店 1971<イ913/タ/1>(12264230)
P.192L17~P.193L1
『南総里見八犬伝 一』岩波書店 1984<913.56/42/1>(12722344)
『現代語譯國文學全集 第25巻 南總里見八犬傳 上 』非凡閣 1939 <918/4/25>(12036299)P.62L1~L2
『評釋江戸文學叢書 第9巻 讀本傑作集』和田万吉 著 講談社 1935 <918.5/9/9>(12042826)P.327L15 頭注に「○八しほ いよゝ濃厚。」とあり。
『日本国民文学全集 15 南総里見八犬伝 上』河出書房 1956 <918/5/15>(12036471)P48 3段目L10~11「片輪の子は可愛いと申すのはこのことか、」と現代語訳されている。
- 事前調査事項
- NDC
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- 辞典 (813 9版)
- 伝説.民話[昔話] (388 9版)
- 小説.物語 (913 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- ことわざ
- 八犬伝
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000149660