レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年02月12日
- 登録日時
- 2012/05/17 14:59
- 更新日時
- 2012/07/25 16:25
- 管理番号
- 埼熊-2012-022
- 質問
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解決
武蔵国府・武蔵国分寺が、埼玉ではなく、古墳のない多摩地区に設置された理由を知りたい。
- 回答
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「国府」と「国分寺」の設置理由について、記述のある資料として次のものを紹介した。
武蔵国府(武蔵国府は現在の府中市にあった)
『日本歴史地名大系 13 東京都の地名』(平凡社 2002)
p1072〈府中市〉の項に「武蔵国府が設置されたのは七世紀末-八世紀前半と考えられ、以後府中は武蔵国の中心都市として繁栄したものと推定される。しかし市域においては古墳時代のまとまった集落遺跡は現在確認されておらず、強大な豪族の存在を示す大古墳もみられない。武蔵国の中心からかなり南に偏したこの地に国府が設置されたのは、ここが北部の埼玉古墳群(埼玉県行田市)に象徴される旧国造等の勢力圏から外れており、また比較的早くから屯倉が設置され中央の勢力が浸透していたためと考えられている。」とあり。
『角川日本地名大辞典 13 東京都』(「角川日本地名大辞典」編纂委員会編 角川書店 1979)
p1119〈府中市〉に〈武蔵国の国府〉の項あり
『わが町の歴史府中 わが町の歴史シリーズ』(遠藤吉次著 文一総合出版 1985)
p22関連の記述あり。
武蔵国分寺(武蔵国分寺は現在の国分寺市にあり)
『鎮護国家の大伽藍・武蔵国分寺』(福田信夫著 新泉社 2008)
p14「国分寺地選定の条件」あり。
『東大寺と国分寺 日本歴史新書』(石田茂作著 至文堂 1968)
p59-67 「2 国分寺の占地」
p59-60「国分寺は一般寺院と異なり、その寺地の決定にもいろいろの制約があったようである。既に天平十三年の国分寺造営の詔勅中にも、「其れ造塔之寺は兼ねて国華たり、必ず好処を択び、実に長久なるべし。人に近ければ即ち薫屍処及、人に遠ければ即ち衆の帰集を労するを欲せず」
p60-61「ところが寺地決定の実際には更に多くの制限があったのである。(中略) 一 国華として仰ぎ見るのによい地形 (略) 七 南面の土地であること」
p63 武蔵国分寺「武蔵国を貫流する多摩川は古来交通に産業に重要な役割を受持った事と思われる。そういう意味で、多摩川の中流にあたる府中の地に国庁がおかれたのも肯かれる。今の国分寺は府中に国庁があったという前提のもとに好拠と言い得る土地である。川に遠いから水害の憂いなく、湧泉があるから飲料水の不便もない。北に丘陵があるから南面寺院の経営には正に適地である。まだ付近の条里をよく調べてはいないが国分僧寺と尼寺地との間には条里制による大道が南北に通っていたと考えられるから、交通も至便であったと思われる。」
- 回答プロセス
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その他、調査した資料は以下のとおり
『新編埼玉県史 通史編1 原始・古代』(埼玉県編 埼玉県 1987)
p445「律令制施行によりはじめて国衙が置かれることになったが、これに先立って『武蔵風土記残篇』は足立府なるものが置かれたと述べている。しかし、同書は偽書であって足立府の存在を証明するものは皆無である。」
文中の『武蔵風土記残篇』は、自館目録や《NDLサーチ》《東大史料編纂所データベース》で該当なし。
『府中市の歴史』(府中市教育委員会生涯学習部生涯学習課文化財担当編 府中市 2006)
p97-101 武蔵国府の成立過程の記述はあるが、埼玉県域を外したことについての記述なし。
『府中市史 上』(府中市史編さん委員会編集 府中市 1968)
『律令官人制と地域社会』(中村順昭著 吉川弘文館 2008)
『古代の武蔵を読む』(土田直鎮著 吉川弘文館 1994)
『国府 日本歴史叢書 25』(藤岡謙二郎著 吉川弘文館 1969)
『武蔵国庁はどこか? 国府・国分寺関係関連資料』(府中市立図書館編集 府中市教育委員会 1977)
『府中の風土誌』(府中市編 1968)
『府中の風土誌 続』(府中市企画調整部編 府中市 1976)
『府中市史史料集 11 総社・六所明神・国衙について』(府中市史編纂委員会編 府中市史編纂委員会 1967)
『聖武天皇と国分寺』(関東古瓦研究会編 雄山閣出版 1998)
『関東古代寺院の研究』(鶴岡静夫著 弘文堂 1988)
『古代寺院と仏教』(鶴岡静夫編 名著出版 1989)
《CiNii》を〈武蔵国府〉で検索するが該当しそうな記事なし。
- 事前調査事項
- NDC
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- 関東地方 (213 9版)
- 参考資料
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- 『日本歴史地名大系 13 東京都の地名』(平凡社 2002)
- 『角川日本地名大辞典 13 東京都』(「角川日本地名大辞典」編纂委員会編 角川書店 1979)
- 『わが町の歴史府中 わが町の歴史シリーズ』(遠藤吉次著 文一総合出版 1985)
- 『鎮護国家の大伽藍・武蔵国分寺』(福田信夫著 新泉社 2008)
- 『東大寺と国分寺 日本歴史新書』(石田茂作著 至文堂 1968)
- キーワード
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- 国府
- 府中市-遺跡・遺物
- 国分寺市-遺跡・遺物
- 武蔵国分寺
- 武蔵国府
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 地名
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000106168