レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年04月14日
- 登録日時
- 2011/04/14 15:53
- 更新日時
- 2011/04/16 10:37
- 管理番号
- 国士23001
- 質問
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解決
日本海軍の志願兵制度について知りたい。
- 回答
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平時は「海軍志願兵令」に基づき、徴募していたが兵種などが時代によって変遷がある。また戦時は別途制度を設けて追加運用していた。
- 回答プロセス
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個別の問題ではなく、制度の概要の質問であったので、まず事典を調査した。
本学図書館にて所蔵していた旧軍関係事典3冊をあたった。
1.「帝国陸海軍事典」(同成社、1984)
「海軍志願兵」の項があり、16行にわたる解説がある。徴募すべき兵種7(水兵、航空兵、機関兵、軍楽兵、船匠兵、看護兵、主計兵)、徴募年齢などの記載があり、制度の概略がわかる。ただし制度の根拠となる法令等の説明はない。
2.「日本陸海軍総合事典」(東京大学出版会、2005)
「志願兵」の項目が、海軍と陸軍に別れている。一般志願兵、飛行予科練習生、少年水兵、海軍訓練兵、海軍特別幹部練習兵の記載がある。狭義の制度は「一般志願兵」制度をいい、広義ではその他に志願によった飛行予科練習生、少年水兵、海軍訓練兵、海軍特別幹部練習兵を含むものであることがわかる。
さらに一般志願兵の制度根拠は「海軍志願兵令」によると記載。ただし同令の条文は記載なし。
3.「海軍辭典」(弘道館、1942)
「海軍志願兵」の項があり5ページにわたって説明が掲載されている。さらに「海軍志願兵徴募区」「海軍志願兵令」の項があった。「海軍志願兵令」および「海軍志願兵令施行規則」の全条文も巻末に掲載。
同令には水兵、飛行兵、整備兵、機関兵、工作兵、軍楽兵、衛生兵、主計兵の8種が指定されている。
海軍は通常「一般志願兵」制度のみだったが、戦時の増員に対処できず飛行予科練習生、少年水兵等の別制度をつくり運用したことがわかる。
「海軍志願兵令」および「海軍志願兵令施行規則」ついて別書誌にて再確認も行った。
「海軍諸規則巻二(4)(明治百年史叢書)」(原書房、1986)に共に記載があった。
同書記載の「海軍志願兵令」の該当条文は昭和17年11月1日施行の最終的な条文で、対象兵種は前掲に技術兵が追加され9種となっていた。「海軍辭典」は発行が昭和17年11月30発行のため、記載の条文は同改正前のものであると思われる。
奈良県立図書情報館にて海軍志願兵の企画展示が行われていたので参考としてHPを紹介した。
「就職先としての軍隊~海軍志願兵」
http://www.library.pref.nara.jp/event/booklist/W_2010_01/index.html
その後近代デジタルライブラリーで「海軍志願兵」を検索すると93件ヒットした。その内、
中沢東斎編.徴兵並陸海軍志願者必携.兵事雑誌社,1910.には出版当時の海軍志願兵概要が掲載されていた。
http://libw01.kokushikan.ac.jp/cgi-bin/ilisone/ilisone.sh?ilisone_link=http%3A%2F%2Fkindai.da.ndl.go.jp%2Finfo%3Andljp%2Fpid%2F843130
また
大日本国民教育会編.改正徴兵例規集.大日本国民教育会,1920.には当時の法規、「海軍志願兵條例」の掲載があり
当時の制度概要がわかった。
http://kindai.ndl.go.jp/BIBibDetail.php
なお、同條例は昭和2年前述の「海軍志願兵令」に改正されたことを国会図書館日本法令索引にて確認。
依頼者には追加して案内した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 国防政策.行政.法令 (393 9版)
- 国防史.事情.軍事史.事情 (392 9版)
- 参考資料
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- 秦郁彦編.日本陸海軍総合事典.東京,東京大学出版会,2005.
- 海軍大臣官房編.海軍諸規則.巻二(4).東京,原書房,1986.(明治百年史叢書第372巻)
- 大濱徹也ほか編.帝国陸海軍事典.東京,同成社,1984.
- 山内大藏ほか他.海軍辭典.東京,弘道館,1942.
- キーワード
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- 日本海軍
- 志願兵
- 海軍志願兵令
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 制度
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000085061