『神葬祭総合大事典』(雄山閣出版 2000)によると「正辰祭(せいしんさい)」は“祖霊社にまつられる祖霊のうち、両親や近親、あるいはその家の始祖、中興の祖など、特定の祖霊に対しその帰幽当日(祥月命日)に霊前と墓前で行う霊祭”となっています。
大漢和辞典によると「辰」には「日取り」の意味があり、「正辰」で「正しい時」という意味が載っていました。また、「日本国語大事典」には「正辰」はありませんでしたが、「祥月命日」の項に「正忌」「正忌日」「忌辰」という語がありました。明治5年に制定された「葬祭略式」(『神葬祭大事典』加藤隆久/編 戎光祥出版 1997 収録)には”毎年正辰(死者の本月本日を云ふ)には家廟にて霊祭すべし”とあり、『皇室辞典 新装版』(東京堂出版 1993)に「正辰日(命日)」とあるので、「正辰」で祥月命日の意味と思われます。
しかし「正辰」という言葉がいつから使われていたのかは分かりませんでした。上記の『神葬祭大事典』『皇室辞典』等によると江戸時代は寺請制度によって仏教による葬儀が義務づけられており、明治までは神式による葬儀は一般的ではなかったようです。神職とその嫡子が許可されていた程度で、その神葬式も16世紀後半から吉田家(神祇道宗家)により試みられた、となっています。
また、「星辰祭」「生辰祭」はみつかりませんでした。『大漢和辞典』『日本国語大辞典』によると
星辰:ほし、星宿、星座
生辰:生れた日、誕生日、生日
となっていました。
他に『家庭の祭祀(まつり)事典』(西牟田崇生/編著 国書刊行会 2005.9)を参考にしました。